ニュース・イベント
News & Events

ニュース・イベント
News & Events

Home › ニュース・イベント › ニュース › 2010年 › イベント・セミナー › CiRA Ground Floor Activities/サイラ・グラウンドフロア・アクティビティ
Part1:サイエンス・イラスト展開催のご案内

ニュース 
News

2010年10月18日

CiRA Ground Floor Activities/サイラ・グラウンドフロア・アクティビティ
Part1:サイエンス・イラスト展開催のご案内

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)では、日本発の技術であるiPS(人工多能性幹)細胞について、大勢の方々に正確な情報をご提供し、研究活動にご理解を賜ることが、今後iPS細胞研究を推進するために重要と考えております。CiRAの研究棟1階は、一般の方々にも自由に入っていただけるギャラリースペースを設け、展示パネルやタッチパネルディスプレイを使って研究所やiPS細胞研究に関する情報を提供しています。

今後、これらの一般の方にも自由に入っていただける1Fフロアを利用して、CiRA Ground Floor Activities/サイラ・グラウンドフロア・アクティビティと称した一般の方向けのイベントを不定期に開催します。今回は、初めての企画としてPart.1:サイエンス・イラスト展を、下記の通り開催する運びとなりましたのでお知らせいたします。

CiRA Ground Floor Activities/サイラ・グラウンドフロア・アクティビティ
Part.1:サイエンス・イラスト展
主 催 京都大学iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)
対象者 どなたでも
展示作品 奈良島 知行さんのイラスト パネル 11点

奈良島 知行さんは、ニューヨークを拠点に活動するサイエンス・イラストレーターで、科学雑誌や医学書などに作品を多数描いている。CiRA発行の「幹細胞ハンドブックーからだの再生を担う細胞たち」やギャラリーの展示パネル等のイラストも彼の作品である。
場 所 iPS細胞研究所(CiRA:サイラ)1Fギャラリー
アクセス

2010年8月、CiRA研究棟にて撮影

奈良島知行さん(TANE+1 LLC)
奈良島知行さんは、今年の8月に仙台市の東北大学で開催された「サイエンス・イラストレーション・サマースクール in仙台」に講師として招かれ、来日しました。今回、CiRAの「幹細胞ハンドブック-からだの再生を担う細胞たち」や展示パネル(研究棟1階に展示中)のイラストを手掛けていただいたご縁で、奈良島さんの作品をお借りすることができました。作品を京都に持ってきていただいた時に、インタビューし、サイエンス・イラストレーターになられたきっかけなどを伺いました。

CiRA:この仕事を始められたきっかけは何でしたか?
奈良島: 僕自身は、最初は図鑑とか百科事典とかの仕事をしていて、主に図解を 扱っていたんですよね。すごくわかりにくいものを、切ったり、広げたりして、内容物を見せるというか、理解させるために、いろんなビジュアルのテクニックを使って、細胞の中はこんなものなんですよと、視覚的にインフォメーションを伝えるというのを最初のテーマにしていたんです。その時は別にサイエンスばかりではなく、いろいろなものを扱っていたんですよ。そこから特にサイエンスと歴史物を扱い始めたんですよね。

CiRA: 以前、アメリカでワークショップなどをされたことがあると聞きましたが、どのような経緯があったのですか?
奈良島: (1980年代前半に)僕がいろいろやっていたイラストレーションをちょうど持って帰ったアメリカ人の友達がいたんですよ。それをジョンズ・ホプキンス大学(メリーランド州ボルチモア:サイエンス・イラストレーションのコースがある)の先生方が見て、「これ面白いから、その人遊びに来たりしないの?うちでコーディネートして、アメリカをぐるっと回れるようにしてあげるから、今年の夏に来るように伝えといて」と言われたみたいで、いきなりそういう連絡がきたんですよね。 そして、1985年にボルチモア、シンシナティ、シカゴ、ロスアンジェルス、サンフラン シスコ、バンクーバー、トロン ト、ニューヨークと回り、ジョンズ・ホプキンス大学、イリノイ大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、ミシガン大学、トロント大学でワークショップを行いました。

CiRA: 米国では、「日本人の色遣いはユニークと受け取られた」ということですが、どのような点がユニークだとお考えですか?
奈良島: これはその人のバックグラウンドによると思いますね。文化とか歴史とか。 技術的な部分は、私はもともとモノクロイラスト出身で、色も独学ですし・・・。日本でも芸大の人に面白い色の使い方をすると言われた事が数回あります。大きくは、我々も気が付かないような、日本人なりの色の感覚があるでしょうね。物理的にも、(欧米人のような)ブルーアイだと感じる色が違うと思うし、実際どう見えているのか、です。

