研究材料・プロトコル

研究材料については、CiRAのホームページをご覧ください。Materials

プロトコル(準備中)

研究概要

我々の研究室では、iPS細胞を臨床研究と結びつけるために、様々な疾患を持つ患者さんからiPS細胞を樹立し、これを用いて病態や病因を解析する研究を行っています。疾患iPS細胞研究を効率的に行うためには、1)疾患iPS細胞の樹立、2)病態を反映しうる適切な分化系の構築、3)分化させた細胞の解析、の3つの実験系を適切に構築し、組み合わせる必要があります。我々は、主に造血不全などの血液疾患、免疫不全症、小児難治性神経疾患1、先天性難聴2について興味を持って研究を進めており、これらの疾患の解析を進めています。

【1.疾患iPS細胞の樹立】
我々の研究室では、本年までに血液・免疫・神経疾患8種20例以上の患者さん及びその家族からのiPS細胞を樹立しています(現在樹立中のものも含む)3。これらの疾患の中には、疾患特異的な生物学的特徴のため、iPS細胞樹立が非常に困難な疾患が含まれます。このような疾患のiPS細胞を樹立することは、初期化機構の解明にも寄与することが考えられるため、iPS細胞樹立のための様々な検討を行っています。樹立したiPS細胞は、未分化マーカー発現・導入遺伝子のサイレンシング・奇形腫形成能・核型などを解析し、適切なクローンを選別しています。京都大学での疾患iPS細胞研究の取りまとめを行っているほか、他の文部科学省iPS細胞研究拠点とも連携し、樹立したiPS細胞株の理化学研究所バイオリソースセンターへの積極的な寄託を推進しています。

【2.分化系の構築】
質の高い解析を行うためには、適切な分化系の構築が必要不可欠です。我々の研究室では、主に血球分化系の改良に取り組んでおり、生体内での分化系路を適切にトレースできる独自の系を構築しています。この血球分化系を用いると、赤血球・好中球・血小板など、様々な機能的な血球細胞を作成することができるため、これを用いて疾患解析を行っています。また、In vitroで分化させた血球を、我々の研究室で開発したNOGマウスなどの免疫不全マウスに移入し、In vivoでの血球系を再構築する研究を進めています。

【3.分化細胞の解析】
疾患iPS細胞を用いると、一つの疾患に対して複数の種類の細胞や組織を横断的に解析し、疾患の全体像をとらえることができます。我々が興味を持っている小児先天性疾患では、しばしば血球系と軟骨系、血球系と神経系など、複数の組織に異常がまたがって発生するため、これらを包括的に解析することは、疾患の理解に非常に有用です。現在いくつかの疾患でIn vitroでの病態再現に成功していますが、これをさらに推し進め、疾患の病因・病態に迫る研究へと発展させたいと考えています。また、疾患iPS細胞は難治性疾患の創薬ツールとしても非常に有用であると考えられており、In vitroでの表現型を解析する薬剤・化合物のスクリーニングを行い、難病に苦しんでおられる患者さんの診療に貢献できる研究を目指します。

※1. 京都大学iPS細胞研究所 井上治久先生との共同研究
※2. 京都大学医学研究科 耳鼻咽喉科学教室 伊藤壽一先生との共同研究
※3. 京都大学iPS細胞研究所、浅香勲准教授・井上治久准教授・沖田圭介講師との共同研究を含む