第10回CiRAカフェ・FIRSTを開催しました。
まだまだ残暑厳しい9月1日の午後、32名の方がCiRAカフェに参加して下さいました。記念すべき第10回目のタイトルは「〜標準化〜だれもが使えるiPS細胞へ」です。10代から70代まで幅広い年齢層の方々にお集まりいただきました。
カフェの前半は音楽パートです。今回は歌とギターの二人組、natura(なとぅーら)の演奏です。
「My Cherie Amour」で幕を開けたCiRAカフェ。様々なCMで使われて誰もが聞いたことのあると思われる「The Water is Wide」でさわやかな空気を作り、CiRA1階のエントランスホールにいた人たちはみな音楽に聞き入っていました。「Wave」「糸」と続き、京都らしい歌ということで「あおいのうた」を皆で一緒に歌い、会場が一体となりました。最後、「Rose」で締めくくり、音楽パートは終わりました。
歌をとギターを奏でるnaturaのお二人 |
後半はトークの部。浅香勲先生(基盤技術研究部門)によるお話が始まります。小さいころは空想科学に興味を持ち、そこに登場する博士たちのように、豊かな生活ができるような科学技術を開発する人を目指していたとか。CiRAの教員としては珍しく、薬学研究科修士課程修了後に約20年間一般企業にお勤めされていたという浅香先生。企業で仕事をしている間に、バイオ関連製品の研究開発を担当され、山中所長も購入したというカニクイザルのES細胞を製品化したそうです。
染色作業を指導する浅香先生 |
ここで休憩を兼ねて少し実験をしました。内容はiPS細胞を染色しようというもの。ALP(アルカリフォスファターゼ)染色という方法を用いると、iPS細胞だけがピンク色に染まり、その他の細胞は染まりません。iPS細胞の量を変えた合計6枚の培養皿に、それぞれ染色液をふりかける作業を参加者6名に体験していただきました。液を入れてしばらくするとみるみる色がついていくのがわかり、多くの参加者が夢中になって見ていました。
染色実験を行う参加者 |
トークの後半はいよいよ本題の標準化の話。iPS細胞はまだまだ新しい技術ですので、様々な人が様々なつくりかたで研究を行なっています。しかし医療に応用するためには、品質の良いiPS細胞を同じように大量に作る必要があります。その際に重要になるのが実験操作だそうです。工場で製品を作るのと同じように、iPS細胞を樹立する作業も、厳密に管理する必要があります。標準となる作業手順を定め、作業記録を作製し、作業をする人によってバラツキが出ないようにトレーニングも行います。このように管理し、講習会などで普及させることで、iPS細胞技術研究の推進をすることで、難治性疾患の治療薬開発や再生医療などの実現を加速させ、生活の質を向上することができるという話で締めくくられました。
参加者からは「本物のiPS細胞でこのようなオープンの場所で実験できるということが分かって感動!!」「医療としてはStandard化が極めて重要であり頑張って下さい」などのコメントが寄せられました。