Naka lab

CiRA, Kyoto Univ.

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形質転換活性を欠損したMycによるリプログラミング促進効果

iPS細胞は、マウスやヒトの線維芽細胞にOct3/4、Sox2、Klf4といった三つの転写因子を導入することで作製できることが示されています。がんの原因遺伝子として知られるc-Mycは、iPS細胞の樹立効率の促進に寄与するだけでなく、腫瘍形成に働くことがiPS細胞由来のキメラマウスの実験結果から示されています。

我々は、MycファミリーによるiPS細胞誘導のメカニズムを詳細に解析し、MycファミリーのひとつであるL-Mycが、c-Mycよりも効率よくiPS細胞を誘導することを見出しました。また、キメラマウスを用いた実験において、L-Mycを用いて作製したiPS細胞由来のキメラマウスではほとんど腫瘍形成が起こらないことを見いだしました。また、L-Mycを用いて作製した iPS細胞の生殖系列への寄与率は、c-Mycを用いて作製した iPS細胞と同様に良いことも明らかにしました。

この研究成果により、Mycファミリーは形質転換や初期化に関して異なる機能を持っていることが示唆されました。また、効率の良いiPS細胞の誘導および低い腫瘍原性から、iPS細胞技術を臨床応用に用いる際にL-Mycの使用が有用であると考えます。

Nakagawa, M., Takizawa, N., Narita, M., Ichisaka, T., and Yamanaka, S. Promotion of Direct Reprogramming by Transformation-deficient Myc. Proc Natl Acad Sci U S A, 2010 Aug 10;107(32):14152-7. Epub 2010 Jul 26.

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