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2019年3月19日
4種類目の「末梢血由来のiPS細胞ストック」の提供開始について
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、再生医療実現拠点ネットワークプログラム注1の一環として、2013年度より再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト注2を本格的に進めております。
このたび、4種類目となる末梢血由来iPS細胞株を作製し、3月18日(月)に提供を開始しましたことをお知らせします。
今回提供を開始した末梢血由来iPS細胞株は、日本人において4番目に高頻度とみられるHLA型の細胞から作製しました。このiPS細胞ストックと、すでに提供を行っているiPS細胞ストックとを合わせると、日本人の約40%をカバーできると考えられます。
CiRAでは引き続き日本人で頻度の高いHLAホモ接合体注3を有するドナーの方々からご協力をいただきながら、当面の目標として日本人の5割程度をカバーできる再生医療用iPS細胞ストックの構築を目指し、iPS細胞の製造に取り組んで参ります。
注1) 再生医療実現拠点ネットワークプログラム
研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED)によるiPS細胞技術を臨床応用につなげるためのプログラムです。
注2) 再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト
再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトは、HLAホモ接合体(注3)の細胞を有する健康なドナーからiPS細胞を作製し、あらかじめ様々な品質評価を行った上で、再生医療に使用可能と判断できるiPS細胞株を保存するプロジェクトです。
注3)HLAホモ接合体
HLAは、ヒトの主要組織適合遺伝子複合体であるヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen)の略で、細胞の自他を区別する型です。HLAは、白血球だけでなく、ほぼ全ての細胞に分布していて、ヒトの免疫に関わる重要な分子として働いています。自身の持っている型と異なるHLA型の人から細胞や臓器の移植を受けると、体が「異物」と認識し、免疫拒絶反応が起こります。そのため、細胞や臓器を移植する際にはHLA型をできるだけ合わせることで、免疫拒絶反応を弱めることが重要です。
HLAの型は非常に多様で、A座、B座、C座、DR座、DQ座、DP座などと呼ばれる抗原(タンパク質)の組み合わせで構成されており、各抗原に数十種類の型があるため、あわせて数万通りの組み合わせがあると言われています。そのため、自分と完全に一致するHLA型の人を見つけるのは、数百~数万人に1人の確率といわれます。
父親と母親から同じHLA型を受け継いだ場合、「HLAホモ接合体」と言います。例えばA座について、A1、A2、A3...と数十種類の型がありますが、両親それぞれから2つの同じ型を受け継いだA1A1、A2A2、A3A3のような場合を「HLAホモ接合体」と言い、細胞移植においては、A1A1であればA1A2の人やA1A3の人に移植しても拒絶反応が起こりにくいと考えられます。