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主任研究者
Principal Investigators

増殖分化機構研究部門 高山 和雄 講師

高山 和雄 写真
高山 和雄 Ph.D.
研究概要

ヒトiPS細胞やオルガノイド、臓器チップは、生体外で機能的な臓器様構造体を作製するために広く活用されており、これまでの研究により、疾患メカニズム解明や医薬品シーズ探索、薬効評価、毒性予測などさまざまな形で創薬に貢献できることが証明されています。当研究室では、これらの技術を用いた感染症研究を行っています。最近は、新型コロナウイルスやRSウイルスの研究に重点的に取り組んでいます。ヒトiPS細胞やオルガノイド、臓器チップを用いることにより、感染症の病態解明を行うとともに、新たな治療薬やワクチンを開発することを目指した取り組みを進めています。

(1) ヒトiPS細胞とオルガノイドを用いたウイルス感染症研究
昨今グローバルな問題となっているウイルス感染症(新型コロナウイルス感染症など)において、ヒトiPS細胞やオルガノイドを用いた病態解明と創薬が期待されています。ヒトiPS細胞やオルガノイドに対してウイルスを感染させることで、どの細胞にウイルスが感染できるか、感染によりその細胞がどのように応答するか明らかにできます。また、ヒトiPS細胞やオルガノイドを用いて、感染症のための医薬品候補化合物の薬効評価や毒性予測を行うことで、臨床予測性の高い試験結果が得られると期待されています。当研究室ではヒトiPS細胞を用いた新型コロナウイルスやRSウイルスに関わる宿主因子の解析、および、感染の個人差に関わる解析を実施しています。また、呼吸器オルガノイドを用いて新型コロナウイルスやRSウイルスの性状解析研究と創薬研究も行っています。

(2) 臓器チップ技術を用いたウイルス感染症研究
臓器チップ技術は、マイクロ流体デバイス内に多種類の臓器構成細胞を立体的に配置するだけでなく、ポンプなどを用いて細胞にせん断応力や伸縮刺激を与えることによって、臓器機能の一部をin vitroで再現できる手法です。臓器チップ技術を駆使することにより、生体でみられる「動き」(例えば血流や気流、伸縮運動、蠕動運動)をin vitroで再現できます。ヒトiPS細胞やオルガノイドをマイクロ流体デバイス内で培養することによって、より臓器らしさを獲得できるようになると期待されています。当研究室では呼吸器チップや肝臓チップ、腸管チップを開発し、感染症研究への応用を行っています。例えば、呼吸器チップを用いて新型コロナウイルスの変異株の解析を行うことによって、各変異株が呼吸器の上皮―内皮バリアを破壊する能力を評価することが可能です。

1) Virological characterization of the 2022 outbreak-causing monkeypox virus using human keratinocytes and colon organoids
Watanabe Y, et al. J Med Virol., 2023 Jun;95(6):e28827.

2) SARS-CoV-2 disrupts respiratory vascular barriers by suppressing Claudin-5 expression
Hashimoto R, et al. Sci Adv., 2022 Sep 23;8(38):eabo6783.

3) Elucidation of the liver pathophysiology of COVID-19 patients using liver-on-a-chips
Deguchi S, et al. PNAS Nexus, 2023 Mar 7;2(3):pgad029.

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