研究活動
Research Activities
研究活動
Research Activities
主任研究者
Principal Investigators
臨床応用研究部門 髙橋 淳 教授
髙橋 淳 M.D., Ph.D.
- 髙橋淳研究室ホームページ
- 2024年度の研究活動
- 連絡先:takahashi-g*cira.kyoto-u.ac.jp
- お手数ですがメール送信の際 * を@に変えてください。
研究概要
我々の研究グループでは、iPS細胞から誘導した神経細胞の移植で神経回路を再構築することにより神経機能を改善させることを目指して開発研究を進めています。対象疾患はパーキンソン病と脳梗塞です。
1. パーキンソン病
1)Proof of Conceptの確立
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療を実現するには、まずiPS細胞から中脳ドパミン神経細胞を誘導し、それがパーキンソン病モデル動物の運動機能を改善させることを証明する必要があります。我々は神経幹細胞、ES細胞からのドパミン神経細胞誘導に取り組み、マウスES細胞やカニクイザルES細胞、ヒトES細胞から誘導したドパミン神経細胞がラットやカニクイザルパーキンソン病モデルの運動機能を改善することを明らかにしました。さらに、ヒトiPS細胞からのフィーダーレス大規模培養とドパミン神経前駆細胞の選別に成功し、この細胞が腫瘍等を形成せずラットパーキンソン病モデルの運動機能を改善させることを明らかにしました(図1)。
図1
さらにMPTP全身投与で作製したカニクイザルパーキンソン病においてもF-DOPA PETで移植細胞によるドパミン産生、ビデオ解析で運動機能改善、脳切片の組織学的解析でドパミン神経の生着が確認されました(図2)。これらの結果からヒトiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞のPoC確立が確認されました。
図2
2)非臨床試験と治験
カニクイザルを用いた動物実験で安全性と有効性が確認されたので、次のステップとして臨床用細胞を用いた非臨床安全性試験(毒性、造腫瘍性、生体内分布の確認)を行いました。免疫不全マウスに実際に治験で投与するものと同じ細胞を投与し1年間の観察を行ったところ、安全性に問題ないことを確認しました。また、この結果に基づいて、治験で使用する細胞の規格も決定しました。この結果をもって規制当局(PMDA)および京都大学の治験審査委員会から承諾を得、2018年から京都大学医学部付属病院で医師主導治験を開始しました(図3)。京大病院で健常人ドナーから血液をいただき、iPS細胞研究所内で臨床用iPS細胞を樹立、さらにドパミン神経前駆細胞へと分化させたのち、京大病院に戻して脳神経外科医が細胞移植手術を行い、脳神経内科医と放射線科医で安全性と有効性の評価を行いました。7名の患者に細胞移植と行い、全例2年間の経過観察を行いました。
図3
2. 脳梗塞
脳梗塞治療のためには皮質脊髄路を再構築する必要があります。そのためまず我々はヒトiPS細胞から脳オルガノイドを作製し、大脳皮質神経が誘導されることを確認しました(図4)。
図4
この大脳オルガノイドを新生マウスの大脳運動野に移植したところ、移植神経細胞が皮質脊髄路に沿って軸索を伸長させることが明らかになりました(図5)。
図5
大脳オルガノイド誘導ではすべてが大脳皮質神経細胞になるわけではなく、様々な形状をもつ細胞塊が誘導されてきます。しかし、細胞治療のためには均一な細胞集団をつくる必要があります。我々は不均一な細胞集団の詳細な解析を行い、大脳皮質神経細胞以外に腹側神経や神経堤細胞、脈絡叢細胞などが誘導されること、それらは形態的に選別可能であることを明らかにしました。
