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研究成果 
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2016年7月13日

国際幹細胞データガイドライン「MIACARM」の開発

ポイント

  1. 幹細胞データベースに保存するべき最小情報のガイドラインを開発した。
  2. 細胞の名称から曖昧性(同名異種・異名同種など)を排除するために細胞コードを導入した。
  3. 日本を中心とした国際協力の元で、世界の主要な細胞バンクが開発に参加しており、本ガイドラインが事実上の標準(デファクトスタンダード)となると期待される。
1. 要旨

 藤渕航教授(CiRA 増殖分化機構研究部門)らを中心とした国際研究グループが幹細胞データの項目ガイドライン「MIACARM」を提案しました。

 世界中の企業や研究所で幹細胞をはじめとした再生医療の研究が進められています。またそうした研究に使う細胞を保存する細胞バンクも世界に20以上存在しています。しかし、収集するデータについて統一されたフォーマットがないために、バンク間での比較が困難なこともあり、保存された細胞が有効に活用されていませんでした。これまで細胞データガイドライン(MIACA)は存在していましたが、幹細胞で利用するためには、ヒト細胞種コードと品質管理の項目が不足していました。本研究グループは、こうした項目を含めた幹細胞データの項目ガイドライン「MIACARM」を新たに提案しました。MIACARMを用いることで世界中の細胞バンクで相互検索が容易に行えるだけでなく、再生医療の実現化を促進することができると考えられます。

 この研究成果は2016年7月12日午後2時(米国東部夏時間)に「Stem Cells Translational Medicine」で公開されました。

2. 開発の流れ

1. ヒト細胞種コードの導入
 これまで細胞の命名法に規格が無かったため、同名異種細胞や異名同種細胞が存在する状況でした。また、区別できずに1つの種類とされていた細胞から、新たに同定される細胞種もあります。これまでの5〜10倍程度の細胞種が同定され、それぞれ検証が必要となる可能性も指摘されています。現在の細胞種の判定方法では似た細胞の判別が困難であり、細胞の普遍的な分類が必要でした。

 そこで、胚葉・分化能・細胞発生時期・解剖学的位置・細胞種の5因子に基づくヒト細胞コードによる細胞種同定方法を開発し、細胞名の曖昧性を排除しました(図1)。

図1 細胞コード法による細胞種同定

2. MIACAをベースとして新しいガイドラインの開発
 細胞を使った研究のためにデザインされた細胞実験データガイドライン(MIACA: Minimum Information About a Cellular Assay)が2008年に作られていました。しかし、このガイドラインは培養細胞を使った研究が主な対象であり、ヒトの体細胞や最新のシングルセル解析技術に対応したデザインではありませんでした。

 MIACAでは「ヘッダー」「実験モジュール」「データ処理」の3つのモジュールで保存する情報を分類していましたが、MIACARM(Minimum Information About a Cellular Assay for Regenerative Medicine)ではそれを「プロジェクト」「細胞源」「評価」「実験技術」「データ」の5つのモジュールに再編しました。また、ヒト細胞コードに関する基準、幹細胞の品質管理に関する基準をはじめ項目を追加し、257項目からなるMIACARMを開発しました(表1)。

表1 MIACARMで記録される細胞情報

3. まとめ

 本ガイドラインは日本のCiRAを中心として、ドイツのシャリテ医科大学や、アメリカのRUCDR Infinite Biologics、イギリスのUK Stem Cell Bankといった主要な幹細胞バンク関係者が参加して開発され、事実上の標準となると考えられます。このMIACARMを他の幹細胞バンクでも利用を促すことで、再生医療の実現化をさらに促進することが期待されます。

4. 論文名と著者
  1. 論文名
    "First Proposal of Minimum Information About a Cellular Assay for Regenerative Medicine (MIACARM)"
  2. ジャーナル名
    Stem Cells Translational Medicine
  3. 著者
    Kunie Sakurai1, Andreas Kurtz2, Glyn Stacey3, Michael Sheldon4, and Wataru Fujibuchi1*
  4. 著者の所属機関
    1. 京都大学iPS細胞研究所
    2. Charité-Universitätsmedizin Berlin, Berlin-Brandenburg Center for Regenerative Therapies
    3. National Institute for Biological Standards and Control an operating centre of the MHRA
    4. Institute of New Jersey, Rutgers, The State University of New Jersey
5. 本研究への支援

本研究は、下記機関より資金的支援を受けて実施されました。

  1. AMED 再生医療実現拠点ネットワークプログラム iPS細胞研究中核拠点
  2. 厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金 再生医療実用化研究事業
  3. The UK Stem Cell Bank Phase IV grant from the Medical Research Council and Biotechnology and Biological Sciences Research Council
  4. National I institute of Neurological Disorders and Stroke grant (U24)
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