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2017年3月31日
CiRA、武田薬品、理化学研究所が iPS細胞を用いた新たなプロジェクトに関する共同研究契約を締結
京都大学iPS細胞研究所(所在地:京都市左京区、以下「CiRA」(サイラ))、武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)、国立研究開発法人理化学研究所(本部:埼玉県和光市、以下「理研」)、は、このたび、糖タンパク質の糖鎖脱離酵素「N-グリカナーゼ」をコードするNGLY1の欠損症の治療を目指した創薬研究について共同研究契約を締結しましたのでお知らせします。
本プロジェクトは、2015年4月にCiRAと武田薬品が発表したTakeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications(T-CiRA)と称する共同研究プログラムのひとつとして位置づけられ、NGLY1を発見された理研の鈴木匡チームリーダー(TL)が研究責任者として本プロジェクトをリードします。
NGLY1欠損症はNGLY1遺伝子の変異が原因であり、成長の遅れ、発育不全、運動障害、てんかん、涙が出にくいなどのさまざまな症状が見られる遺伝性の希少疾患です。今回の選択は、アンメットメディカルニーズが高い疾患に革新的な治療方法を提供するというT-CiRAの方針に沿ったものです。
本プロジェクトでは、理研で進めてきた基礎研究に、山中教授のグループが開発したiPS細胞技術と武田薬品が有する創薬基盤を組み合わせることで、未だ確立されていないNGLY1欠損症に対する治療法を開発していきます。
研究責任者となる、理研の鈴木匡TLは、「これまでの我々の基礎研究を創薬に活かす機会を与えていただき、身の引き締まる思いです。CiRAと武田薬品だけでなく、NGLY1欠損症の治療開発のためにこれまで協力関係を築いてきたグレース科学財団とも更に連携を深め、患者さんに一刻も早く薬を届けられるよう精一杯研究に取り組みたいと思います。」と述べています。
CiRA所長で、2012年にiPS細胞の開発者としてノーベル賞を受賞した山中伸弥は、「鈴木チームリーダーは細胞内でタンパク質の品質を維持する上で重要なNGLY1遺伝子について研究をされています。これまでの知見とT-CiRAの環境を活かして、NGLY欠損症に対する治療法開発が迅速に進むことを期待しています。」と述べています。
武田薬品の再生医療ユニットグローバルヘッドであり、山中教授のチーフアドバイザーである出雲正剛は、「この度、NGLY1の研究で世界的なリーダーである理研の鈴木先生にT-CiRAに参画していただくことを嬉しく思います。また、日本が誇る世界的な研究機関である理研とT-CiRAが連携することにより、研究が大いに加速することを期待しています。」と述べています。