Yamanaka
CiRA
Cells

New research

研究成果①

iPS 細胞を使って難病ALSに対する治療薬シーズ(種)を発見

臨床応用研究部門の井上治久准教授と江川斉宏研究員らのグループによる研究論文が米国科学誌「Science Translational Medicine 」に発表されました(注1)。ALS(筋萎縮性側索硬化症)という運動ニューロン(運動神経細胞)が変性することで次第に全身が動かなくなる難病に対する治療薬シーズ(種)を発見しました。井上准教授に研究成果についてお話を伺いました。

ALS はいつ頃から研究されているのですか?

ALS は 1869 年にフランスの病理学者ジャン・マルタン・シャルコーが脊髄が硬くなる原因不明の病気として見つけました。その後、米国でルー・ゲーリッグという野球選手が 30 代後半にこの病気にかかり引退を余儀なくされ、2 年後になくなりました。現在米国で ALS はルー・ゲーリック病と呼ばれています。1993 年に SOD1 という遺伝子が ALS を起こしうることが判明しました。1994 年には変異した SOD1 を導入したモデルマウスができました。このモデルマウスに有効な薬剤は見つかりましたが、その中で患者さんに投与され有効性が確認されたものはありません。

今回はどのような研究を行ったのですか?

ALS は遺伝性ではない孤発性が 9 割を占めていますが、その殆どで TDP-43 というタンパク質が細胞質の部分にたまっていることが知られています。私達は遺伝性の TDP-43 異常の患者さんから細胞を採取させていただき、iPS 細胞を作製しました。iPS 細胞から神経細胞を誘導すると5 〜20 % は運動神経細胞になります。iPS 細胞から神経細胞をつくった場合に、高齢になってから発症する ALS の病態を再現できるのかわかりませんでした。ところが、実際には細胞の中心部だけではなく細胞質の部分にも TDP-43 がたまっていました。その細胞で異常をもっと調べてみると本来長く伸びるはずの突起が伸びていませんでした。どの遺伝子がどのくらい働いているのか、病気ではない人と引き算をして調べたところ、RNA を作る遺伝子の量が増えていました。そこで RNA の量を調節するものを候補として投与してみたところ、アナカルジン酸という物質で、神経細胞の突起が長くなることを発見しました。

井上准教授(右)と江川研究員(左)

井上准教授(右)と江川研究員(左)

アナカルジン酸はカシューナッツの殻に含まれているそうですが、
食べると治療効果はありますか?

確かにアナカルジン酸はカシューナッツの殻に含まれていますが、カシューナッツの殻は可食部ではありません。カシューナッツの殻を食べても安全かどうか現段階ではわかりません。アナカルジン酸自体もまだ安全性や効果の確認など様々な研究を行う必要があります。

今後はどのように研究を展開されるのでしょうか?

今回見つかったアナカルジン酸はシーズ(種)ではありますが、そのまま人に使用することはできません。まず薬が通るべき様々な関門が体の中にはあり、それをくぐり抜けて血液脳関門などをくぐって脳に到達する必要があります。それまでに他の体の部位に害を及ぼさないか確認することも必要です。どのくらいが適量なのかも調べる必要があります。このように様々な関門があるので、シーズができてから実際の薬になるのはごくわずかと言われています。そこで動物実験などにより関門を通過するかどうか確認するとともに、他の候補物質を探しながら、TDP-43 の変異以外の原因も探っていく、2 つの方向性で研究を進める必要があると考えています。

井上准教授(右)と江川研究員(左)

運動ニューロンの突起長の比較(図中のバーは10μm を示す)
提供:井上治久准教授

今回の研究成果を発展させて、いつ頃までに ALS の薬ができるのですか?

現段階では実際に患者さんに治療薬を使っていただけるようになるまでどのくらい時間がかかるかわかりません。しかし、一刻も早くお届け出来るように、最善の方法を選んで研究を進めて参ります。

Cells

New research

研究成果②

病態解析ツールとして iPS 細胞を使う

臨床応用研究部門の、中畑龍俊教授(副所長)、齋藤潤准教授の研究グループの田中孝之研究員らのグループによる、慢性乳児神経皮膚関節(CINCA)症候群の病態解析に関する論文が米国科学雑誌『 Blood 』に掲載されました(注)。齋藤准教授に研究成果について聞きました。

CINCA 症候群とは、耳慣れない病気ですが、どういう特徴があるのでしょうか?

