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2009年11月16日

主任研究者 6人増加で研究体制を充実

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青井貴之 教授櫻井英俊 講師
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吉田善紀 講師中川誠人 講師
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沖田圭介 講師高橋和利 講師

11月16日付けで、青井貴之教授、桜井英俊講師、吉田善紀講師、中川誠人講師、沖田圭介講師、高橋和利講師が、iPS細胞研究センター(CiRA:山中伸弥センター長)の主任研究者に就任しました。これにより、CiRAの主任研究者は17名となります。また、11月1日付けで、澤芳樹大阪大学医学系研究科教授(同医学部附属病院未来医療センター長)が、客員教授に就任しました。


主任研究者の大幅な増加、および澤大阪大学教授がCiRAに参画したことにより、CiRAにおける基礎研究の強化、ならびに前臨床、臨床研究を推進する体制整備が一段と進みました。青井教授は共通基盤施設部門に、桜井講師は分化誘導技術開発部門に、吉田講師、中川講師、沖田講師、高橋講師は基礎生物学部門に所属します。


澤客員教授は、各研究部門全般の研究活動に対して助言を行うとともに、CiRAと連携して臨床応用を推進していきます。同教授は、大阪大学医学研究科心臓血管外科学の教授で、臨床医として患者さんの治療に当たるとともに、未来医療センター長として心筋に関する再生医療研究をリードしています。文部科学省「再生医療の実現化プロジェクト」京大拠点メンバーの一人で、iPS細胞由来の心筋細胞を用いてマウスの心筋梗塞の病状の改善に世界で初めて成功しています。


青井教授は、神戸大学医学部を卒業後、天理よろづ相談所病院、聖路加国際病院、日本赤十字社和歌山医療センターで臨床医として勤務後、京都大学大学院医学研究科消化器内科学分野で博士課程を修了しました。また、山中研究室の大学院生、後に研究員としてiPS細胞研究に携わり、2008年にマウスの胃および肝細胞由来のiPS細胞樹立成功に関する論文の筆頭著者となっています。2009年4月1日、CiRA特定拠点助教に任命されました。今後は、来年2月竣工予定の新研究棟に設置される細胞調製施設の立ち上げ、運営、また、将来の臨床研究にそなえた法制対応に注力します。


桜井講師は、名古屋大学医学部卒業後、名古屋掖済会病院で腎臓内科医として勤務、その後、大学院生或いは研究員として、理科学研究所発生・再生科学総合研究センター、名古屋大学大学院医学系研究科にて研究活動を行いました。2008年にCiRA特定研究員に採用されました。今後は、マウスおよびヒトiPS細胞から、発生過程を模して様々な成長因子を投与することにより、骨格筋、骨、軟骨、腱、腎などの中胚葉組織の前駆細胞を系統的に分化誘導させるシステムの構築を目差します。


吉田講師は、京都大学医学部卒業後、同附属病院、社会保険小倉記念病院で臨床医として勤務後、京大大学院医学研究科で博士課程を修了し、附属病院循環器内科の産学連携助教として活躍しました。その後、山中研究室の研究員となりiPS細胞研究に携わり、2009年1月にCiRA特定拠点助教に就任しました。本年8月には、低酸素濃度培養によりマウスおよびヒトiPS細胞の樹立効率が改善することを報告した論文の筆頭著者となっています。質の高いiPS細胞を樹立するための、培養条件の検討、および心筋細胞などの分化誘導をとおして、iPS細胞の質や安全性の評価を行い、安全かつ効率的なiPS細胞の作製法の開発を目指します。


中川講師は、上智大学理工学部を卒業後、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)で生化学や細胞生物学の基礎を学びました(現名大医・貝淵弘三研究室)。その後、当時NAISTに在籍していた山中教授の下で助手として、ES細胞(胚性幹細胞)の未分化能維持メカニズムに関する研究に従事しました。そして、山中教授とともに京都大学再生医科学研究所に移り、助教としてiPS細胞研究を牽引してきました。2007年には、筆頭著者として、c-Mycがん遺伝子を除いた3遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4)を導入してマウスおよびヒトiPS細胞の樹立成功に関する論文を発表しています。細胞生物学や生化学など基礎的な研究手法により、特に導入因子の機能解析を行うことでiPS細胞の樹立機構を解明する研究に引き続き挑んでいきます。


