PEOPLECiRA研究支援者の想い

仕事のやりがいは「前例のないこと」を支えること

池田恵さんは、京都大学研究推進部産官学連携課(知的財産担当)、および総務部渉外課(基金担当)などを経て、2021年4月にCiRAの事務長補佐に就任しました。着任して約1年、振り返ると、前例のない、新しい研究や試みに携わることが大きなやりがいになっていると言います。

 事務長補佐の仕事は、言ってみればCiRAの「相談窓口」です。先生方が新しくはじめる研究はもちろん、所内の雨漏りや防犯への対処から、メンタルヘルスのケア、働く環境づくりまで、さまざまな相談が寄せられます。それらを大学のルールと照らしあわせながら、どのようにしたら改善・実現できるかを調べ、関係部署と相談しながら事務部として実行することを補佐するのが私の仕事です。そしてその相談事で、いつも驚かされることは、CiRAには「前例のないこと」に取り組むことがとても多いということです。
 たとえば、私が事務長補佐として初めて携わった、CiRA本館エントランスエリアの改修では、複数の企業がプレゼンを行い良い企画を選定する「企画提案型」という事例の少ない契約方法を採用しました。新しいエントランスホールは、開放的で明るく、壁面に寄付者の方のお名前が刻まれたプレートが掲示されています。寄付者の方々に支えられ、未来への希望を感じられる佇まいです。こうしたCiRA特有の文化を反映した改修は、企画提案型でなければ実現できませんでした。
 2019年にはCiRAで進められているiPS細胞の再生医療研究を産業界へと橋渡しするため、京都大学iPS細胞研究財団が設立されました。京都大学が財団を設立するという、前例のない試みであることはもちろん、この地球上でまだ実現されていない、iPS細胞を使った再生医療の産業化を推進する取り組みです。
 前例のないことに取り組むことは、道をつくることに似ています。新しい課題に直面し、情報収集をし、解決する。そうしたプロセスを通して、CiRAが進む道をつくっていくのです。後に多くの研究者や研究支援者が歩いていくための道です。こうした道を多くの方と協力しつくることができたとき、私はとてもやりがいを感じます。エネルギーも要りますし、実現できるか不安も大きいですが、達成感を感じられる仕事だと思っています。
 そして、こうしたCiRAの挑戦に数多くのご寄付とともにたくさんの応援メッセージも寄せられています。多くの方に支えられCiRAの活動があることに日々感謝し、応援を力に変えこれからも前へ進んでいきたいと思います。
 CiRAは今年度から髙橋淳新所長のもと、新しいステージへと歩みを進めます。そしてこれからも熱い情熱を持って研究をされる山中伸弥教授とともに、CiRAに新しく、良い風が吹いていくことを願っています。

© 2022 Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University.