ニュース・イベント
News & Events

ニュース・イベント
News & Events

Home › ニュース・イベント › ニュース › 2010年 › 研究活動 › iPS細胞等を利用した心臓疾患研究に関する総説論文 Journal of Molecular and Cellular Cardiologyに掲載

ニュース 
News

2010年11月24日

iPS細胞等を利用した心臓疾患研究に関する総説論文 Journal of Molecular and Cellular Cardiologyに掲載

このほど、吉田善紀講師(京都大学iPS 細胞研究所/物質‐細胞統合システム拠点)と山中伸弥教授(同 iPS細胞研究所 所長/物質‐細胞統合システム拠点)による、iPS細胞やES細胞を利用した心臓疾患研究について記した総説論文が、米国から発行されている心疾患に関する専門誌「Journal of Molecular and Cellular Cardiology」にオンラインで掲載されました。

今回の総説では、特に、iPS細胞注1に関しては、導入遺伝子の組込みが起こらない方法が開発されている研究の進展状況等を紹介するとともに、ES細胞注2やiPS細胞を用いた心筋再生研究の現状などを挙げて、ES細胞やiPS細胞を利用した心筋梗塞等への医療応用の可能性について詳述しています。

心臓疾患は、先進国においては主な死因の一つとして知られています。重症心不全などの心臓疾患の治療には、心臓移植などの外科的手術や埋め込み型人工心臓注3の利用などありますが、これらの治療法にも限界があり、新しい治療が求められ研究が進められています。そのような状況において、幹細胞を利用した心筋再生研究への期待が高まっています。近年開発されたiPS細胞やES細胞をこれらの研究や治療に利用できると考えられていることから、本総説では、iPS細胞の様々な樹立方法や課題を示しながら、iPS細胞やES細胞を用いた心筋再生研究の現状についてまとめられています。

論文名
iPS cells: A source of cardiac regeneration.
Yoshinori Yoshida and Shinya Yamanaka

Journal of Molecular and Cellular Cardiology
(URL:http://www.elsevier.com/wps/find/journaldescription.cws_home/622889/description

※恐れ入りますが、本論文は出版社のウェブサイトなどより入手ください。CiRAからの送付サービスは行っておりません。

吉田講師の研究概要はこちらよりご覧いただけます。

<用語説明>

注1 iPS 細胞(人工多能性幹細胞:induced pluripotent stem cell)
体細胞に特定因子を導入することにより樹立される、ES 細胞に類似した多能性幹細胞。2006 年に山中教授の研究グループにより世界で初めてマウス体細胞を用いて樹立成功が報告された。2007 年にヒトiPS細胞樹立成功が発表されている。

注2 ES細胞(胚性幹細胞:embryonic stem cell)
受精後、数日経過した胚(胚盤胞という発生段階)の内部の細胞を取り出して培養した多能性幹細胞の一つで、あらゆる組織の細胞に分化することができる。しかし、作製の際に受精卵を滅失することや患者自身の細胞から作製できないため免疫拒絶の問題などが指摘されている。

注3 人工心臓
心臓の機能を代用するために作られた医療機器で、機能不全に陥った心臓の代わりとして体内に埋め込む「全置換型人工心臓」と、心臓の機能の一部を補う「補助人工心臓」の2種類がある。

go top