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2013年7月10日

iPS細胞から免疫担当細胞を安定して分化誘導する方法を開発

 中畑龍俊教授(京都大学iPS細胞研究所副所長)、齋藤潤准教授(京都大学iPS細胞研究所)らの研究グループの柳町昌克特定研究員*は、iPS細胞注1)から免疫担当細胞である樹状細胞注2)やマクロファージ注3)を安定して分化誘導する方法を確立しました。樹状細胞を用いた悪性腫瘍に対する免疫療法や、リウマチ性疾患などの患者さんから樹立したiPS細胞から誘導した免疫担当細胞を用いた新たな病態解析や治療薬探索の新たなツールとなることが期待されます。
 ヒトiPS細胞は、試験管内で無限に増殖し、体を形づくる様々な細胞に分化することができます。さらに、患者さんの細胞より樹立したiPS細胞を使用することで、疾患の病態解明や創薬への応用が期待されています。本研究では、中畑教授、齋藤潤准教授らの研究グループの丹羽明助教が確立したiPS細胞からの血液細胞の分化誘導法 (PLOS ONE 2011) を応用することで、機能的な樹状細胞やマクロファージを分化誘導する方法を開発しました。この方法は血清やフィーダー細胞を用いない安定した分化誘導系で、さまざまなiPS細胞から安定してサイトカイン注4)産生能や遊走能注5)を有する機能的な樹状細胞やマクロファージを分化誘導できることが確認されています。
 人間の疾患の多くは免疫担当細胞が関与していると考えられています。中畑教授、齋藤潤准教授の研究グループはすでに、本研究で確立した方法を用いて、さまざまな患者さんから樹立したiPS細胞から樹状細胞やマクロファージを分化誘導法し、病態解析や新薬探索の検討を開始しています。
 本研究は京都大学小児科、横浜市立大学小児科との連携のもと行われました。この研究成果は、米国科学誌「PLOS ONE」に2013年4月に掲載されました。

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iPS細胞由来樹状細胞

論文名

著者名
Masakatsu D. Yanagimachi, Akira Niwa, Takayuki Tanaka, Fumiko Honda-Ozaki, Seiko Nishimoto,Yuuki Murata, Takahiro Yasumi, Jun Ito, Shota Tomida, Koichi Oshima, Isao Asaka, Hiroaki Goto,Toshio Heike, Tatsutoshi Nakahata and Megumu K. Saito


* 現:横浜市立大学小児科助教

注1:iPS細胞
人工多能性幹細胞(iPS細胞:induced pluripotent stem cell)のこと。皮膚などの体細胞に特定因子を導入することにより作製する。無限に増え続ける能力と体のあらゆる組織細胞に分化する能力を有する多能性幹細胞である。

注2:樹状細胞
生体内の異物を分解し抗原として他の免疫細胞(リンパ球など)に提示する機能(抗原提示能)を有する免疫系の司令塔のような細胞。

注3:マクロファージ
樹状細胞と同様に抗原提示能を有する他に、生体内の異物を貪食(自分の細胞内に取込み、分解する)して排除したり、動脈硬化などの病態に重要な役割をしていることが知られている。

注4:サイトカイン
さまざまな細胞から分泌され、特定の細胞の働きに作用するタンパク質のこと。免疫反応や炎症反応など多くの病気に関連している。

注5:遊走能
血液細胞は仕事をするために、炎症反応や免疫応答が起こる部位に集まる(遊走)ことが必要である。

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