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2012年1月24日

パーキンソン病の細胞移植治療を検討するためのサルモデル評価系を確立

菊地哲広研究員(京都大学iPS細胞研究所)と高橋淳准教授(京都大学再生医科学研究所/iPS細胞研究所/大学院医学研究科)らの研究グループは、理化学研究所との共同研究により、ヒトのiPS細胞注1)からフィーダー細胞注2)を使わず浮遊培養のみでドーパミン神経前駆細胞を誘導することに成功しました。さらに、この細胞をパーキンソン病モデルのカニクイザルの脳内に移植し、6ヶ月に渡ってドーパミン神経細胞注3)が生き残ることを確認しました。また、移植細胞の増殖や機能の解析を、MRI(核磁気共鳴画像法)注4)、PET(ポジトロン断層法)注5)、免疫組織学的手法注6)、行動試験などで複合的に行い、霊長類における評価系を確立しました。この評価系は、ヒトiPS細胞由来神経細胞の移植の効果と安全性を確かめる前臨床試験に役立ちます。

【論文名】
Survival of Human Induced Pluripotent Stem Cell–Derived Midbrain Dopaminergic Neurons in Brain of a Primate Model of Parkinson's Disease

【ジャーナル名】
Journal of Parkinson's Disease

注1: iPS細胞
人工多能性幹細胞(iPS細胞:induced pluripotent stem cell)のこと。皮膚などの体細胞に特定因子を導入することにより作製する。胚性幹細胞(ES細胞)のように無限に増え続ける能力と体のあらゆる組織細胞に分化する能力を有する多能性幹細胞である。2006年にはマウスで、2007年にはヒトで、iPS細胞樹立が報告された。

注2: フィーダー細胞
目的の細胞を培養する際、培養条件を整える補助的な役割をもつ細胞。通常は薬剤処理によって分裂できないように処理されている。iPS細胞の培養の際には、マウス胎仔由来の線維芽細胞などがフィーダー細胞として用いられている。

注3: ドーパミン神経細胞
神経細胞の一種。神経伝達物質としてドーパミンを放出する。多くのパーキンソン病では、中脳黒質にあるドーパミン神経細胞の変性が主な病理として知られている。

注4: MRI
核磁気共鳴という原理を利用して生体内の断面画像を解析できる方法。被曝の心配がなく、経時的な3次元情報を得ることもできる。

注5: PET
プラスの電気を帯びた電子を放出する同位元素(アイソトープ)で標識された薬剤を注射し、体内分布を特殊なカメラで断層撮影する装置。がんの性質などの検査に有用な診断機器。

注6: 免疫組織学的手法
抗原抗体反応を利用して組織中の特定の抗原(タンパク質や糖鎖分子など)を染色する方法のこと。

注7: サイトカイン
さまざまな細胞から分泌され、特定の細胞の働きに作用するタンパク質のこと。現在は種々のサイトカインが人工的に大量生産され、研究や臨床に用いられている。

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