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主任研究者
Principal Investigators

増殖分化機構研究部門 吉田 善紀 准教授

吉田 善紀 写真
吉田 善紀 M.D., Ph.D.
研究概要

私たちの研究室では、以下の4つのテーマに取り組んでいます。

  1. 再生医療の開発研究
  2. 心疾患の疾患モデル研究・創薬
  3. 分化細胞の成熟制御法の開発
  4. 多能性幹細胞(ES細胞/iPS細胞)の分化能を規定する因子の解明

① 心筋再生治療の開発

現在の医療では十分な治療効果が期待できない患者さんに対する次世代の治療としてES/iPS細胞を用いた心筋再生治療の開発が期待されています。当研究室では心筋分化誘導法の開発、心筋再生治療に適したiPS細胞株の樹立・選別法の開発、心筋細胞の効率のよい移植法の開発の研究を行い、iPS細胞より作製した心筋細胞を用いて、治療効果の高い再生医療を開発することを目指して研究を行っています。

② 疾患特異的iPS細胞研究

患者さんの細胞から樹立したiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を分化誘導して作製した細胞を用いて、試験管内で疾患を再現することにより、疾患のメカニズムや創薬の研究が可能になりました。このような疾患特異的iPS細胞による研究は、ヒトの心筋細胞、血液細胞の安定的な誘導や、CRISPR/Cas9などのゲノム編集技術により遺伝子の改変が可能になってきたこともあり、今後の医学研究においてますます重要な役割をもつと思います。当研究室では、心疾患(心筋症・不整脈疾患など)や血液疾患(骨髄異形成症候群・白血病など)の患者さんの細胞から樹立したiPS細胞を用いて、疾患のメカニズム解析や治療薬の開発を目指しています。

③ 臨床応用のための心筋細胞、血液細胞誘導法の開発 ~分化成熟制御法の開発~

iPS細胞から作製した心筋細胞や組織は、創薬や薬剤の毒性検査において、動物モデルに代わるモデルとして、今後活用されることが期待されています。心筋には心室筋、心房筋、ペースメーカー細胞などさまざまなサブタイプの細胞が存在します。再生医療や創薬、疾患研究のためには目的に応じたサブタイプ、成熟度の細胞を使用することが重要と考えます。 当研究室では分化細胞の分化成熟を制御することにより、再生医療や創薬、疾患研究に適した心筋細胞・組織を効率よく作製する方法の開発を目指しています。

④ ES/iPS細胞株の分化能を規定しているメカニズムの解明

ES/iPS細胞は分化誘導時に特定の細胞への分化しやすい傾向(分化指向性)が存在し、どの細胞種に分化しやすいかは樹立した細胞株ごとに異なることが知られています。心筋細胞などの中胚葉系の細胞への分化誘導におけるES/iPS細胞のふるまいを細胞株間で比較解析することにより、多能性の維持や分化指向性などES/iPS細胞の動態のメカニズムの解明に取り組みます。さらにそれらの知見を用いて再生医療などの臨床応用に最適なiPS細胞株の樹立法、分化誘導法の開発を目指しています。

ヒトiPS細胞より分化誘導した心筋細胞
(緑: トロポニンT、青: DAPI)
心筋梗塞マウスに移植したヒトiPS細胞由来心筋細胞
(黄色部分)
ヒトiPS細胞より分化誘導した血球細胞
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