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Home › ニュース・イベント › CiRAシンポジウム質疑応答 2014年度

CiRAシンポジウム質疑応答
Q&A session

第5回 CiRA一般の方対象シンポジウム 第2部 Q&Aセッション

パネリスト 山中 伸弥 所長(山中と表記)
妻木 範行 教授(妻木と表記)
櫻井 英俊 講師(櫻井と表記)
司会者 関根 友美さん(関根と表記)

CiRA一般の方対象シンポジウム「ここまできたiPS細胞研究」の質疑応答において、はじめに、参加者から事前に寄せられた質問を司会者から聞いていただき、パネリストが回答しています。残りの時間で、参加者が直接講演者に質問しました。以下の文章は、これらの質疑応答を要約したものです。

関根

これからのお時間は皆さまからの質問に対し、先生方にお答えいただきますQ&Aセッションとさせていただきます。まずは会場の皆さまからの質疑応答の前にシンポジウムお申し込みの際にいただいておりましたご質問の中から、お時間の関係で幾つか選ばせていただきました。まず山中先生にお答えいただきたい質問です。

娘が1型糖尿病です。iPS細胞技術が1型糖尿病治療にどのように生かされうるのか。現段階でどこまで研究が進んでいるのかをぜひ知りたいです。また本人はiPS細胞研究者になりたいと言っているので、どのような進路を取ればよいのか、伺いたいです。

山中

1型糖尿病はインスリンが治療に必須です。子どもさんが発症することが多いのですが、治療としてはインスリンを生涯にわたって1日に何度も、子供さんがご自身で注射をします。注射をすると血糖値は下がりますが、下がりすぎて低血糖発作で患者さんが倒れてしまったり、場合によっては命をなくしてしまったりすることもあります。治療も大変だし、副作用の低血糖発作が非常に大変という病気です。

これに対して、いま最も期待されているのは、膵島移植という治療です。膵島というのは膵臓の中でインスリンをつくる組織ですが、1型糖尿病の患者さんでは、この膵島が異常になってインスリンをつくることができなくなっています。そこで多くの場合は亡くなった方の膵臓をいただく、もしくは生体移植といいまして、親御さんなど協力をいただける方の膵臓を一部いただいて、その中の膵島を分離して、患者さんに移植するという治療、膵島移植が大変な効果を上げております。京都大学医学部附属病院で100例以上の例があります。

しかし、なかなか十分な膵島を得ることができません。患者さんはもっとたくさんいますが、膵島移植が一般化しないというのは、膵島が十分に手に入らないということが原因にあります。

そこで、世界中の研究者がいまiPS細胞もしくはES細胞から膵島細胞をつくれないかという研究をしております。世界中の研究者が一生懸命やっても、完全な膵島細胞がまだどこもできていないのですが、私たちの研究所でも2つのグループが時には競い合い、そして協力し合い研究を進めていますので、1日も早くiPS細胞から膵島細胞へと分化誘導させる技術の開発を進めたいと思います。そこから先、移植の部分は、もうすでに京大病院は実績がございますので、比較的スムーズに進むと考えています。

二つ目のご質問のiPS細胞研究をしたいが、どういう道がありますかということですが、私たちの研究所はたくさんの若い学生さんであったり、若い研究者がいます。今日、ここに登壇している3名はたまたま全員が医学部出身でありますが、講演でお話ししましたiPS細胞を実際につくった3名のうち真ん中の高橋君という男性、彼は工学部出身ですし、両端の2人の女性は農学部出身です。またiPS細胞研究所には理学部出身であったり、私の学生ではなぜかしらないけれども法学部出身という人であったり、多彩な人材が集まっております。

ですから、例えば、医学部に行かないとiPS細胞を研究できないということは全くありません。医学部、理学部、農学部、工学部、やっぱり理系のほうがだいたいは近いと思いますが、そういった道に進んでいただけたら、将来、一緒に研究ができることもあるのではないか。また研究は実験をするだけが研究開発ではなくて、知的財産、特許をしっかり獲得するというのも非常に大切な研究開発の一環です。また、いろいろな企業との連携であるとか、それからこういった社会、一般の方へ研究内容を分かりやすく説明するというサイエンスコミュニケーターというようなお仕事もあります。ですから、そういう仕事は文系の方であっても、大活躍していただける場所ですから、本当にいろいろな形で私たちと一緒に仕事をしていただける機会はありますので、若い間はいろいろなことに取り組んで、自分のまず好きなことを、好きな道を選んでいただきたいなと思います。

