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2012年7月25日

第8回CiRAカフェ・FIRSTを開催しました。

第8回CiRAカフェ・FIRST「軟骨研究こつこつと」を7月7日(土)、iPS細胞研究所(CiRA)のエントランスホールにて開催しました。 今回は妻木範行教授(増殖分化機構研究部門)が、約20年にわたる軟骨細胞を作成する研究についてお話しました。

CiRAカフェ当日は、朝まで荒れ模様の天気でしたが、老若男女、34名の参加者がCiRAの1階エントランスホールに集まりました。それぞれに、コーヒーなどの飲み物や洋菓子を手に取り、席で一息ついたら、CiRAカフェの始まりです。カフェの前半は鈴木紗恵梨さん(バイオリン)と中村朋子さん(ピアノ)による演奏です。

バイオリンを演奏する鈴木紗恵梨さんとピアノの中村朋子さん

まずは、明るい曲調の「My Favorite Things(The Sound of Musicより)」から始まり、クラシックの「主よ、人の望みの喜びよ(J.S. バッハ)」、パワフルな「リベルタンゴ」、J-POPの「夜空ノムコウ」と続き、同じ『愛』がタイトルについていながら対照的な雰囲気の「愛の悲しみ(クライスラー)」と「愛の挨拶(エルガー)」が演奏され、最後は、「黒い瞳」という情熱的な演奏が披露され、参加者はバイオリンとピアノの美しい調べに聞き入っていました。

続いて、妻木先生が登場し、もともと整形外科医で、人間の生体内では再生することのない「軟骨細胞をつくる」ことを目指し、20年ほど前から基礎研究を始めた経緯から話し始めました。研究の過程で、皮膚の線維芽細胞を軟骨細胞に変える因子を発見したものの、できた軟骨細胞は、元の線維芽細胞の記憶も残したままだったそうです。 さらに良質な軟骨細胞を作るために、こつこつと地道な研究を続けていたところ、iPS細胞樹立の発表を聞き、自分の研究にも応用できるのではとひらめいたとのこと。それまでの地道な研究の蓄積が功を奏して、iPS細胞を作成する際に必要な因子のうちの2つ(c-MycKlf4)と軟骨因子(Sox9)を用いて、良質なガラス軟骨細胞を得ることに成功しました。

膝関節の模型を手に話す妻木教授

ここで、「こつこつと研究を続けること」の一端を体験すべく、「分注競争ゲーム」をしました。ルールはシンプルで、10本の1.5mlチューブに二種類の溶液をピペットマンで早く分注した人の勝ち!というものです。妻木研の山下晃弘研究員と会場からの参加者2名が挑戦しました。山下研究員には、司会からピペットマンに関わる質問が投げかけられながら、作業してもらいました。結果は辛くも山下研究員の勝利、妻木先生もほっとした表情でした。

分注競争ゲーム

後半は、皮膚細胞からiPS細胞を経て軟骨細胞を作製する試みについて紹介しました。前半での皮膚細胞から直接、軟骨細胞を作製するのとは異なるアプローチです。iPS細胞を経ることにより、iPS細胞ストックを利用した軟骨の再生医療を目指すことが可能になります。また、iPS細胞はほぼ無限に増えるという利点を生かし、軟骨疾患の患者さんからiPS細胞を作製して軟骨細胞へと分化させることにより、病気の原因を探り、治療薬を探索する取り組みも紹介しました。参加者からは、「20年も前から軟骨を再生する研究に取り組まれていることに驚きました」、「iPS細胞の研究はiPS細胞から分化する細胞の研究のみだと思っていましたが、それだけでなく、幅広く研究しているとわかりました」、「是非、更なるブレークスルーを目指し、且つ地道な研究に諦らめず粘り強く取り組んで頂きたい」などのコメントが寄せられていました。

次回のCiRAカフェ・FIRSTは8月4日(土)午後3時から開催予定です。皆様のご参加をお待ち申し上げます。

このイベントは、内閣府「最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)」のアウトリーチ活動の一環として開催しています。

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