CINCA 症候群は、生後すぐに発症する慢性自己免疫疾患の 1 つで、繰り返し生じる炎症により、脳や臓器がダメージを受ける難病です。CINCA 症候群の患者さんの中には、受精卵から個体へ発生する過程で、NLRP3 遺伝子に変異が生じた結果、病気を発症される方がおり、その方の体の中では正常な遺伝子型の細胞集団と、変異した遺伝子型の細胞集団が、まだらに混ざった体細胞モザイクの状態にあります。全ての細胞に変異がある方も、体細胞モザイクの方も、同程度の症状が出るため、これまでは、本当に NLRP3 変異細胞のみが疾患を引き起こす役割を果たしているのか、それとも、変異の有無に関わらず全ての細胞が何らかの原因で悪影響を及ぼしているのかがはっきりしていませんでした。

今回の研究はどのようなものですか?

中畑教授(左)齋藤准教授(中)田中研究員(左)

私たちは、慢性乳児神経皮膚関節(CINCA)症候群体細胞モザイク患者さんの皮膚の細胞から iPS 細胞を作製し、遺伝子変異のある細胞株と変異のない細胞株とに分けることに成功しました。これらの iPS 細胞を免疫細胞の一種、マクロファージに分化させ、細胞の形や貪食能力を解析したところ、差がみられませんでした。
ところが、CINCA 症候群の疾患のとなる特徴である IL-1β というタンパク質の産生を比較したころ、遺伝子変異をもつマクロファージのみで、IL-1β の産生が異常に多くなっていました。疾患発症には、NLRP3 遺伝子の変異した細胞のみが、深く関わっているということです。さらに、これまでの報告から IL-1β 産生を阻害することが予想される化合物を添加したところ、NLRP3 遺伝子変異をもつ細胞での IL-1β の産生が抑制されました。

この研究の特徴は何ですか?

井上准教授(右)と江川研究員(左)

NLRP3 遺伝子の変異をもつ CINCA 症候群の患者さんから
作製した iPS 細胞由来マクロファージ
(提供:田中孝之研究員)

これまで、CINCA 症候群体細胞モザイクの患者さんから、NLRP3 変異をもつマクロファージと変異のないマクロファージを分けて入手する術がなかったため、それぞれの機能を解析して比較することはできませんでした。今回の研究では、単一の細胞が増殖して細胞株が樹立される iPS 細胞の性質を生かして、患者さんの皮膚の細胞から作製した iPS 細胞の中から、遺伝子変異をもつ株、もたない株に分離することができました。このように、iPS 細胞を作製することにより、遺伝子変異のある細胞とない細胞を分ける方法は他の体細胞モザイク疾患にも応用できます。また、今回樹立された iPS 細胞は、CINCA 症候群を含むさまざまな NLRP3 遺伝子関連疾患への治療薬開発のツールとして役立つことを期待しています。

Glossary

注 Induced pluripotent stem cells from CINCA syndrome patients as a model for dissecting somatic mosaicism and drug discovery (Takayuki Tanaka, Kazutoshi Takahashi, Mayu Yamane, Shota Tomida, Saori Nakamura, Koichi Oshima, Akira Niwa, Ryuta Nishikomori, Naotomo Kambe, Hideki Hara, Masao Mitsuyama, Nobuhiro Morone, John E. Heuser, Takuya Yamamoto, Akira Watanabe, Aiko Sato-Otsubo, Seishi Ogawa, Isao Asaka, Toshio Heike, Shinya Yamanaka, Tatsutoshi Nakahata, and Megumu K.Saito)

Cells

New research

研究成果③

ヒト iPS 細胞から肝細胞への分化のしやすさはドナーによって決まる

当研究所の青井貴之教授らのグループが、ヒトiPS 細胞から肝細胞への分化のしやすさに関して、iPS 細胞を作製する元となるドナーの影響を大きく受けるとする研究成果を米国科学アカデミー紀要に発表しました。

青井教授

ヒト iPS 細胞から作製した肝細胞は、細胞移植治療や医薬品の毒性評価などへの利用が期待されていますが、iPS 細胞から成熟した肝細胞へと分化させる技術は確立されていません。これまでに様々な方法で肝細胞へと分化させることが挑戦されてきました。しかし一方で、出発点である iPS 細胞の性質についてあまり注目されていませんでした。

iPS 細胞と一口に言っても、実はそれぞれ個性を持っていて、均一な細胞とは言えません。iPS 細胞は様々な種類の細胞から作製できるため、皮膚の細胞から作製した iPS 細胞もあれば血液の細胞から作製した iPS 細胞もあります。また、iPS 細胞を樹立するために細胞を提供したドナーも様々です。