関根

どうもありがとうございました。さまざまな道があるのだなと感じます。もちろん患者さんとして、ずっと闘病されていたそういう知見を生かして倫理とか法的なつながりとか、患者さんに向けた発信者とか、いろいろな道がありますよね、山中先生。

山中

本当にそのとおりです。

関根

続いては妻木先生にお答えいただく質問。

関節リウマチの患者です。病歴、20年以上ですが、生物学的製剤のおかげで痛みはなくなり、リハビリで関節可動域も改善されています。手術は全くしていません。しかしながら、軟骨が減り、関節が変形しています。関節軟骨再生に期待と希望を持っています、

というご質問というか期待というか、そういう思いを書かれている方ですが、一言お願いします。

妻木

ありがとうございます。頑張ります。本日、私が話させていただきましたのは、軟骨が痛む、軟骨が原因で関節が悪くなる病態について説明させていただきました。関節リウマチといいますのは、自己免疫疾患の一つで、炎症が起こって、その結果、関節の軟骨が溶けてくるような病気です。その結果、全身の関節が悪くなって日常生活にも不便を来すような重症な疾患ですが、全身の炎症をコントロールすることが、ここ数年、生物学的製剤の開発によって可能になってきました。

そういう意味でも劇的に関節リウマチの治療がよくなってきましたが、全身の炎症を抑えることができても、炎症の結果、傷んだ軟骨をもう一度正常に戻すことができていないというのが現状です。それに対して軟骨を元に戻すという方法が関節リウマチの患者さんにも必要だと考えられています。

本日、私が述べましたような再生医療を最初に行う患者さんは、比較的治療しやすい小さな軟骨の欠損が対象になります。それでうまくいくと分かると徐々により大きな難しい軟骨欠損に適応を広げていきたいと考えております。関節リウマチの軟骨欠損は軟骨の一面がそういう炎症でやられていますので、残念ながら、どちらかというと難しい部類に入ります。最終的にはそういう広い軟骨の損傷に対しても、再生医療をどんどん技術革新を重ねて治療ができるように持っていきたいと思います。

関根

どうもありがとうございます。確実にステップを踏みながら、いずれはということですね。

続きまして櫻井先生へのご質問になります。

知人にウールリッヒ型筋ジストロフィーを持つ人がいます。ウールリッヒは筋ジストロフィーの中でもまれな形であると聞きます。iPS細胞はこうした筋疾患の原因解明や治療法の開発にも期待がかかっていると思うのですが、筋ジストロフィーのように型の違いや患者数の違いによる研究進度や重要度に差異はあるのでしょうか。また、実際にウールリッヒ型筋ジストロフィーに対するiPS細胞を応用した研究は行われているのでしょうかというご質問ですが。

櫻井

はい、ありがとうございます。ウールリッヒ型先天性筋ジストロフィーは確かにまれで、おそらく100人も患者さんはおられないと思います。生まれたときから筋力低下を呈して、将来的には呼吸もしにくくなるということで、かなり重篤な病気です。実際、iPS細胞研究で取り組んでおります。まだ患者さんからのiPS細胞ができていないので、いま難病研究をしている先生方にお願いをして、患者さんにiPS細胞をつくるということにご協力をいただけないかと研究班を通じて呼び掛けている段階です。幸いなことに実は申し出がありまして、極めて近い将来、ウールリッヒ型筋ジストロフィーの患者さんから細胞提供を受けてiPS細胞をつくらせていただきます。

原因究明に関してですが、先行する研究でウールリッヒ型だとBethlem myopathyという病気もありますが、これはVI型コラーゲンが異常で起こることが分かってきました。面白いのは、実は型コラーゲンは筋肉自体で働いているのではなくて、筋肉の周りにある細胞で働いているというのが分かってきました。だから、筋肉がやせ細る病気ではあるけれども、筋肉は実は正常で、筋肉を取り巻いている細胞がちゃんと働かないからやせるのではないかということが徐々に分かってきました。ただ、まだ諸説あります。

iPS細胞から筋肉はできるようになりました。筋肉の周りの細胞も、いま共同研究でたぶんできます。患者さんからの細胞で筋肉をつくったら、本当に筋肉は正常なのか。筋肉の周りの細胞をつくったら、それは異常があるのか、正常なのかということが分かれば、どちらをターゲットにした薬をつくればいいかということが分かってくるかもしれません。また、両方合わせて培養することで、例えば健常な方の筋肉の細胞と、患者さんの周りの細胞を一緒にしたとき、あるいは逆に患者さんの筋肉の細胞と、健常な方の周りの細胞を一緒に培養したときに何が起こるのかが見えれば、病気のメカニズムが分かる可能性があります。これはiPS細胞だからこそできることだと思います。VI型コラーゲンに異常があったときに、なぜその筋肉が細くなるかというのが分かれば、治療法開発に向けた進みが加速するのではないかと期待して、いろいろな研究者の方といま、こんなふうに進めたらどうかというディスカッションをしている段階です。

