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2017年8月1日

進行性骨化性線維異形成症(FOP)に対する医師主導治験の開始について

 戸口田淳也 京都大学医学部附属病院 流動プロジェクト プロジェクトリーダー(ウイルス・再生医科学研究所およびiPS細胞研究所兼務)を中心とするグループが、進行性骨化性線維異形成症(FOP)という希少難病に対して、京都大学医学部附属病院において医師主導治験を開始することになったと8月1日に発表しました。

 本治験にて使用される薬の候補であるラパマイシン(一般名:シロリムス)は、iPS細胞研究所(CiRA)の戸口田教授および池谷准教授らのグループによる研究成果により、FOP患者さんから作製したiPS細胞を使って効果が期待できる候補物質として見出されました。CiRAで行った患者さん由来のiPS細胞を使った創薬研究で治験が行われるのは初めてのことです。

 京都大学を含む全国4機関での共同治験となる見込みですが、実際に患者さんの受け入れなどを始めるのは、最も早い京都大学でも9月以降の予定です。

<FOPについて>
 FOPは、200万人に一人という極めて希な疾患で、日本での患者さんは約80名と推定されています。幼少期より、まず背部の骨格筋や腱のような本来骨が存在しない部位に骨組織が出現(異所性骨化)し、徐々に四肢に広がり、著しい運動機能障害をきたす疾患です。2006年にこの疾患の原因が骨形成因子(BMP)の受容であるACVR1のアミノ酸置換変異であることが判明しましたが、変異受容体がどのようにして骨化のシグナルを伝えるのかは未解決のままで、従って有効な治療法はない状態が続いていました。

<これまでの研究>
 CiRAの戸口田淳也教授と池谷真准教授のグループは、大日本住友製薬株式会社との共同研究によって、まずFOPの患者さんからiPS細胞を樹立して、培養皿の中で病気を再現し、異所性骨化発生の引き金となる物質としてアクチビンAを同定することに成功しました。そしてアクチビンAがどのようにして異所性骨化を誘導するのかを解析することで、mTORというシグナル伝達因子が重要な役割を果たしていることを見出し、mTORの働きを阻害する薬剤のうち、ラパマイシン(シロリムス)という既に他の疾患の治療薬として日本においても使用されている薬剤が、異所性骨化を抑制することを確認し報告しました。

<山中伸弥所長のコメント>
 「iPS細胞を使って選び出した薬の候補物質を使った治験を開始できることとなりました。ヒトiPS細胞が出来て10年の節目となる今年に、この様な発表が行われたことを嬉しく思います。しかし本当に患者さんで効果があるかどうかは、この治験によって検証されますので、慎重に治験の推移を見守りたいと思います。  また、この治験をきっかけに、iPS細胞を使った創薬研究がますます活発に行われ、他の様々な難病に対する新しい治療法の開発につながることを期待しています。」

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