出張CiRAカフェ・FIRSTを開催しました。
日中に一般の方対象のシンポジウムが開催された1月27日(日)の夜、出張CiRAカフェ・FIRSTが開催されました。通常iPS細胞研究所の1階エントランスホールで開催しておりますが、今回は神戸大学サイエンスショップの協力を得て、夜景の美しい神戸市役所24階にあるUCCカフェコンフォートにて開催しました。会場が神戸という事もあり、普段のCiRAカフェより兵庫県内から多くの方にご参加いただきました。
今回の講師は、直前のシンポジウムでも登壇した臨床応用研究部門の井上治久准教授でした。今回は一般のカフェでの開催でしたので、参加者の皆さんはメニューの中から好きなものを注文し、楽しんでいただきました。夕食時ということもあり、軽食やアルコール類を注文される方もいらっしゃいました。このようなリラックスした雰囲気の中で、初めての出張CiRAカフェを開始しました。
まず初めは、国際広報室員の和田濱によるCiRAの紹介です。10分ほどの短い時間でしたが、CiRAの研究内容を紹介したり、写真を使ってCiRAの研究棟内を紹介したり、少しでもCiRAの雰囲気を感じていただきました。
簡単にCiRA紹介を行った後は井上先生によるiPS細胞技術を使って神経の難病に挑む内容のお話です。1874年に発見されたALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病は、21世紀になっても依然として根本的治療法のない疾患です。運動神経細胞が上手く機能しなくなったり、無くなったりすることで、次第に筋力が低下し、最終的には呼吸をすることさえ困難になります。これまでに多くの研究者がこの難病に立ち向かい研究を重ねて来ましたが、なかなか良い薬を開発するには至りませんでした。
この難病に挑むためには、患者さんの運動神経でどのようなことが起きているのかを調べる必要があります。しかし患者さんから神経細胞を採取させて頂くことはできませんし、採取することが出来たとしても極僅かな細胞しか得られません。そこで活躍するのがiPS細胞技術です。
井上先生は、患者さんから採取させて頂いたiPS細胞から神経細胞を作製しました。この神経細胞は患者さんの細胞の分身とも言える細胞で、患者さんの体の中と同じことが起きていると考えられます。この細胞を使うことで、どのような薬を作れば効果があるのか、実験することができるようになり、井上先生のグループでは一つヒントとなる物質を見出したことを紹介しました。途中参加者からは切れ目なく質問が投げかけられ、井上先生は一つ一つ応対していました。
カフェ終了後のアンケートでは、「iPS細胞が直接組織をつくるだけでなく、分身として薬の効果をみてくれるということ」を初めて知った、「このような良い最新情報がいつでも患者さんに届くように!!!」、「これらか患者さんを増やさない為に病気の原因を究明し予防することも大事だと思います。それにiPS細胞が使えると思います。」など、様々なコメントが寄せられました。