今回の研究では肝細胞へ分化しやすいかどうかは、由来となる細胞の種類ではなく、ドナーの違いに起因するところが大きいと分かりました。この結果は、今後研究を進めるにあたって、ヒト iPS 細胞の分化しやすさを比較する際には、ドナーの違いを考慮することが重要であることを強く示しています。

井上准教授(右)と江川研究員(左)

肝細胞様細胞に分化した iPS 細胞(左)、ES 細胞(右)の顕微鏡写真

Cells

Nobel Prize special Feature

ノーベル賞受賞決定記念特集

山中伸弥所長が英国のジョン・ガードン卿と
ノーベル生理学・医学賞を共同受賞!

受賞決定の報せの後、京大にて会見に臨む山中所長(8日)

受賞決定の報せの後、京大にて会見に臨む山中所長(8日)

スウェーデンのカロリンスカ研究所は、日本時間の10 月8 日(月)夕方、ノーベル生理学・医学賞を山中伸弥 iPS 細胞研究所長(米国グラッドストーン研究所上席研究者)に贈ると発表しました。共同受賞者は、ジョン・ガードン卿(英国ケンブリッジ大学ウェルカム・トラスト/ 英国癌研究基金ガードン研究所教授)です。受賞理由は動物の分化細胞が、多能性幹細胞へと初期化できることを発見したためです。

山中所長は、2006 年に発表された論文で、分化したマウスの細胞に数種類の遺伝子を導入する手法を用いて、分化した細胞が初期化され、未分化の幹細胞になることを示しました。そしてこの幹細胞には、体の全ての細胞に分化する多能性を持つことが確認され、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)と名付けました。

翌2007 年には、ヒト iPS 細胞の作製を報告しています。iPS 細胞の作製は、一度分化した体の細胞に4つの因子を加えるだけで、未分化の状態に戻すことができること(初期化)を明らかにした画期的な発見であり、治療法が未だ確立されていない難病の病気の原因の解明、薬の毒性の検査、新しい治療法や薬剤の開発に新たな道を開きました。

多くのご支援をいただきまして、
ありがとうございました。

ノーベル生理学・医学賞を受賞することは、身に余る光栄に思っております。これまで、研究を共に行ってきた多くの研究者仲間、お世話になった方々、私を支えてくれた家 族に心から感謝します。そして、iPS 細胞は、長年に渡る細胞核の初期化研究の成果の賜物だと思っております。多くの先達に心より敬意を表します。

このような名誉ある賞の受賞は、私を含め同僚の研究者、その他世界中で iPS 細胞を研究している科学者にとって、一層強力に研究に取り組むための大きな励みとなります。
今後も、難病の患者さんの体の細胞から作られた iPS 細胞を用いて、新しい薬剤や治療法を開発することを、1 日も早く実現するために、仲間の研究者とともに一生懸命頑張り たいと思います。

京都大学 iPS 細胞研究所
山中伸弥

受賞決定後の一日

受賞の報せの後に開かれたに京大での会見について
(左:松本紘京大総長)

受賞の報せの後に開かれた
京大での会見について (左:松本紘京大総長)

深夜、山中所長を仮装で迎えた研究所のメンバーたち

深夜、山中所長を仮装で迎えた
研究所のメンバーたち

Cells

Nobel Prize special feature

ノーベル賞受賞決定記念特集

取材を受ける山中研の講師たち(左から吉田善紀、沖田圭介、中川誠人 取材を受ける山中研の講師たち(左から吉田善紀、沖田圭介、中川誠人 取材を受ける山中研の講師たち(左から吉田善紀、沖田圭介、中川誠人

取材を受ける山中研の講師たち(左から吉田善紀、沖田圭介、中川誠人)

一夜明けて、グラッドストーン研究所とテレビ会議で
受賞の喜びを分かち合う山中所長(左:妻の知佳さん)

一夜明けて、グラッドストーン研究所と
テレビ会議で受賞の喜びを分かち合う
山中所長(左:妻の知佳さん)

