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2012年3月12日

第5回 CiRAカフェ・FIRSTを開催しました

第5回CiRAカフェ・FIRST「細胞分化のしくみが知りたい!iPS細胞で解き明かす試み」を、3月3日(土)にiPS細胞研究所のエントランスホールで開催しました。今回は升井伸治講師(初期化機構研究部門)が話題を提供し、小学4年生から70代まで約30名の方々に参加いただきました。

Florez Duoの二人

演奏に聞き入る参加者

参加者は、ひなあられなどのお菓子が詰まった袋と飲み物を手に取り、思い思いの席につきます。15時になるとペルー出身の兄弟、Florez Duoの二人による演奏が始まり、エントランスホールはラテンの雰囲気に包まれました。ケーナ、サンポーニャ、チャランゴ、カホンなどペルーやアフリカの民族楽器を使って、「コンドルは飛んで行く」など数曲が演奏され、参加者は哀愁の漂う魅力的な音と歌声を楽しんでいました。最後に「コーヒールンバ」のラテンのリズムに導かれて、手拍子で会場が一体となった後、升井先生によるお話が始まりました。

升井伸治講師

升井先生の話を聞く参加者

昆虫が大好きだった少年時代からCiRA研究者となった今の升井先生に至るまでの興味の対象の変遷を紹介した後、「細胞の違いを決めるものは何なのか」について深く掘り下げて話しました。例えば、神経細胞の中のどんな特徴が、細胞に神経らしい振る舞いをさせているのかというと、全ての細胞がもつ1,000種以上の転写因子のうちどの転写因子が働くか、その組み合わせによって細胞の特徴が決まると升井先生は語り、1,000という数に参加者からは驚きの声も聞こえました。

iPS細胞を作る作業は、「サッカーをしている子供たち(体の細胞)の中にドッジボールをしたいという子供を連れてくると(初期化因子を入れると)、みんながドッジボールで遊びはじめる(iPS細胞になる)ようなもの」と例える升井先生。この状況で、「サッカーをし続けようとする中心的な子供は誰か、どの子かを知るためにはどうしたらいいのか」という質問が参加者に投げかけられました。

すると、小学生2人が意見を出し、升井先生をうならせていました。問いかけの答えの一つとして、升井先生が2週間ほど、一切他の仕事をせずに集中して考えたという「iPS干渉法」について、サッカーとドッジボールの例を使って解説しました。「iPS干渉法」とは、体の細胞がiPS細胞にならないように変化を妨げている転写因子を探し出すことのできる方法です。これらの転写因子は、iPS細胞になる前の元の細胞らしさを決めていることも明らかになりつつあり、初期化の仕組みを探ることが期待できます。

最後に哺乳類に限らず様々な動物が、ひとつの受精卵から多種類の細胞を産み出す原理を理解したいという升井先生の夢が語られ、話は締めくくられました。その後の質問タイムでは、あちらこちらから手が挙がり、再生医療全体についての質問から専門的な研究に関する質問まで、升井先生との活発なやりとりが行われました。

今回はお話が中心で、少し専門的な内容で難しかった部分もあったようですが、わかりやすい例えもあり、「転写因子」についてよく理解できたという感想が出ていました。

次回のCiRAカフェ・FIRSTは4月7日(土)午後3時から開催予定です。参加者募集や詳細なプログラムは、このホームページでご案内いたします。皆さまのご参加をお待ち申し上げます。 このイベントは、内閣府「最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)」のアウトリーチ活動の一環として開催しています。

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