Naka lab

CiRA, Kyoto Univ.

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[研究成果] 初期化におけるMYCLの機能解明〜ドメインを介した働きの一端を明らかに〜

大学院生の秋藤さんが行っていた初期化におけるMYCLの機能解析の論文がオープンとなりました!詳細はコチラをご覧ください。

論文名:MYCL promotes iPSC-like colony formation via MYC Box 0 and 2 domains (DOI: 10.1038/s41598-021-03260-5)

ジャーナル名:Scientific Reports

論文へのリンクはこちら


当研究室ではiPS細胞の樹立が報告されてからMYCに関する研究を行ってきました。最初はガン関連遺伝子であるc-MYCを用いずにiPS細胞を樹立することができれば良いのでは?という考えから、SOX2 + OCT3/4 + KLF4の3因子だけでiPS細胞が樹立できることを報告しました。


しかし、c-MYCを用いずに使ったiPS細胞の分化能力が低いことが分かりました。また、c-Mycを使って樹立したiPS細胞からキメラマウスを作製したところ、体内に腫瘍を形成し死亡してしまうことが分かりました。

次に我々はc-MYCの代わりになり、腫瘍化を起こさない因子の探索を行いました。その結果、MYCファミリー遺伝子の中のMYCLを同定しました。MYCLはSOX2 + OCT3/4 + KLF4と組み合わせることでヒトでもマウスでも初期化効率を上昇させることが分かりました。また、作製したiPS細胞は分化能力を十分に有していることも確認しました。


MYCLが初期化に有効であることは分かりました。我々の次のテーマは「なぜMYCLが初期化に有効なのか?」です。c-MYCもMYCLも同じMYCファミリー遺伝子として知られています。MYC蛋白質にはMYCが機能するのに重要なドメイン(領域)がいくつかあります。c-MYCに関しては、その中の一つのドメインがガン化活性(形質転換活性)に重要であることが分かっており、ドメインの機能を知ることでMYCLの機能を知ることができると考えました。

以降の内容はCiRAホームページのプレスリリース資料をご覧ください。


(この論文を振り返っての私見 by 中川:ファミリー遺伝子間で保存されているドメインは同じ機能を持っているという考え方が一般的ですが、今回の研究から一概にそうではないことが分かったのは非常に興味深いことでした。初期化に関してc-MYCとMYCLで保存されているドメインが逆の機能を示すことには驚きました。こういうことがあるのが研究(サイエンス)の楽しみ(醍醐味)だなぁと感じました。この手の基礎研究は最初からゴールを明確に設定することが難しくあり、しかし、途中でいろいろなデータを読み解く(寄り道)ことでそのゴールまでたどり着けるという迷路を解くようなものだと思います。たまに、予想外の扉を見つけていきなりすごい場所に出てしまうこともまた面白いです。)

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