ニュース・イベント
News & Events

ニュース・イベント
News & Events

Home › ニュース・イベント › ニュース › 2012年 › イベント・セミナー › 第7回CiRAカフェ・FIRSTを開催しました

ニュース 
News

2012年5月23日

第7回CiRAカフェ・FIRSTを開催しました

第7回CiRAカフェ・FIRST「あなたとわたしを見分ける細胞のしるし」を5月19日(土)にiPS細胞研究所(CiRA)のエントランスホールにて開催しました。今回は木村貴文教授(規制科学部門)が、細胞が自分と自分ではないものを見分ける仕組みについて、26名の方々にお話しました。

Saúde!のメンバー

マンドリンアンサンブルの演奏を聞く参加者

一足早い初夏を思わせる暑い日差しの中、26名の参加者がCiRA一階に集まり、コーヒーと洋菓子を手に取り、オープンカフェのような雰囲気の席につきました。CiRAカフェの始まりは、マンドリンアンサンブル「Saúde!」による演奏です。マンドリンのまろやかな音色で「パッヘルベルのカノン」や「風の丘(魔女の宅急便)」、「リベルタンゴ」などが演奏され、馴染み深い曲に参加者の方々が聞き入っていました。アンコールに応えて「ドラえもんのうた」が演奏されると、参加者の中から手拍子が沸き起こり、会場が一体となって楽しんでいました。

マンドリンの余韻が醒めやらぬなか、木村先生のトークが始まりました。アフリカ大陸で生まれたヒトの祖先は、グレートジャーニーを経て今のように世界中で生活するようになりましたが、その際に重要だったのがヒトの多様性でした。限られた場所で生活をする動物と比べ、様々な場所で生活するヒトは多様性に富んでいるそうです。

ここで多様性を体験してもらうため、箱の中に入れた物を見ずに触って当てるというゲームを、3名の参加者の方に挑戦していただきました。するとそれぞれ驚いたり戸惑ったりと少しずつ違った反応をしました。木村先生によると、人それぞれの反応が異なるように、免疫反応に深く関与する「HLA(ヒト白血球抗原:Human Leukocyte Antigen)」も多様なのだそうです。次に、2名の参加者が一回目は普通に握手し、二回目は小さなボールを持ったスタッフと握手しました。

すると二回目の握手では手の形が違うので違和感を覚えます。この時の手のように、HLAは自分の細胞と自分ではない細胞とを見分ける役割を果たしていると説明しました。

木村貴文教授

箱の中身を触って当てる参加者

細胞を移植する治療の際にはHLAを合わせることが重要ですが、4種しか存在しないABO式の血液型と違い、HLA型は何万種類も存在していて、型を合わせることが困難です。しかし母親と父親から1つずつ受け継いだHLAが偶然同じになったHLAホモ型のヒトの細胞であれば、より多くのヒトに移植することができるという木村先生。特に日本やアイルランドという島国は、大陸のようにヒトの移動が活発ではなかったため、比較的HLAホモ型のヒトが多く、また似たHLA型を持ったヒトが多いことが紹介されました。

このような背景をもつ日本では、HLAホモ型のiPS細胞をストックすることで、他の国と比べてより多くのヒトの移植治療が可能になるだろうといいます。また実際にHLAホモ型のiPS細胞ストックを作製するための取り組みの一つとして、京都大学病院iPS細胞臨床開発部を紹介して終了しました。

木村先生の分り易い例えと笑いを誘うトークに、会場からは次々と質問が飛び交いました。アンケートでは「移植をする上で重要とされるHLAについて詳しく知ることができた」、「日本とアイルランドがHLAの多様性について似ていること」を初めて知ったというコメントが寄せられました。

次回のCiRAカフェ・FIRSTは7月7日(土)午後3時から開催予定です。参加者募集や詳細なプログラムはこのホームページでご案内致します。皆様のご参加をお待ち申し上げます。

このイベントは、内閣府「最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)」のアウトリーチ活動の一環として開催しています。

go top