職員からの花束贈呈

職員からの花束贈呈

ご夫婦で会見に臨む山中所

ご夫婦で会見に臨む山中所長

10 月9 日には、山田啓二京都府知事から京都府特別栄誉賞を授与された

10月9日には、山田啓二京都府知事から
京都府特別栄誉賞を授与された

Cells

Nobel Prize special feature

ノーベル賞受賞決定記念特集

体細胞の初期化の発見が受賞理由に

2010 年にCiRA を訪れたジョン・ガードトラスト/ 英国癌研究基金ガードン研究
所教授)と山中所長

2010 年に CiRA を訪れたジョン・ガードン卿
(英国ケンブリッジ大学ウェルカム・トラスト
/ 英国癌研究基金ガードン研究 所教授)
と山中所長

今回のノーベル生理学・医学賞は、不可逆的であると信じられてい た動物の分化細胞が、未分化な細胞に初期化されるということを実験的に示した英国のジョン・ガードン卿と山中伸弥 iPS 細胞研究所長の二人が共同受賞しました。

ガードン卿は、1962 年に紫外線照射によって核を不活化させた受精卵に、オタマジャクシの腸から取り出した細胞の核を注入し、その受精卵がカエルに成長したことを報告しました。いわゆるクローンカエルを誕生させた成果です。当時、分化細胞の DNA からは、不必要な遺伝情報が抜け落ちているのではないかとの説もありましたが、この実験によって、受精卵だけでなく、分化細胞の DNA にも、カエルの全ての体の細胞に必要な遺伝情報を有していることが示されました。

ガードン卿と山中所長の革新的な研究成果は、発生や細胞の分化といった生命現象に全く新しい知見を加えることになりました。それまで一度分化した細胞が他の細胞へと変化することはないと固く信じられてきましたが、細胞の分化が可逆的で、異なる細胞に変化することが可能であることを示したのです。

また、これらの研究成果を元に、ヒトの細胞でも同様に初期化されることが示され、ヒト iPS 細胞の樹立にも至りました。これらの研究からは、新たな医学研究に道が拓かれ、今まで全く手が付けられていなかった病気の原因解明や新たな薬の開発、そして新しい病気の治療など、幅広い応用が期待されています。

Cells

Introduction

新任教員からのメッセージ

新しく着任した教員を紹介します

9 月から 10 月にかけて 2 人の教員が iPS 細胞研究所に加わりました。研究基盤の整備や、培養技術開発を通して、iPS 細胞技術の医療応用を目指します。

基盤技術研究部門 星野利彦(ほしの・としひこ)教授/ 所長補佐

基盤技術研究部門
星野利彦(ほしの・としひこ)教授/ 所長補佐

再生医療・創薬への応用が期待される iPS 細胞。山中所長がノーベル賞の受賞会見で「日本という国が受賞した賞」と表現されたこの技術の成果が、日本発でイノベーションを実現し一日も早く社会に還元されるよう研究推進戦略を検討しています。特に、イノベーションの鍵となるのは、研究推進に必要な体制・環境の構築、研究支援人材の育成、知財の確保です。このため、関係府省庁・産業界等との連携強化や規制の壁を乗り越える新制度の設計などに取り組みます。

基盤技術研究部門 金子新(かねこ・しん)准教授

基盤技術研究部門
金子新(かねこ・しん)准教授

CiRA には、iPS 細胞の樹立から分化細胞の誘導に至るすべての段階をGMP( Good Manufacturing Practice)基準で処理することのできる国内最大級の細胞調製施設 FiT(Facility for iPS cell Therapy)が備わっています。私たちは FiT の運用と GMP 培養技術開発を通じて、CiRA 内外の様々な iPS 細胞治療臨床研究プロジェクトの一翼を担います。また研究室の主要テーマとして、iPS 細胞の特性を生かした免疫再生治療法の開発に取り組み、腫瘍や感染症、自己免疫疾患、移植関連免疫疾患などに対する新しい治療法の確立を目指します。

Cells

Column

ランドスケープ

日本と米国で新たに特許が成立しました!

京都大学が保有する iPS 細胞技術に関する特許が、日本で 1 件、米国で 3 件、
新たに成立しました。

日本で成立した特許は、山中伸弥教授の研究グループが開発した技術に基づいています。Oct, Klf, Sox, Myc のファミリー遺伝子(遺伝子群)を用いて iPS 細胞を作製する技術に関するもので、さらにこの iPS 細胞から分化させて作った細胞を使って薬剤候補物質のスクリーニング等を行うことにも権利が及びます。今までに取得した特許より広範囲の権利をカバーできます。

