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ISSCR レポート

国際幹細胞学会 ( ISSCR ) が開催されました。

世界中の幹細胞研究者が集まる国際幹細胞学会(ISSCR)の年次大会が、横浜市のパシフィコ横浜で 6月13日から16日の間に開催されました。

iPS 細胞すごろく(開発中)

iPS 細胞すごろく(開発中)

アジアで初めて開催された今年は、世界各国の研究者、学生、業界関係者が横浜に集まりました。CiRA からも山中伸弥所長をはじめ、多くの研究者が参加しました。CiRA は研究活動を紹介し、国際的な認知度を上げるために、国内外の企業などに混じって、展示エリアでブース出展を行いました。

CiRA ブースでは、山中所長が中心研究者として採択されている内閣府「最先端研究開発支援プログラム(FIRST Program)」と CiRA 施設を紹介するタペストリーを掲示したり、刊行物を配布しました。また、昨年度の研究成果を報告するアニュアルレポートの他に、大学院進学情報や iPS 細胞に関する実技トレーニングの案内を行い、プロジェクターでは CiRA の紹介映像などを放映したりしました。加えて、ブースの一角に、iCeMS / CiRA クラスルームの一環として開発している、研究者らが学校の教材として使うことを目指した、iPS 細胞も登場するすごろくゲームの展示も行いました。

CiRA が出展したブース

CiRA が出展したブース

今回の ISSCR ではポスター発表が行われ、研究対象の細胞などで場所が分けられていました。発表数が多かったのは造血幹細胞、神経細胞、間葉系幹細胞、ES 細胞、iPS 細胞などで、特に iPS 細胞は 100 枚を超えるポスターが発表されていました。CiRA の研究者が代表発表者を務めたものは29件、CiRA 研究者が関与した共同研究分も含めると48件のポスター発表があり、iPS 細胞そのものの性質や安全性を確認する研究が目立ちました。

講演前、記者会見に臨む 高橋和利講師

講演前、記者会見に臨む 高橋和利講師

13日の午後からは、5000人収容可能な国立大ホールでプレジデンシャル・シンポジウムが開催されました。幹細胞研究の大御所といえる研究者、ルドルフ・イェーニッシュ博士、オースティン・スミス博士、ジョン・ガードン博士に続き、CiRA の高橋和利講師(初期化機構研究部門)が講演を行い、「多能性リプログラムのバグとは何か?」というタイトルで、50以上の iPS 細胞株や ES 細胞株の比較に関する研究を発表しました。山中所長がフィンランドのミレニアム技術賞授賞式出席のため不在だったため、講演中に山中所長が頭を下げている写真のスライドを出したりして会場の笑いを誘い、多くの参加者から好評でした。

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ISSCR レポート

国際幹細胞学会10周年記念イベント開催!

セレモニーが行われた国立大ホール※

セレモニーが行われた国立大ホール※

今年で設立10周年を迎えた国際幹細胞学会(ISSCR)は6月15日午後、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、記念セレモニーおよびレセプションをパシフィコ横浜で開催しました。ミレニアム技術賞グランド・プライズ授賞式に出席し、フィンランドから帰国したばかりの山中所長が両陛下のご案内役を務めました。

セレモニーにご臨席された天皇皇后
両陛下とご案内役の山中所長※

セレモニーにご臨席された天皇皇后 両陛下とご案内役の山中所長※

レセプションで研究者とご懇談
される両陛下

レセプションで研究者とご懇談される 両陛下

国立大ホールで開催された記念セレモニーには、この年次大会の参加者約2000名が参加しました。両陛下のご着席後、レオナルド・ゾン教授(米国ハーバード大学)が ISSCR 設立に至った経緯やこれまでの学会活動について話しました。続いて、ご来賓の奥村展三文部科学副大臣、黒岩祐治神奈川県知事、林文子横浜市長が祝辞を述べられました。セレモニー終了後に開催されたレセプションにも両陛下はご出席され、世界各国から集まった幹細胞研究者らとご懇談されました。