沖田講師は、北海道大学獣医学部獣医学科卒業後、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科で器官システ制御学を、その後熊本大学大学院医学研究科で生理系転写制御学を専攻し博士課程を修了しました。そして、研究員として山中研究室でiPS細胞研究に携わり、2008年3月よりCiRA特定拠点助教として活躍してきました。同年10月には、レトロウイルスベクターを用いないマウスiPS細胞の樹立成功を報告した論文の筆頭著者となっています。これまでのiPS細胞の多能性や安全性に関する研究をさらに発展させ、作製方法を工夫することで安全なiPS細胞の樹立することを目指しています。


高橋和利講師は、同志社大学工学部卒業後、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)に進学と同時に山中研究室の第1期生となりました。その後、山中教授に半年遅れて京都大学再生医科学研究所に移り、2006年には、世界で初めてマウスiPS細胞樹立成功を報告した論文の筆頭著者となっています。また、2007年には、ヒトiPS細胞樹立成功も報告しています。再生研の助手等を経て、2008年3月にCiRA特定拠点助教に就任しました。臨床応用可能なiPS細胞の作製と再生医療の実現に貢献することを目標としています。ES/iPS細胞に共通の課題である安定した培養条件の確立を目指し、同時にiPS細胞の品質評価系を構築することによりiPS細胞固有の問題にも対処を試みます。


【青井貴之教授のコメント】
「従来の医療では治療が困難である様々な疾患をもつ患者さんに対して、iPS細胞を用いた移植治療が有効となる可能性が考えられています。これを真に実現するためには、種々の法制に適合した細胞の管理を行うことが必須となります。細胞プロセッシングセンターの立ち上げ、移植用iPS細胞バンクの設立などを行い、iPS細胞の一日も早い臨床応用を目指します。」


【桜井英俊講師のコメント】
「他の組織幹細胞などと比べ、iPS細胞の最大のメリットは、発生の最も初期段階まで時計の針が戻っていることだと思います。発生学研究で得られた知見を活用し、胚発生の最も初期から段階的に中胚葉細胞を分化させることで、系統的に様々な組織の前駆細胞を作り出すことが可能だと考えています。臨床応用をめざす臨床医の皆さんに使ってもらえるような、簡便で安全な分化誘導システムを作りたいと考えています。」


【吉田善紀講師のコメント】
「iPS細胞を誘導する培養環境を適正化することにより、より効率よくiPS細胞を作製する方法の研究を行っております。また心筋細胞などの分化誘導を通してiPS細胞の安全性を評価することにより、安全かつ効率的なiPS細胞の作製法の開発を目指していきたいと思います。循環器内科医として勤務していた経験から、その成果を一日でも早く臨床に応用できるように努力してまいります。」


【中川誠人講師のコメント】
「iPS細胞を移植治療などの医療に使うには安全性などの点でまだまだ問題がありますが、この点を基礎研究の面から解決したいと考えています。「基礎研究無くして臨床応用無し」を信念とし、iPS細胞樹立メカニズムや性質の謎を解き明かし、世の中で役立つiPS細胞技術の確立を目指します。また、他分野の研究者とのネットワークを充実させ、iPS細胞技術の新たな可能性を還元できるような研究も進めていきます。」


【沖田圭介講師のコメント】
「一口にiPS細胞と呼んでいても、作製方法の違いによって細胞の性質が少しずつ異なることが分かってきています。こうした違いがなぜ起こるのか、またどのような作製方法が最も安全なiPS細胞の樹立につながるのかを基礎研究を通して明らかにしていきたいと考えています。」


【高橋和利講師のコメント】
「様々な技術革新の恩恵を受けて、iPS細胞はES細胞に匹敵する域にまで到達しています。しかし同一ではありません。この微妙な差が医療応用実現に向けたハードルの一つであり、これらを理解し縮めることが重要であると考えます。ES/iPS細胞に共通した課題、iPS細胞に固有の問題、さらには遺伝的背景の違いによる個人差を考慮し、ES/iPS細胞を直接比較することにより知見を蓄積したいと考えています。」


新主任研究者の主な業績はこちら: CiRA ホームページ Home > 研究活動 > 研究成果

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