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2011年8月8日

中学生向け実験体験プログラム「同じ?違う?細胞を観てみよう!」を開催しました

斎藤潤講師(中央)

京都市教育委員会が主催する「未来のサイエンティスト養成事業」の一部として、8月5日、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は中学生向け実験体験プログラム「同じ?違う?細胞を観てみよう!」を開催しました。このプログラムでは「細胞」に親しんでもらい、「観察し比較する」という研究の基本を体験してもらうことを目的にしています。


丹羽明研究員(中央)

慎重に細胞の上へ染色液を加える

【午前中:京都市青少年科学センターにて】
時折小雨が降る中、京都市青少年科学センターに集まった参加者は28名。齋藤潤講師(CiRA)による「細胞について」の話が始まると真剣な面持ちで聞き入っていました。

今回観察したのは、細胞の中でも血液に含まれる細胞です。血液は単なる液体ではなく、その半分は赤血球や白血球などの細胞でできています。実験体験の目的は「観察し比較する」ことですから、単に体に流れている血液(末梢血)だけでなく、他に3種類の血液(白血球を見やすくした末梢血、へその緒に含まれる血液、そして、iPS細胞から作製した血液)も一緒に観察しました。

血液の細胞は、顕微鏡を覗いても色がついていません。そこで、丹羽明研究員(CiRA)の細胞染色の説明を聞き、参加した中学生が実際に細胞を識別するために、二種類の染色液を使って、時間を計りながら慎重に染め上げました。

顕微鏡を覗くと、一面細胞だらけです。サンプルによっては赤血球が多かったり、白血球の割合が多かったり。また、赤芽細胞などの若い細胞が多くふくまれるものもあり、参加者は交代々4種類のサンプルを観察しました。細胞の形や色、質感によって多様な細胞を識別できることを学び、時間いっぱいまで顕微鏡を覗き続けていたり、顕微鏡の接眼レンズにカメラをつけて記念写真を撮影したりしました。


これは何細胞?熱心に観察する参加者

参加者の顕微鏡をのぞくと紫色に
核が染まった細胞が見える
(iPS細胞から分化させた血液の細胞)

【午後:iPS細胞研究所にて】
プログラムの後半は、京都大学構内のCiRA研究棟に場所を移して、まずは齋藤講師による「iPS細胞とは何か」という講義から始まりました。iPS細胞が何を目指して作られたのか、iPS細胞によってどんなことができるようになるのか、という専門的な内容から、大学院生の日常生活の様子まで、幅広い内容に、参加者のみなさんは集中して聞き入っていました。

講演後は、ヒトiPS細胞やiPS細胞から分化したばかりの血液細胞を顕微鏡で観察です。代わる代わる顕微鏡を覗き込み、繊細な管理が必要な細胞培養について、丹羽研究員から解説があると、一様に驚いているようでした。

最後を締めくくるのは、研究所内の見学です。機械や器具がたくさん並ぶオープンラボで忙しく働く研究者や学生を眺めたり、細胞培養室内の様子をガラス戸越しにのぞき込み、研究者の日常を肌で感じていました。

参加者からは、「細胞を生で見て、すごいって思いました。細胞はいろんな形があるんだなと思いました。」、「血液中のたくさんの細胞を見ることができたり、普段入れないような研究所の中身を知ることができて楽しかった。」「研究している人を見て、かっこいいなぁと思いました。」、「自分にとっては未知の分野で、iPS細胞のことの話を聞いても理解できるか不安だったけれど、幹細胞のことから説明をしていただいたので、とてもわかりやすかった。」などとの感想が寄せられました。難しくても面白かったという意見が多く、未来のサイエンティストとして、これからが楽しみです。参加者のみなさま、お疲れ様でした。

中学生の前で講義をする斎藤潤講師

研究所内を見学する参加者たち

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