関根

どうもありがとうございました。私は文系ですので、医学用語の難しいところになるとはあーと思うのですが、こんなことが発見されましたという、その熱みたいなもので、皆さん、本当に希望を持たれるだろうし、すごいスピードで進んでいるのだな、そうやって関係機関が手を結ぶことでこんなダイレクトな、ものすごくダイナミックなことが起きているのだなということを感じます。

それでは会場の皆さんにもぜひご参加いただきたいと思います。ご質問のある方、どうぞ挙手でお願いします。

参加者A

献血によってホモドナーの方がいまたくさん見つかりつつあると言われたと思いますが、いま何人ぐらい見つかって、何パーセントぐらいカバーできる感じなのかを教えていただきたいのと、ES細胞研究はこの後消えてしまうのかというのがちょっと気になっています。お願いします。

関根

どうもありがとうございます。先ほど山中先生から、この会場にもしかしたら1人ぐらいホモドナーの方がいらっしゃるかもしれないと言われたので、どうやって献血したらいいのだろうと思われている方もいらっしゃると思うので、そこも含めて山中先生、お答えいただけますでしょうか。あとはES細胞研究がこれからどうなっていくのかについても、言及していただければ幸いです。

山中

まずホモドナーの方については、最初の5年は日本人の30%から最大50%ぐらいをカバーするのが目標です。最頻度の方で約20%カバーができますし、次の頻度の方を見つけると30%近くがカバーできます。いま私たちが探しているのは、一番頻度が多い方、2番目の方、そこくらいまでです。最頻度の方はもう何名も見つかっております。あとはiPS細胞をつくるのが、大変な手間暇がかかります。なぜかというと、普通の実験用ではなくて、移植用ですから、特殊なクリーンルームでつくる必要がございますし、つくった細胞を厳密に品質管理する必要もございます。すでに見つかってご協力の意思を示していただいているそういった方々から今後、まずしっかりしたiPS細胞をつくりたいと思っています。

ES細胞研究は、いまも私たちも一生懸命行っています。ES細胞研究があったからこそ、iPS細胞ができましたし、ES細胞は受精卵からつくる万能細胞です。ですから受精卵が万能細胞そのものですから、ES細胞は私たちにとって言ってみたら、最大の目標といいますか、コントロールといいますか、いまつくっているiPS細胞とES細胞を比べて性質がES細胞に匹敵するかどうかということを、今後も調べていきますので、これからも非常に大切な研究になります。

関根

どうもありがとうございました。それでは引き続きましてご質問を受けたいと思います。

質問者B

創薬と再生医療をやるためにiPS細胞をたくさんつくらなければならない。オールジャパンでやるためにも、供給というのが非常に大事だと思いますが、その場合、いまこの製造とストックをする組織は、どのような組織体を考えられているのか。例えば民間へ委託するのか、あるいは国営の企業みたいなものをつくって京大がコントロールしてやるような形なのか。世界にはiPS細胞やES細胞を供給するための組織的なものというのは、どんなものがあるのか。その辺をよかったら教えていただければと思いますが、よろしくお願いします。

関根

どうもありがとうございます。山中先生、お願いします。

山中

iPS細胞のストックもしくはバンクですが、再生医療用のものと創薬研究用のもので、二つに分けて考える必要があります。

再生医療用のものは、特定のHLAの方からつくる。特定のHLA型の140名からつくると日本人の90%をカバーできるという試算があり、それほど大規模ではありません。こちらについてはiPS細胞研究所が国の支援を受けてつくるということを進めています。

もう一つは創薬研究です。これはたくさんの病気の種類があって、たくさんの患者さんからiPS細胞をつくります。また病気の方だけではなくて、正常の方からもつくる必要があります。いま世界中で創薬研究のためのiPS細胞バンクづくりが進んでいます。日本では国のプロジェクトとして進んでいます。いまのところ日本では数百株のiPS細胞をつくるのをまず目標にしていますが、アメリカでは数千単位の計画が進んでいます。これはNIHだけではなくていろいろな企業も入ってやっておりますので、今後日本も企業の力も借りながら、より大きなiPS細胞の創薬研究のバンクをつくっていく必要があると思います。日本は、再生医療は圧倒的にリードしていますが、創薬のほうはアメリカ、ヨーロッパが大規模で、ブルドーザーのような形で研究をしてきておりますので、日本も負けないように頑張っていきたいと思っています。

