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2023年9月21日

CiRA研究インターンシップ生インタビューvol.1
-生命倫理研究の世界に飛び込んでみて-

CiRA研究棟の渡り廊下で、CiRA研究インターンシッププログラム修了証を手にするチョン・アヒョンさん(ゲッティンゲン大学)

 ドイツのゲッティンゲン大学で肺の発生学と細胞生物学を専攻している学部3年生のチョン・アヒョンさんは、今年のCiRA研究インターンシッププログラムを通じて、初めて生命倫理研究に取り組みました。

 昨年に大学で受けた授業で生命倫理に興味を持ったチョンさんはCiRA研究インターンシップ生として、7月中旬から3週間にわたり、藤田みさお教授上廣倫理研究部門)の指導を受けました。

 インターンシップ期間中は、自分の母国である韓国のヒト胚研究に関する規制を調査しました。チョンさんが調査をしていて驚いたことは、ヒト幹細胞を使った研究や臨床に関する法律は国によって異なるだけでなく、韓国にはiPS細胞使用に関する特別な規制がないということでした。さらに、幹細胞研究を行っている多くの国が、2016年に国際幹細胞学会(ISSCR)によって提案され、2021年に緩和された14日ルール(注1)を採用しているのに対し、韓国は原条(注2)形成までしかヒト胚の研究を許容していません。

 生命倫理研究の経験がなかったので大変なことが多かったそうですが、インターンシップ参加は刺激的な経験で、今では大学院に進学して生命倫理の研究をすることも考えているとチョンさんは話します。

 「以前は、胚の発生学にとても興味があったのですが、国によって幹細胞やヒト胚の研究に対する規制が異なることを知り、生命倫理にも非常に興味を持つようになりました」と興味が変わりつつある心境を語りました。実際、このインターンシップの経験は、ドイツで学士号を取得した後、博士号取得のために京都大学に戻ることを考えるきっかけになったと話します。

 CiRAでの研究以外にも、関西で自由な時間を過ごし、清水寺、嵐山の竹林、伊勢の海の景色、奈良を自由に歩き回るかわいい鹿など、さまざまな観光名所を訪れたそうです。

 チョンさん、京都に戻ってくるのを待っています!

注1)「14日ルール」緩和
国際幹細胞学会(ISSCR)のガイドラインとして、胚を受精後14日以降、体外培養してはならないというルール(「14日ルール」)があったが、2021年に「14日ルール」が禁止項目から除外された。

注2)原条(プリミティブストリーク; primitive streak)
哺乳類の発生過程で現れる溝の様な構造。マウスの場合、発生開始から6〜7日目に見られ、この部分で細胞の形態が変化し、中胚葉や内胚葉の細胞のもとになる。

(文(英語):ケルビン・フイ(CiRA研究推進室特定研究員)、翻訳:国際広報室)

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