CiRA: いつ頃、米国でイラストレーターとして活動を始めたのですか?
奈良島: 1987年にワシントンDCでスタートし、 88年にニューヨークに移りました。

CiRA: 米国にはサイエンス・イラストレーターは、何人くらいいるのですか?
奈良島: 実際に活動しているのは、1,000人くらいじゃないかな。ですけど、(この仕事に関わる人を)いろんな意味で大きくみると、2,000人くらいでしょうね。毎年、100人くらい、大学や大学院のこのコース(サイエンスコ・イラストレーションのコース)を卒業されるんですから。

CiRA: 日本には、何人くらいいるのですか?
奈良島: 日本では、そういうコースがないので、全くいない(という認識)です。サイエンス・コミュニケーターという名刺を持っている方は、大勢いらっしゃいますよね。そういう方たちが、そういうコースをとってくれていればと思うのですが、今回(東北大学でのサイエンス・イラストレーション・サマースクール)にはいなかったですね。 教育がないことによって、その分野がない。書く人、描く人、研究する人と別れていて、これをくっつける人(コーディネーター)がいないですよね。

CiRA: もともと大学や大学院でサイエンスを学ばれたのですか?例えば、学生時代に生物学を専攻していた、サイエンスが好きだったとか。
奈良島: サイエンスのバックグラウンドは持ってません。もともと、(絵を描くことが) 好きだったので図鑑や百科事典のイラストの会社に入ってしまった。編集者や筆者である研究者との作業を通してサイエンス・イラストレーションを学んだ。当時、こんな言葉(サイエンス・イラストレーション)も無かったです。

CiRA:細胞を描き始めた当時は、科学者から指導などを受けたのですか?それとも、百科事典や写真などを参考にされたのですか?
奈良島: 筆者(研究者)から資料も来ますし、編集者からも資料を集めて頂けます。時間があれば、研究者からお話しも聞きます。多くの場合、研究内容が新しく、まだ印刷物が無いですから、大まかに調べてスケッチを作ってしまい、詰めていきます。ですから、最初の調べに時間が掛かりますね。他分野も同じですが、プロでやろうと思うと、サイエンスアート製作の場合、サイエンス資料とアート資料の基本資料の収集は欠かせません。

CiRA: イラストを描くときは、どのような道具を使って描かれるのですか?製作時間 はどのくらいですか?
奈良島: 基本的に水彩系画材でエアーブラシ、手描き、フォトショップ(画像編集ソフ ト)です。 ほとんどの作品の実製作は1週間以内で、製作期間として2週間頂くのが基本です。細胞の込み入ったイラストを扱う作家で、1週間は早い方でしょう。

CiRA: 一般の人のサイエンスへの理解を高める上で、サイエンス・イラストレーションの重要性について、どのようにお考えですか?
奈良島: 人がビジュアル・アニマル(視覚情報への依存度が高い生き物)である以上避けられない。新種の動物が発見されたようなケースを考えれば、たとえ学者でも現物を捕獲しようとしたり、写真を撮ったり、イラストを描いたりという事を検討するはずです。正確なビジュアル資料は基本と思ってます。

CiRA:サイエンス・イラストレーションを勉強したい学生へのアドバイスがありましたら、お願いします。
奈良島: 美しく正確なサイエンス・イラストレーションは魅力あるものでしょう。まだまだ、多くの国でも認知拡大が必要な分野で、日本に限った事ではないです。サイエンス分野から、アート分野から、次世代が新しいチャレンジを続けて行く事が重要と思っています。

CiRA:最後に、差し支えがなければ、年齢を教えていただけますか?
奈良島: 年齢不詳で行こうと思ってますが・・・1950年・大阪生まれです。

CiRA:ありがとうございました。今後のご活躍をお祈り申し上げます。

サイエンス・イラストレーションとは?
科学情報を正しく伝えるためのイラスト表現をサイエンス・イラストレーションと言います。サイエンス・イラストレーションを制作するためには、科学と医学の知識とメディカルアーティストとしての才能だけでなく、ウェブや3Dアニメーションといった最新のコミュニケーション媒体の訓練が求められます。

go top