山中所長が ISSCR 理事長に就任

国際幹細胞学会(ISSCR) の最終日、16日午後には山中所長が次期理事長としてスピーチを行い、新理事長として、「Bring Stem Cells to Clinics(幹細胞を医療へ)」というビジョンを掲げて、ISSCR の活動を牽引したいという抱負を述べました。幹細胞を用いた医療の実現には、ジグソーパズルのピースを全て上手く合わせるように、ES / iPS 細胞を用いた再生医療や創薬研究、細胞工学から特許、倫理、規制、教育まで、様々な分野のピースが揃って初めて達成できるものであり、各 分野の研究者らが協力しあう必要 性を訴えました。

ポスター発表会場の様子※

今回の年次大会には、57カ国以上から3500人以上が参加し、1400件以上のポスター発表が行われ、成功裏に閉会しました。
来年の ISSCR 年次大会は、米国ボストンで開催されます。
また17日には、ISSCR パブリックシンポジウム「iPS 細胞と私たちの未来」が東京の日本科学未来館で開催されました。クローン羊「ドリー」の生みの親であるイアン・ウィルマット博士と山中所長が、自身の研究内容について紹介し、ドリーが誕生した背景、iPS 細胞が誕生した背景について詳しく解説しました。
その後、日本科学未来館のサイエンスコミュニケーターを交えて3人で、iPS 細胞の可能性について語り合いました。

Glossary

国際幹細胞学会・・・・・正式名称のInternational Society for Stem Cell Researchを 略して「ISSCR」と呼ばれる。2002年にレオナルド・ゾン博士が中心となり設立された非営利団体。事務局は、米国イリノイ州。毎年6月に年次大会を開催しており、幹細胞研究に関しては、最も影響力があると言われる。
URL:http://www.isscr.org

「幹細胞治療について患者ハンドブック」・・・・・国際幹細胞学会(ISSCR)が発行している “Patient Handbook on Stem Cell Therapies” の日本語訳バージョン。幹細胞や幹細胞治療についてよくある質問に対する回答が記載され、医療関係者や患者さんが治療のための判断の手助けをするために制作されている。
URL:http://www.isscr.org/PatientHandbook/4308.htm

「ISSCR 幹細胞の臨床応用に関するガイドライン」・・・・・ “ISSCR Guidelines for the Clinical Translation of Stem Cell Research” の日本語バージョン。国際社会において、関連する研究者や規制当局が従うべきと考えられる科学的、臨床的な倫理行動について推奨事項が書かれている。
URL:http://www.isscr.org/GuidelinesforClinicalTranslattion/2480.htm

※の写真は国際幹細胞学会( ISSCR )より提供された

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iPS 細胞研究基金・感謝の集い

iPS 細胞研究基金・感謝の集い

ギャラリーでiPS 細胞を観察する参加者

ギャラリーでiPS 細胞を観察する参加者

去る5月14日(月)、CiRA 研究棟内で、初めて「京都大学 iPS 細胞研究基金 感謝の集い」を開催しました。これまで iPS 細胞研究基金等にご寄附くださった方で、本年3月末までにご入金いただいた方々にご案内し、初夏のさわやかな陽気のもと、北海道や鹿児島など日本全国から約100名にご出席いただきました。

午後2時には、約100名収容可能な研究棟1階の講堂が寄附者の方々で満員になりました。第1部の講演会の冒頭に、山中伸弥所長が、「多くの方々が温かいご寄附をくださり、それが研究者や職員が iPS 細胞研究を進める上で大きな励みになっています」と、改めて今までにご寄附くださった方々へ感謝の意を表しました。その後、iPS 細胞研究の基本や研究の現状について、そして本基金の収支報告(7ページ参照)と必要性についてお話しました。

講演する山中所長

講演する山中所長

続いて、増殖分化機構研究部門の髙橋淳准教授(現臨床応用研究部門教授)が、iPS 細胞を用いたパーキンソン病研究の進捗状況について報告し、同部門の妻木範行教授が、iPS 細胞を用いずに皮膚細胞から軟骨を誘導する、ダイレクト・リプログラミングという方法で軟骨を再生する研究について講演を行いました。それぞれスライドを使った分かりやすい内容で、短い時間でしたが参加者との質疑応答も活発に行われました。