関根

櫻井先生、いかがでしょうか。

櫻井

私に直結するところでは創薬用のiPS細胞バンクということですが、われわれが筋肉の病気の患者さんからつくったものを、日本では理化学研究所のバイオリソースセンターに寄託をして、そこからいろいろな研究者のところに分配し、皆さんに使っていただくという形で進めております。その事業が進めば、日本でも大きな創薬研究用のバンクができるのではと考えております。

関根

それでは会場の皆さんから。

参加者C

ご講演、ありがとうございました。先日新聞でiPS細胞の国際バンク的なものをつくりたいと山中教授がおっしゃっているというのを目にしましたが、それについての今後の展望をどのように考えているのか、お考えをお聞かせください。お願いします。

山中

日本人用の再生医療用のiPS細胞ストックは京都大学が中心になっていまつくっておりますが、イギリス、フランス、韓国、そういった国ではそれぞれの国の同じような計画があります。国によってHLAの分布が異なっていますので、いま私が一番期待しているのは、日本で140名のHLAホモの方を同定したiPSをつくると日本人の90%の方をカバーできますが、残りの10%の方、この方は日本人の中ではまれなHLAをお持ちの方です。この人たちにどうやって適合するiPS細胞をつくるか。日本では非常に少ない。しかし、ほかの国では非常に多いHLA型であることもよくあります。ですから、国際連携することによって、日本ではなかなか手に入らないけれども、フランス、もしくは韓国とか、そういう国では比較的たくさんおられて、日本人のまれなHLAをお持ちの方もカバーできる可能性があるのではないか、ということで国際協力が必要だと考えています。

関根

ありがとうございました。それでは一番前の2列目の方。

質問者D

山中先生が最後のほう、4番目にお話しされましたALSですか、すごく関心を持ちました。神経の病気でいままで100年間ぐらい、いい治療が見つかっていないということですが、いま実際に苦しまれている患者さんたちがiPS細胞の今後の研究によって、実際に治療がうまくいくという見通しとしては何年後ぐらい、また、どれぐらいの研究の今後の見通しが計画でされているのでしょうか。教えてください。

山中

これはなかなか予想が難しいのです。薬の開発は製薬会社の場合でもたくさんの化合物のスクリーニングから始まって、本当の意味の臨床にいくまでは10年、20年という時間が簡単にかかってしまいます。ですから、iPS細胞を使った場合も、その薬が新たに開発する化合物、これまで薬として使われていないものがiPS細胞を使って有効だと分かった場合に、それを実際の臨床まで持っていくとなると、やはり10年ぐらいの時間は簡単にかかってしまいます。

しかし、いま私たちが同時に行っているのは、すでにほかの病気の薬として使われている薬とか、薬としてずっと開発が進んでいったけれども、ほとんど最後の方で有効性が思ったほどはなくて開発が中断してしまった薬とか、開発のほとんどのステップはもうすんでいるような、安全性は確認されている薬もたくさんあります。いろいろな病気の方のiPS細胞を使って、そういったすでに開発が進んでいる薬の新たな効果を発見できるのではないかと考えています。すると、非常に早くいままで薬がなかった難病の方に届けることができるのではないかと考えています。どの病気が何年というのはなかなか予想できなくて、いろいろな病気をいまは研究していますから、そのうちのある病気については既存薬が予想外に効くということが起こり得るのではないかと期待しています。

関根

どうもご質問、ありがとうございます。妻木先生もさまざまな患者さんと向き合っておられるので、一刻も早くというプレッシャーであったりとか、いつになったらというのはいつもさらされておられるお悩みではないかと思いますが、ご自身の研究の中で何か感じられることはありますか。

妻木

今日お話しさせていただいた再生という面からは細胞を移植するということになりますので、そのときにやはり安全性ということが非常に大事になってきます。まずいわゆる非臨床試験という動物を用いた研究でしっかり有効性と安全性を見ていくというステップ。それから、次は臨床研究という、ごく少数の患者さんに対して行うものですね。そういうステップを踏んでいって、着実にやっていきたいと思いますが、一応、目標としましては、本日お話しさせていただきましたように7年以内に軟骨に関しては臨床研究を始めたいという目標は持っております。

