PEOPLE
CiRA 研究支援者の想い
iPS細胞研究を支える
「家計簿」と「つながり」
勤怠管理から予算の管理まで、CiRAの研究室のメンバーの全般をサポートする業務。現在のCiRAが設立される前から山中研究室の秘書の仕事に携わる竹島清佳さん(所長室)に、仕事のやりがいとこれからの目標について聞きました。
研究室の家計簿をつくる
秘書の重要な仕事のひとつに、研究室の予算の管理があります。研究の試薬、消耗品、研究機器の購入などを研究者の希望を受けて協議し、集計します。言ってみれば研究室の家計簿担当です。
国や大学から預かった大切なお金を使って、研究者は研究成果をつくります。一方の私は、研究プロジェクトごとに予算執行ルールがありますので、そのルールにのっとり、年度末の決算に向けて研究者と密に相談しながらやりくりするのが仕事です。もしも経理処理で重大な間違いがあった場合、その責任は私だけではなく、研究者、そして研究所全体に及ぶ可能性があります。いつも気を引き締めて経理処理を行っています。
私が予算管理をすることで、研究者が研究に集中できるようにすることが、私の仕事のやりがいの一つであり、CiRAの秘書としての責任だと思っています。
CiRAは大きくなっても
“ひとつの研究室”
CiRAでは、所員全員一体感を持って仕事をしています。それはこの研究所にいる人々がみんな、居心地の良い関係を大切にしているからかもしれません。
私が山中研究室の秘書として着任した2009年当時、まだ研究所は存在していませんでした(※)。広報や知財管理等の部署も軌道に乗り始めた頃で、私のような研究室の秘書が「なんでも屋」として対応する業務が現在より格段に多かったように思います。
まるでできたばかりのベンチャー企業のようだったことを覚えています。着任してすぐに外部資金の大型プロジェクトの経理処理などを担当したり、日々増える業務に次々と対応を迫られることに戸惑う反面、新しい研究分野を切り拓いていく一員であることに、やりがいを感じられる時期でした。そしてその当時から山中伸弥先生(CiRA所長)は、メンバーが互いに良い関係性を築けることを大切にしていたのを鮮明に覚えています。
CiRA設立前から年に数回、山中先生を含めた親睦会があります。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い現在は開催されていませんが、研究者から私のような秘書まで、みな和気あいあいと交流していました。私は趣味でやっている音楽のことを、研究者のみなさんとお話することをとても楽しみにしていました。
山中先生は、CiRAで働く人がみんな、互いの顔や名前が分かる関係性を大切にしたいと考え、こうした交流を大切にしています。居心地の良さを、互いにつくっていこうという意志が、CiRAにはあります。たとえ組織が大きくなっても、所員にとってはCiRAは“一つの研究室”のような居心地なのです。
コロナ禍でも繋がりを大切に
秘書の仕事は、研究室のメンバーと直接会話し、事務的な手続きを行うことも多く、コミュニケーションが重要です。私は秘書に加え、所長室 学術研究支援グループの仕事も兼務しているため、所内の研究者同士が交流し、研究成果を発表する「プログレスセミナー」の運営なども行っています。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、CiRAでも在宅勤務が増え、所員同士のコミュニケーションが減りがちになっています。この現状に加え、秘書は決算前のハードな経理業務をはじめとした多岐にわたる業務をひとりで行うことも多いため、困難な状況に直面したまま誰にも相談できず、仕事へのモチベーションが低下してしまうことも心配されます。
こうした困難な時代を乗り越えるための知見の共有も含め、CiRAに勤務している秘書同士で対話するなど、新しいコミュニケーションの方法や機会を生み出していくことが重要だと考えています。
研究者を支える良きパートナーとなることを日々心がけるとともに、CiRAらしい居心地の良さは、たとえ困難な時代であっても、大切に受け継いでいきたいと思っています。
※「iPS細胞研究センター(CiRA:略称は現在と同じ)」。
「京都大学アイセムス(iCeMS)物質-細胞統合システム拠点」内に置かれていた。
たけしま さやか
竹島 清佳
2009年、京都大学iPS細胞研究センター山中研究室秘書に着任。2010年、iPS細胞研究所に改組後、斎藤研究室(未来生命科学開拓部門斎藤通紀教授)秘書を兼任。現在、所長室 学術研究支援グループも兼務している。