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2014年3月1日
動物実験施設に関する報道について(平成26年3月1日)
京都大学iPS細胞研究所長 山中伸弥
本日、当研究所動物実験施設において遺伝子組換えマウスの不適切な管理があったことが報道されました。
私たちの研究にご期待いただいている皆様、ご支援いただいている皆様をはじめ、多くの方々にご心配をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。
次の2点につきまして、まずお伝えしたいと思います。
・遺伝子組換えマウスは研究所外部に持ち出されていません。
・iPS細胞研究所は関係法令を遵守しております。
その上で、当研究所の実験動物管理体制に不備があったことを真摯に受け止め、再発防止に全力で取組んでおります。
報道に関する事実関係を以下にお知らせしたいと思います。
遺伝子組み換え動物の自然界への拡散は法律(いわゆるカルタヘナ法)で禁じられております。私たちはこの法律を遵守しており、遺伝子組換えマウスの研究所外への拡散を防止するため、法令に基づく様々な対策(二重扉やネズミ返し、排水口ネットの設置など)を講じた上で管理しています。さらに、マウスは、床敷と呼ばれる木製もしくは紙製のチップを敷詰めた、ケージと呼ばれるプラスチック製の容器の中で飼育しています。ケージや床敷は、良好な飼育環境を保つため約1週間に一度くらいの頻度で新しいものに交換します。使用済みのケージと床敷は、飼育室から洗浄室に移動し、床敷は廃棄し、ケージは洗浄室において洗浄した後に消毒し再利用します。なお、洗浄室は、二重扉やネズミ返し、排水口ネットなど対策が講じられており、万が一、ケージの床敷内にマウスが紛れていた場合にも、逃亡を防止できる構造としています。
iPS細胞研究所では、飼育室でケージ交換を行う際、残ったマウスがいないかを、契約業者の飼育員が点検します。また洗浄室で床敷を廃棄する前に、もう一度、業者の担当者が確認します。廃棄された床敷は、プラスチックの袋に密封し、大学構内の焼却施設において、その日のうちに焼却処分しております。
iPS細胞研究所では、現在週あたり約1700ケージの交換を行っており、飼育室での最初の点検で、細心の注意を払ってマウスが残っていないかを点検しています。しかし、報道にありますように、飼育室の点検で見逃され、洗浄室で点検した時に、床敷の中からマウスが発見された事例が2010年4月から2013年12月までの間に合計14回ありました。
このような事例においても、洗浄室はマウスの逃亡を防止する構造となっている上、全てケージ内でマウスを発見しており、研究所外にマウスが持ち出された事はありません。しかし、飼育室の点検で万全を期せなかったことは重く受け止めており、飼育室での点検を別々の担当者が2回にわたって行う体制に変更し、確認を徹底しています。
このたびの報道で、多くの皆様にご心配をおかけしましたこと、改めて心よりお詫び申し上げます。iPS細胞研究所は、今後とも、関連法令や規定の遵守を徹底し、iPS細胞技術の医療応用を推進してまいります。