関根

それでは、質疑応答を続けたいと思います。

参加者E

先日、新聞に出ていた癌における免疫療法でiPS細胞を使ってという記事を読みましたが、こちらの展望と可能性みたいなところをちょっと聞かせていただければと思います。

関根

では、櫻井先生、お願いします。

櫻井

答えさせていただきます。免疫療法ですが、癌細胞は、実はわれわれの体の中に結構、日々できていて、それを自分の免疫細胞、外敵からやっつけるだけではなくて、癌になった細胞を早く見つけてやっつけるという細胞がわれわれの体の中に実はあります。これを使いますが、臨床応用として体の中から取りだしたものを増やしていくということは結構されていますが、培養が進んで増やしていく間にどんどん能力が落ちてしまう。若い免疫細胞をたくさん用意する必要があるということが分かってきました。

その若い免疫細胞をどうやってつくるかというと、iPS細胞からつくるということをわれわれの研究所の金子先生たちが報告していまして、この細胞に特定の癌の、この部分が癌ですよという認識をさせたような免疫細胞を大量につくりだして、それはまだそんなに年月を経ていない若いような免疫細胞で、それを患者さんに戻してやることで癌細胞だけ特異的にやっつけるという治療法。患者さんの中では最初はやっつけていたけれども、どんどん闘っていく中で疲弊してしまった免疫細胞しかありませんが、それをiPS細胞で若返らせてあげて、癌細胞をやっつける兵隊としてもう一回体の中に戻してやることで縮小効果が得られるということが見えてきました。

応用の段階がどこまでかという正確な話ではないのですが、動物実験で効果を見たりしておりますので、これも早い段階で臨床応用に向けて動きがあるものと期待しております。

関根

どうもありがとうございます。それでは後ろのほうの方。

参加者F

座ったままで失礼します。パーキンソン病になって19年目です。この間から聞いている話では治験のことについてお伺いしたいのですが、治験の場合、年が若いほうの人からやっていくということをちらっと聞いたのですが、それは本当でしょうか。

それと治験の応募はどういう形でやるのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。

関根

どうもありがとうございます。先ほど報道されましたパーキンソン病の治療について、若い人から治験を受けているということですが、その辺りの実情のほうを3名の皆さんの中でどなたかお話しくださいますでしょうか。山中先生、お願いできますか。

山中

日本の場合、臨床試験は臨床研究と呼ばれるものと、治験という2段階があります。専門的な話で申し訳ありませんが、いま髙橋淳先生が数年以内に始めようと考えておられるのは臨床研究です。どういう患者さんをまずこの臨床研究にご協力いただくかというのは、いま髙橋先生のほうでほかのパーキンソン病のいろいろな専門の先生方と相談されていると思います。まだ決まっていないと思います。

現在進行形で行われている加齢黄斑変性、こちらも臨床研究でございますが、こちらについては2年間で6名の患者さんのご協力をいただく。現在、その6名の患者さんを高橋政代先生(理化学研究所発生・再生科学総合研究センター)が中心となって選んでおられると思います。これも私自身は、詳細な選択の基準は公開されておりませんので、私がお答えすることはできないのですが、どういった患者さんにまずご協力いただいた場合に安全性、それから効果を見ることができるかという観点から判断されていますので、年齢そのものが選択基準かどうかというのは、少なくともパーキンソン病では完全に決まっていないと思いますし、加齢黄斑変性については私自身が完全に把握できておりません。不十分なお答えで申し訳ありません。

関根

どうもありがとうございます。それではお時間のほうが近づいてまいりましたので、最後に一つだけ質問を受け付けさせていただきます。

参加者G

今日は鹿児島からまいりました。私の息子は3人子どもがいますが、1人がウィルソン病です。発見が少し遅れまして、ペニシラミンの治療が遅れまして、いま軟口蓋の麻痺で言語障害が非常に強いのです。 櫻井先生の中にPeriodic Paralysis、周期性四肢麻痺も治療対象に入っていたので、ウィルソン病も対象に入るのかどうか、ちょっとお聞きしたいのですが。

櫻井

周期性四肢麻痺がなぜ研究に入っているかというと、筋肉の表面のイオンチャネルという収縮のときに必要なタンパク質に変異があるということが分かっていますので、変異があると分かっている患者さんで筋肉をつくって評価する研究をしています。申し訳ありませんが、ウィルソン病は現在取り組んでおりません。

関根

どうもありがとうございました。今日は鹿児島からお越しくださったということで、本当にありがとうございます。

それでは結びといたしまして、山中所長より一言ごあいさつを申し上げます。山中先生、お願いいたします。

山中

たくさんのご質問をいただきまして本当にありがとうございます。本来、皆さまのご質問に一つ一つお答えしたいのですが、一部しかお答えできなかったことをおわび申し上げます。 しかし、私たちのiPS細胞研究所のホームページがございまして、そちらのほうにはよくいただく質問に対する答えを掲載しておりますので、そちらもぜひご覧いただけたらと思います。皆さん、本当にありがとうございました。

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