SUPPORT基金事務局だより

2021年度 iPS細胞研究基金収支報告

 2021年度は、多くの方々から約3万件の温かいご支援を頂戴しました。これに加え、ポイント寄付等によるご支援を5万2千件以上、自動引き落としでの継続的なご支援、ご遺贈(遺言書によるご寄付)およびご遺族からの相続財産のご寄付も頂戴しております。また、数多くの寄付者の方に当基金の周知広報にもご協力いただき、ご支援の輪を拡げていただきました。お陰様で2021年度に皆様から賜りましたご寄付の総額は、過去最高となる約53億円となりました。心から感謝申し上げます。
 皆様からのご寄付は各研究室の研究費や研究支援経費に活用させていただき、2021年度も多くの研究成果をあげることができました。主な成果としては、iPS細胞から胎盤の元となる細胞を作製することやiPS細胞から新生児レベルまで成熟した心筋細胞を作製することに成功しました。また、iPS細胞から作製した腱の細胞をラットに移植し機能回復を確認しました。更に、新型コロナウイルスの感染のしくみの一部を解明しました。これらの知見が新たな治療法や薬の開発に貢献することが期待されます。
 iPS細胞を用いた臨床試験としては、CiRA の研究成果を活用し、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、家族性アルツハイマー病、卵巣がん、血小板減少症などで実施されています。
 このほか、若手研究者の育成、新しい研究室を立ち上げる際のスタートアップ支援、研究所の国際化推進、知的財産の確保・維持等にも寄付金を活用させていただいております。
 国からの研究費の多くが期限付きで不安定な中、iPS細胞の実用化に向けて研究を推進し続けられるよう、皆様からのご支援は長期にわたり大切に使わせていただきます。
 今後も、革新的な基礎研究をさらに進めていく環境を整え、患者さんや周りで支えておられる方々に、1日も早く再生医療研究や創薬研究の成果をお届けできるように、iPS細胞技術の臨床への応用を目指し、教職員一同、力を合わせ研究活動に全力を尽くします。皆様の温かいご支援に、重ねて心から御礼を申し上げます。

© 2022 Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University.