ニュース・イベント
News & Events

ニュース・イベント
News & Events

Home › ニュース・イベント › ニュース › 2013年 › イベント・セミナー › 第17回CiRAカフェ・FIRSTを開催しました

ニュース 
News

2013年10月9日

第17回CiRAカフェ・FIRSTを開催しました

第17回CiRAカフェ・FIRST「一滴の血にも無数の細胞 iPS細胞で再現するには...」が、10月5日(土)、iPS細胞研究所(CiRA)のエントランスホールにて開催され、25名の方が参加しました。今回の講師は臨床応用研究部門の丹羽明助教です。コーヒーや紅茶などの飲み物や、バウムクーヘンなどを楽しみながらのリラックスした雰囲気の中、小児科医としてのバックグラウンドを生かして、どのようにiPS細胞研究を進めているのかを語りました。

まずは、今回のお話の中心となる血液の基本について、その役割や出来方など、クイズを交えながら紹介しました。たった0.1ccの血液に5億個もの血液細胞が含まれている事、ヒトの血管を全てつなぎ合わせると地球2周分にもなる事を丹羽助教が告げると会場からも驚きの声が漏れていました。

参加者からの質問に答える丹羽助教

小児科医でもある丹羽助教によると、白血病はこどもの病気による死因の上位を占めており、治療成績は上がってきているものの、急性骨髄性白血病の5年生存率は6割程度にすぎないとの事です。さらに治療成績を上げるためには、血液の細胞がどのように出来てくるのかをしっかりと調べる必要があると感じた事が、iPS細胞研究の道へと入った理由のひとつとなりました。

具体的なiPS細胞を用いた研究例として挙げたのが、ある特定の白血病の原因を探るために、iPS細胞から作製した未熟な血球その白血病でみられる遺伝子変異を加えて、その後の成熟した血液細胞ができるまでの過程を、遺伝子変異のないiPS細胞と詳細に比較する研究です。加えた遺伝子変異以外はまったく同じ遺伝情報をもった細胞を使用するので、その遺伝子変異の影響が血球分化に与える影響を厳密に解析することができます。

また、2つめの研究例として、個人の体の中にある健康な細胞と病気の細胞を分けて取り出して詳細に解析した成果も挙げました。先天性の炎症性疾患のひとつCINCA(慢性乳児神経皮膚関節炎症)症候群の患者さんの中には、体中の全ての細胞に原因遺伝子変異がある方と、一部の細胞のみに原因遺伝子変異がある方がいます。後者の患者さんからiPS細胞をつくると、遺伝子変異のあるiPS細胞と遺伝子変異のないiPS細胞のどちらも作製することができます。どちらも個人から作製したiPS細胞ですので、遺伝子変異以外の遺伝情報は全く同じなので、病気の細胞とそうでない細胞との比較に用いることができます。さらに、これらの細胞を用いた治療薬の探索についても紹介しました。

レクチャー後も質問は途切れることなく続き、参加者からは「若い研究者に気兼ねなく研究の話をしてもらい、対話することで研究を身近に感じることができました」「iPS細胞が、薬の開発に用いられていることが実感できた」などの感想が寄せられました。

CiRAカフェは今後も定期的に開催します。次回は12月7日(土)開催予定です。その他のイベントの開催予定日は「イベントカレンダー」をご覧ください。皆様のご参加をお待ちしております。

※iPS細胞を用いたCINCA症候群の病態解析についてもっと詳しくお知りになりたい方は下記URLをご覧ください。
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/finding/120704-170528.html

go top