米国で成立した特許3件のうち、1 件は山中教授らの発明で、2 件は 2011 年 1 月に米国バイオベンチャーの iPierian 社から京都大学に譲渡された特許です。山中教授の特許と iPierian 社特許1件は、3 遺伝子を用いた iPS 細胞の樹立方法に関する技術で、あまりにも類似していたため、どちらに特許権を付与するかを決める係争に入る可能性がありました。iPierian 社から特許譲渡を受け係争を回避し、このたび晴れて両方とも特許として成立しました。

今まで一連の特許取得や iPierian 社と京大の特許譲渡交渉に関わってきた CiRA 知財契約管理室の高須直子室長は、「( 譲渡後)iPierian 社からダンボール 6 箱の特許に関わる資料が届き、これまで維持管理してきた。係争になりかけた 2 件の特許が成立し、これでようやく特許問題が解決したという思いで感慨深い。」と述べました。

9月18日に京大で行われた記者会見の様子(左:山中伸弥所長、右:高須直子知財契約管理室長)

9月18日に京大で行われた記者会見の様子
(左:山中伸弥所長、右:高須直子知財契約管理室長)

今後も CiRA 知財チームが中心となり、多くの特許を取得し、iPS アカデミアジャパン社を通じて非独占的にライセンス許諾することで、企業が安心して研究開発に取り組める環境作りに貢献します。

Cells

CiRA Members

CiRA で働く人々

機械の管理から iPS 細胞研究を支える

CiRA にはフローサイトメーターという細胞を分ける装置や共焦点蛍光顕微鏡という細胞を観察する装置など、様々な大型実験機器が設置されています。これらの機器は CiRA 全体で共有し、効率良く運用されています。今回は共通機器を管理する、光永佳奈枝助教をご紹介します。

共通機器室で装置を扱う光永助教

共通機器室で装置を扱う
光永助教

熊本県で生まれ育った光永さんは、高校生の頃にはコケの生殖細胞を培養するなど、観察・実験をするのが大好きな少女だったそうです。大学卒業後は熊本大学の山村研一先生の下で実験補助の仕事をしました。ここでマウスの世話をしたり、プラスミドをとったりと、分子生物学の基礎を学びました。実験・研究をすることに魅力を感じた光永さんは、大学院に入学、博士課程からは阿部訓也先生の下で生殖細胞を中心とした研究を行いました。

その後、日本を縦断するように産業技術総合研究所、自治医科大学、東北大学と様々な研究機関で研究を行いました。例えば自治医科大学では造血幹細胞の数を調節する仕組みについて、産業技術総合研究所では血液細胞の糖鎖に関して、いずれも主に血液の細胞(単球や赤血球)の研究を進めました。

光永さんは熊本大学にいた頃から、京都大学にはいろんなタイプの面白い研究者がいそうだと思い、京都大学で働きたいと思っていたそうです。念願かなって着任した CiRA では、共通機器管理室の教員として、フローサイトメーターなど様々な機器の管理を行なっています。

フローサイトメーターとは蛍光物質で光るようにした細胞を検出し、必要な細胞のみを回収することが出来る装置で、iPS 細胞研究に欠かせません。CiRA には計 8 台のフローサイトメーターが設置されていますが、毎日予約で一杯です。光永さんは合間を縫ってメンテナンスをしたり、トラブルが生じたら簡単なものであれば対応し、場合によっては業者を呼んで修理してもらったり、機器の使い方や解析方法の指導をしたり、忙しい日々を過ごしています。

今は機器の管理をするのが大変な光永さんですが、ゆくゆくは「独自のテーマを持って、自分の手を動かして実験・研究を進めたい」と語っていました。今後の光永さんの活躍が期待されます。

Cells

CiRA news update

CiRAアップデート

9/18

京都大学が保有する iPS 細胞基本技術に関する特許が、日本で 1 件、米国で 3 件、新たに成立しました。

9/3

このほど、初期化機構研究部門の齊藤博英准教授が第10 回日本分子生物学会三菱化学奨励賞の受賞者に選ばれました。

9/1

星野利彦前内閣官房内閣参事官(文部科学省科学技術・学術政策局付併任)が、基盤技術研究部門教授兼所長補佐として着任しました。 (11 ページ

9/1

第 10 回 CiRA カフェ・FIRST を開催しました。
音楽デュオnatura の演奏の後、浅香勲准教授(基盤技術研究部門)が iPS 細胞の標準化について話しました。

カフェの参加者に説明する浅香准教授

8/4

第 9 回 CiRA カフェ・FIRST を開催しました。オーボエとピアノの演奏の後、「血糖値の見張り番 すい臓 β 細胞をつくりたい!」と題して、豊田太郎先生(増殖分化機構研究部門)によるお話がありました。

