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2011年2月1日

京都大学はiPS-AJ社を通じてiPierian社にiPS細胞関連特許のライセンスを許諾 iPierian社は同社保有のiPS細胞特許を京都大学に譲渡

国立大学法人京都大学は、iPSアカデミアジャパン株式会社(iPS-AJ社)を通じて、京都大学が保有する人工多能性幹(iPS)細胞製造に関する基本特許(特許出願を含む)について非独占的なライセンスを、米国iPierian Inc.に本年1月27日に許諾しました。今回のライセンス許諾により、iPierian社は、全世界で、京都大学が保有するiPS細胞関連特許に基づき、iPS細胞及びiPS細胞由来の分化細胞を使用し、ヒト用治療薬の研究開発を行うことができます。

また、世界で初めてiPS細胞樹立を報告した山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所長)が、iPierian社の科学諮問委員会(Scientific Advisory Board: SAB)委員に就任し、科学的見地から各種アドバイスを行います。なお、iPierian社から、SAB委員としての報酬は受け取りません。

さらに、京都大学は、iPierian社が保有するiPS細胞製造に関する特許(特許出願を含む。以下、バイエル特許という。)を、同日付で譲り受ける契約を締結しました。京都大学がiPierian社から取得した特許は、バイエル薬品株式会社神戸リサーチセンターの研究から生まれたもので、2008年に独国Bayer Schering Pharma AG(バイエル社)からiPierian社の前身であるiZumi Bio, Inc.に譲渡されたものです。具体的には、日本国特許出願第2007-159382号に基づき世界各国に出願された特許が今回の譲渡の対象となります。

昨年、iPierian社から、山中伸弥教授の発明を尊重し、将来想定される京都大学との特許係争を回避するために、同社が保有するバイエル特許を京都大学に譲渡したいという申し出がありました。京都大学は、iPS細胞研究所(CiRA)を中心に、世界のiPS細胞研究をリードする存在として、多くの研究機関や企業がiPS細胞技術を安心して使用できるよう、iPS細胞関連特許の権利化を図ってまいりました。本譲渡は、京都大学のみならず、iPS細胞研究に関わる機関や企業にとっても大きな意義を有すると考え、今回の申し出を受け入れることにしました。

 【京都大学総長 松本紘教授のコメント】
「昨年、iPierian社から同社が保有するバイエル特許を本学に譲渡したいという申し出がありました。本学は、同社の申し出を受けることにより、膨大な時間と費用がかかる特許係争を回避することが、iPS細胞研究とiPS細胞技術普及の加速につながると判断し、今回の契約締結に至りました。京都大学は、引き続き世界におけるiPS細胞関連特許の優位性を保ち、できるだけ多くの国々で活発な研究活動が行えるよう最大限の努力をして参ります。」

【京都大学iPS細胞研究所長 山中伸弥教授のコメント】
「今回の契約締結は、『1日も早く患者さんの元にiPS細胞技術の成果を届けたい』という私の願いと、『非独占でより多くの研究成果をあげていただきたい』との京都大学の方針に合致したものであり、今後ますますiPS細胞技術開発が加速されることを期待しています。」

【iPSアカデミアジャパン株式会社 吉田修代表取締役社長のコメント】
「iPS-AJ社は、iPierian社にiPS細胞関連特許のライセンスを許諾し、同社と良好な関係を築くことができたことをうれしく思います。今回のライセンス契約締結により、iPierian社が京都大学保有のiPS細胞関連特許を駆使し創薬研究を行うことは、創薬研究全体でのiPS細胞技術の実用化を促進させるものと確信しております。また、今回は、米国における創薬分野での初めてのライセンス契約でしたが、今後米国でも企業への特許ライセンス許諾をさらに進めて参りたいと考えております。」

【iPierian社 マイケル・ベヌーチ最高経営責任者のコメント】
「山中教授によるiPS細胞の樹立報告から数年しか経っていませんが、その技術の有用性の将来性がますます明らかになりつつあります。ラスカー賞、日本学士院賞、京都賞などの受賞でも認知されているように、山中教授の功績であるiPS細胞は、病態解明、薬剤探索効率の改善、再生医療に劇的な変化をもたらす可能性を秘めています。山中教授を科学諮問委員会(SAB)のメンバーに迎えることを喜ばしく思い、教授の貢献を期待しています。今回の契約締結を活かして、iPierian社は、米国および海外の製薬企業と提携し、iPS細胞を用いた創薬に一層強力に取り組みます。私たちは、iPS細胞技術を、創薬研究、開発のバイオ医薬品の業界スタンダードとして確立することを目指します。」

【京都大学について】
京都大学は、1897年の創立以来、自由の学風のもと、自主独立の精神を涵養し、質の高い高等教育と最先端の学術研究の推進に努めてきました。現在、約23,000名の学生と約5,400名の教職員を擁し、10の学部、17の大学院研究科と専門職大学院、加えて国内随一の多様性を誇る14の附置研究所、 27 教育研究施設等を有しています。京都大学の使命は、基礎から応用研究まで、世界的に卓越した研究活動を行い、地球社会の調和ある共存に貢献することです。
website: http://www.kyoto-u.ac.jp/en.

【京都大学iPS細胞研究所(CiRA)について】
CiRAは、iPS細胞研究に特化した世界初の研究機関として、2010年4月1日に京都大学の14番目の附置研究所として設立されました。2006年に世界で初めてiPS細胞樹立成功を報告した山中伸弥教授が所長を務め、一日も早いiPS細胞を用いた創薬や再生医療の実現を目指して、基礎から前臨床、臨床応用研究および規制科学研究を実施できる体制を構築しています。現在、約200名の教職員および学生で構成されています。
website: http://www.cira.kyoto-u.ac.jp

【iPSアカデミアジャパン株式会社について】
iPSアカデミアジャパン株式会社(京都市上京区、代表取締役社長:吉田修)は、iPS細胞の研究成果を社会に還元するために京都大学が保有するiPS細胞技術に関する知的財産を管理活用することを主たる目的として2008年6月25日に設立された企業です。現在、iPSアカデミアジャパン(株)は、京都大学のみならず岐阜大学、大阪大学などで生まれた特許などの知的財産を広く管理活用しており、2010年12月時点での特許ポートフォリオは約30件のファミリー特許(特許延件数約120件)で構成され、これまでに国内・海外企業約30社に特許ライセンスを許諾しています。
website: www.ips-cell.net

【iPierian Inc. について】
iPierian社は、iPS細胞技術の産業化と疾患特異的iPS細胞の分化誘導に取り組む先駆的なバイオ医薬品企業です。当面の重点領域は、脊髄性筋萎縮症(SMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病や代謝性疾患です。科学諮問委員会は、ハーバード・ステムセル研究所、グラッドストーン研究所、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などの研究者で構成されています。米国カリフォルニア州南サンフランシスコに本社を設置しています。
website: http://www.ipierian.com/

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