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2018年9月13日
京都大学iPS細胞研究所と武田薬品工業株式会社の臨床用iPS細胞ストック由来のマスターセルバンク構築に向けた新プロジェクトの開始について
京都大学iPS細胞研究所(所在地:京都市左京区、以下「CiRA」(サイラ))は、CiRAが作製した再生医療用iPS細胞ストックからマスターセルバンク(注1)を構築するための新プロジェクトを武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)と共に開始しましたのでお知らせします。
本プロジェクトは、iPS細胞技術の臨床応用を目指すTakeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications
(T-CiRA)共同プログラムにおける新たな取組みとして実施し、将来の心不全および糖尿病の細胞治療に用いる臨床用iPS細胞を安定的に供給することを目的とします。
iPS細胞技術を患者さんに届けるためには、品質の保証されたiPS細胞を安定的に提供できる体制が不可欠です。そこでCiRAでは、2013年度から再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト(注2)を推進し、原料の細胞となるiPS細胞ストックを提供してきました。本プロジェクトにより、CiRAの持つiPS細胞製造技術がiPS細胞ストックだけでなく、実際の臨床使用計画に基づいたマスターセルバンクにまで進展します。
武田薬品・再生医療ユニットグローバルヘッドの出雲正剛は、「T-CiRA共同研究でのiPS細胞技術の臨床応用に向けて、マスターセルバンク構築は重要な進展となります。」と述べています。
CiRA所長の山中伸弥は、「武田薬品とはT-CiRA共同プログラムを通じてiPS細胞技術の臨床応用のための研究を続けてきましたが、今回のプロジェクトはその実現に向けた大きな一歩となります。CiRAとしてもiPS細胞の製造・品質管理の向上に引き続き取り組んでまいります」と述べています。
注1)マスターセルバンク
特定の細胞株などから一定の方法で調製された均一な細胞集団を、複数の容器(バイアルやアンプル)に分注して一定の条件下で保存したもの。
注2)再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト
HLA(ヒト白血球抗原)の型をホモ接合体(免疫拒絶反応が起きにくい組み合わせ)の細胞を有する健康なドナーからiPS細胞を作製し、あらかじめ様々な品質評価を行った上で、再生医療に使用可能と判断できるiPS細胞株を保存するプロジェクトです。