8/1

井上治久准教授(臨床応用研究部門)の研究グループは、ALS 患者さんから樹立した iPS 細胞を用いて、ALS のこれまで知られていなかった病態を解明し、ALS に対する 新規治療薬シーズを発見しました。この研究成果は米国科学誌に発表されました。

7/23-25

CiRA は、名古屋市中小企業振興会館(吹上ホール)で開催された「未来を創造する 新産業フォーラム・未来展 2012」にブース出展しました。

7/18-20

平成 24 年度第二回ヒト iPS 細胞樹立・維持培養実技トレーニングを開催し、エピソーマルベクターを用いたヒト iPS 細胞樹立方法の研修を行いました。

7/17

青井貴之教授(基盤技術研究部門)のグループは、ヒト iPS 細胞の肝細胞への分化特性を比較し、分化のしやすさはドナーの違いに起因するところが大きいとする研究成果を米国科学アカデミー紀要に発表しました。
6 ページ

7/7

第 8 回CiRA カフェ・FIRST を開催しました。バイオリンとピアノの演奏の後、「軟骨研究こつこつと」と題して、妻木範行教授(増殖分化機構研究部門)が、約20 年に わたる軟骨細胞を作成する研究について話しました。

7/4

中畑龍俊教授(京都大学 iPS 細胞研究所副所長)、齋藤潤准教授(臨床応用研究部門)の研究グループの田中孝之特定研究員は、慢性乳児神経皮膚関節(CINCA)症候 群の患者さんから iPS 細胞を作製することにより、その病態を詳細に解析し、遺伝子変異をもった細胞が疾患の発症に深く関わることを明らかにしたことが、専門雑誌 Blood に掲載されました。(4 − 5 ページ

Cells

From CiRA

iPS 細胞研究基金

京都大学基金リニューアル

このほど、京都大学基金のウェブサイトがリニューアルされましたのでお知らせします。
また、銀行でも利用できる振込用紙が作成されました。これらを使って iPS 細胞研究基金にご寄附いただけます。
新しく追加された機能は、以下の通りです。

  1. 継続寄附が出来るようになりました。京大基金のウェブサイトから、クレジットカードを使って定期的に寄附金額が引き落とされる機能が追加されています。毎月、年 1 回、年 2 回とお選びいただけます。
  2. インターネットバンキング(ペイジー)がご利用いただけます。
  3. ATM 決済(ペイジー)がご利用いただけます。
  4. ゆうちょ銀行、郵便局、銀行共通の振込用紙がご利用いただけます。

インターネットからのご寄附のお申し込み方法等の詳細は、京都大学基金のウェブサイトをご覧ください。
京都大学基金のウェブサイトはこちら http://www.kikin.kyoto-u.ac.jp/howto/

インターネットを利用されない場合は、できるだけFAX(075-366-7023) にて振込用紙を請求してください。
ご希望枚数の振込用紙をお送りします。

一日も早い iPS 細胞技術の医療応用を目指し、病気や怪我に苦しんでおられる方々の苦痛を少しでも取り除くことができるよう、研究者、研究支援スタッフ一同、さらに精進してまいります。ご理解、ご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

問合せ先: 京都大学 iPS 細胞研究基金 事務局
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町53
TEL:075-366-7152 FAX:075-366-7023
メール:ips-kikin@cira.kyoto-u.ac.jp

Glossary

注)ペイジーとは?
金融機関やコンビニの窓口に並ぶことなく、パソコンや携帯電話からオンラインで各種振込ができるサービスです。詳細は、こちらのサイトをご覧下さい。http://www.pay-easy.jp/index.html

Editorial info

発行・編集

京都大学 iPS 細胞研究所
(CiRA)国際広報室
〒606-8507
京都市左京区聖護院川原町53
Tel: (075)366-7005
Fax: (075)366-7023
Email: ips-contact@cira.kyoto-u.ac.jp
Web: www.cira.kyoto-u.ac.jp

制作協力

CiRA 事務部
知財契約管理室
川上雅弘 大阪教育大学科学教育
センター

撮影

CiRA 国際広報室

印刷

株式会社北斗プリント社

Web制作

インフォメーションメディア
デザイン株式会社
URL:http://www.imd-net.com

CiRA ニュースレターは内閣府「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」の支援を受けています。
本誌の記事・写真・イラストの転載を禁じます。
再生紙100%使用
Printed in Japan