講演の後は、エントランスホールで、CiRA 教員20名以上が加わり、約1時間の交流会が行われました。
参加者は興味のある研究をしている研究者に様々な質問をしたり、記念写真を撮ったりして、 iPS 細胞研究を身近に感じていただけたことと思います。一方、研究者はというと、研究活動を応援してくださっている方々と直接懇談する機会に緊張しながらも楽しくお話している様子で、研究への意欲を一層強くしていました。

会場に iPS 細胞を観察する顕微鏡コーナーを設けたところ、一時は行列ができるほどで、参加者の iPS 細胞に対する関心の高さがうかがえました。

来年も、2012年度にご寄附を下さった方々を中心にご案内して、このような感謝の集いを開催する予定です。

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Donation

iPS 細胞研究基金

2011 年度 iPS 細胞研究基金収支

みなさまの温かく、継続的なご支援に、心から感謝を申し上げます。
多くの難病や怪我で苦しんでおられる方々のために、一日も早い医療応用を目指して、一生懸命頑張って iPS 細胞研究を推進します。
今後とも、ご支援いただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

京都大学 iPS 細胞研究所
教職員一同

2011年度 iPS細胞研究基金収支

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CiRA Members

CiRAで働く人々

情報を駆使して細胞の方程式を解読したい

今回は、4月に CiRA へ着任された、増殖分化機構研究部門の主任研究者で、情報管理室長を兼務する藤渕航教授にお話を伺いました。

藤渕 航教授

情報管理室とラボのメンバーを
束ねる藤渕 航教授

生まれは大分県別府市です。小学生の頃は虫取りやラジオ製作にのめりこみました。中学生の頃には、自転車で片道2時間もかけて隣町のデパートまで行ってパソコンを使い、BASIC などコンピュータ言語を独学で学びました。

大学は独学で修得するのが難しそうな理学部動物学専攻へ進みました。この時、原生動物から無脊椎動物についても体系的かつ徹底的に学べたのは貴重な経験です。しかし、卒業研究では分子生物学を選んだのですが、実験が苦手なことに気づき、今度はコンピュータを駆使して生物を理解したいと情報系の研究室に移りました。

大学院に入った90年代初めは、日本でもようやくバイオインフォマティクス(注)に関心が集まり始めた頃です。全く新しい分野ですから、情熱を研究に注ぎ込みました。学位取得後は、米国立生物工学情報センター(NCBI)、バイオインフォマティクスの総本山で、ポスドクと正職員を経験しました。転機が訪れたのは、帰国後の2007年です。産業技術総合研究所で細胞機能設計チーム長になったばかりの頃に、ヒトiPS 細胞樹立の報告を聞き、しまった先を越されたと悔やむと同時に、近いうちに情報解析のスタッフが必要になるだろうと直感しました。

細胞データベース開発や ES / iPS 細胞情報解析を行っていたことが功を奏してか、4月から CiRA のメンバーに加わることになりました。ここで展開する仕事は2つです。1つ目は、情報セキュリティーや研究支援など情報基盤を構築していくことです。2つ目は、これまでの延長としてヒトの細胞情報データベースを拡張する研究です。ゴールは、様々な細胞のカタログ化からシュレディンガー方程式のような理論を導出し、その中でのiPS 細胞や人工の位置づけを明らかにしていきたいと考えています。CiRA では、山中先生をはじめ、まるで新撰組のような維新的かつ家族的な気風の先生方に囲まれて幸せに思っています。私も気持ちを新たに、兜の緒を締め直して研究と支援活動に取り組みます。

(注) コンピュータサイエンスや計算機科学などの技術を応用して、生物学の問題を解こうとする学問。
近年、計算機器の進歩により、得られるデータが膨大になっており、正確なデータ解析をするためにもこの分野の研究が重要になっている。

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From CiRA

組織の変更について

規制科学部門から基盤技術研究部門へ

安全な iPS 細胞を安定的に供給する体制を強化するため、7月1日付けで、規制科学部門を基盤技術研究部門として改組しました。部門長は、引き続き山中伸弥所長がつとめ、主任研究者は、木村貴文教授、青井貴之教授、浅香勳准教授の3名です。

