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2018年3月13日

【開催報告】一般の方対象のシンポジウム「iPS細胞で拓く創薬の未来」を開催しました

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、3月2日(金)、CiRA講堂にて、シンポジウム「iPS細胞で拓く創薬の未来」を開催しました。当日は、春の訪れを感じる暖かい日となり、事前にお申込みいただいた57名の方にご参加いただきました。

このシンポジウムは、日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクト「難治性疾患創薬シーズの探索と薬剤安全性評価法開発」の研究成果に関するアウトリーチ活動の一環として、本プロジェクトに携わった研究者から、研究成果を一般の方に広くお伝えするために企画されました。

シンポジウムでは、5名のCiRA研究者が講演し、会場からの質問に答えました。

はじめに、増殖分化機構研究部門井上治久教授より、ALSやアルツハイマー病などの神経疾患に対して、治療薬の候補となる物質を探索する研究についてお話しました。神経疾患においては、患者さんから神経の細胞をご提供いただくことが難しいことから、なかなか研究が進んでいませんでした。しかし、iPS細胞を神経の細胞に分化させれば、その細胞に薬の候補となる物質をふりかけて、効果を調べることができます。井上教授は、この方法を使って、神経疾患に対する治療薬を探しているとのことでした。

神経疾患に関する研究について講演する井上教授

続いて、創薬技術開発室の太田章特命教授が、患者さんの細胞から作製したiPS細胞がどのように創薬に役立つかを解説しました。例えば、筋肉の病気の患者さんから細胞をご提供いただき、そこから作ったiPS細胞を筋肉に分化させると、筋肉の病気の状態を再現することができます。この方法で、今まで研究することが難しかった病気についても、治療法を探すための研究を行うことができるようになってきているそうです。

iPS細胞を使った創薬研究について話す太田特命教授

増殖分化機構研究部門長船健二教授は、iPS細胞を肝臓の細胞に分化させる研究の進捗について発表しました。医薬品の開発では、薬剤候補物質が肝臓への毒性が強いため開発を断念することが多々あります。長船教授のグループでは、iPS細胞から分化させた肝臓の細胞を使って、開発の初期の段階で化合物の肝毒性を調べ、毒性の強い化合物を候補から外すための研究を行っているとのことでした。

肝臓の研究について話す長船教授

臨床応用研究部門齋藤潤准教授は、小児難治性疾患について研究しています。今回の講演では、非常にまれな小児疾患について、患者さんからご提供いただいた細胞から作ったiPS細胞を使って研究を進めていることを報告しました。iPS細胞を使うと、症例の少ない病気についても、十分な細胞の量を確保して研究を進めることができます。まれな病気について研究できるということは、ゆくゆくは病気の個人差も考慮に入れた個別化医療も可能になるかもしれないと話していました。

小児難治性疾患の研究について講演する齋藤准教授

最後に、未来生命科学開拓部門吉田善紀准教授が、iPS細胞から作った心臓の細胞を創薬に活用する研究について報告しました。薬の開発においては、その薬が心臓に対して毒性をもつかどうか確認することも重要です。吉田准教授は、iPS細胞から効率的に心臓の細胞を分化する方法を開発し、その細胞を使って薬の毒性を確認するための研究を進めているとのことでした。

心臓の研究について講演する吉田准教授

会場からは、患者さん由来のiPS細胞を使ってどの程度病気の状態を再現できるかなどの技術的な問題や、細胞提供における患者さんのプライバシーをどのように守るかという倫理的な問題についても質問があり、研究者と参加した市民が意見を交わしました。

CiRAでは、研究成果を広くお伝えするため、今後もいろいろなイベントを企画してまいります。みなさまのご参加をお待ちしております。



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