基盤技術研究部門では、これまで規制科学部門で進めてきた「臨床研究に使用できる iPS 細胞の作製」や「臨床応用に必要な法規制整備の推進」に加え、新たに「iPS 細胞の品質保証」や「他の研究部門を支援する共通基盤技術の開発」を推し進め、iPS 細胞を用いる再生医療の早期実現を目指します。

CiRA組織図(2012年7月1日現在)

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CiRA news update

CiRAアップデート

7/1

CiRA 規制科学部門の名称が基盤技術研究部門に変更されました。
髙橋淳准教授と山下潤准教授が CiRA 専任教授になり、齋藤潤講師が准教授に昇格しました。(9ページ参照

6/27-29

今年度第1回ヒト iPS 細胞樹立・維持培養実技トレーニングを開催しました。エピソーマルベクターを用いたヒト iPS 細胞樹立方法の研修を行いました。

6/17

文部科学省 iPS 細胞等研究ネットワーク第4回合同シンポジウム「再生医学研究の最前線」が、横浜市で開催されました。CiRA からは山中伸弥教授と髙橋淳准教授が講演しました。また、会場での iPS 細胞研究のポスター展示や顕微鏡で iPS 細胞を観察するコーナーに CiRA 職員が協力しました。

6/15

山中教授の総説「Induced Pluripotent Stem Cells: Past, Present,and Future」(「iPS 細胞: 過去・現在・未来」) が米科学誌「Cell Stem Cell」(6月15日号) に掲載されました。

6/13-16

国際幹細胞学会(ISSCR)第10回年次大会が横浜市で開催され、CiRA から多数のメンバーが参加し、山中教授が理事長に就任しました。(2−5ページ参照

6/13

山中教授が、フィンランドのヘルシンキで開催されたミレニアム技術賞の授賞式に出席し、コンピュータのオペレイティング・システム「Linux」を開発したリーナス・トーバルズ氏とグランド・プライズを共同受賞しました。

5/19

第7回 CiRA カフェ・FIRST「あなたとわたしを見分ける細胞のしるし」を開催しました。マンドリンアンサンブル「Saúde!」による演奏の後、木村貴文教授(基盤技術研究部門)が、細胞が自分と自分ではないものを見分ける仕組みについて話しました。

第7回 CiRA カフェ・FIRST で
マンドリンの演奏を聞く参加者

5/16

共通機器管理室の教員として光永佳奈枝助教授が着任しました。

5/14

「京都大学 iPS 細胞研究基金 感謝の集い」を開催しました。(6ー7ページ参照

米国で京都大学が保有する iPS 細胞基本技術特許3件目が成立しました。

4/16

「平野博文文部科学大臣が、CiRA を視察しました。

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CiRA からの情報発信

CiRA 紹介映像

CiRA が展開する研究内容と研究活動の様子を紹介する映像が完成しました。普段は入ることのできない研究棟の実験エリアの様子や、CiRA が目指す研究内容の基本をご覧になれます。
CiRA1階ギャラリースペースのタッチパネルの他に、ホームページでも公開しています。ぜひ、みなさまの感想をお聞かせください。
ダウンロードはこちらから URL:http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/defense.html

CiRA 紹介映像

CiRA 紹介映像

CiRA アニュアル
レポート2011

CiRA アニュアルレポート2011年度の CiRA の研究活動を国内外に発信する CiRA アニュアルレポート2011(和文・英文別冊)が完成しました。
26人の主任研究者の研究成果はもちろん、沿革や予算、施設などの基本情報、セミナーやシンポジウムなどの開催状況、知的財産に関する報告など、CiRA の多様な活動を知ることのできる一冊です。

ダウンロードはこちらから
URL:http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/publication_report.html

Editorial info

発行・編集

京都大学 iPS 細胞研究所
(CiRA)国際広報室
〒606-8507
京都市左京区聖護院川原町53
Tel: (075)366-7005
Fax: (075)366-7023
Email: ips-contact@cira.kyoto-u.ac.jp
Web: www.cira.kyoto-u.ac.jp

制作協力

CiRA 事務部

撮影

CiRA 国際広報室

印刷

株式会社北斗プリント社

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