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2014年5月23日

第19回CiRAカフェを開催しました

5月17日(土)の午後、第19回CiRAカフェ「みんなで考える幹細胞治療」を開催しました。今回は、藤田みさお准教授上廣倫理研究部門)を講師に迎え、 幹細胞、その中でも体性幹細胞の自由診療について会場の参加者と考えていきました。

まぶしいほどの青空で初夏を思わせる陽気の中、29名の参加者がCiRA1階のエントランスホールに集まりました。コーヒーなどの飲み物や洋菓子を楽しみ、リラックスしながらも、真剣に先生のお話に聞き入る参加者の姿が印象的でした。

真剣な眼差しで藤田先生の話を聞く参加者



藤田先生は、相撲好きという意外な一面を紹介しながら、自身がどのようにして生体臓器移植や幹細胞治療に関する倫理に足を踏み入れるようになったかを紹介しました。その中で、相反する考えがあるとき、その2つのどちらか、という二択ではなく、両者の間でバランスをとりながら、意思決定をしていくことが大事だ、というカフェ全体に通じる話をされました。 昨今ますます注目を集めている、再生医療。しかし、「再生医療」とうたっていても効果や安全性が確立されているものばかりではない、と藤田先生は警鐘を鳴らします。実際に、確立されていない幹細胞治療を受けたことによって、重篤な健康被害を被る、死亡するなど様々な事例が報告されています。そのような被害を防ぐために、国によっては政府等の承認を得ていない幹細胞治療を規制したり、国際学会が確立されていない幹細胞やその誘導細胞を用いた治療を臨床研究の枠外で患者さんに適用しようとすることを非難しています。海外だけではなく日本でも自由診療で幹細胞治療が行われています。しかし、幹細胞治療を行っている病院の中には、副作用等のリスクについてあまり言及していないケースも見られるとのことです。

このような現状も踏まえ、安全な再生医療を実現するための法律が今秋にも施行されようとしています。上述のような問題がある一方で、患者さんの治療への切実な思いがありますから、法律をつくる上では、単に善悪で決められない課題もあります。どのようにバランスをとり、社会のルールを作っていくかを、私たちが身近な問題として考え、話し合っていくことが大切だと藤田先生は訴えました。

また、倫理の問題を話し合うとなると、自分の意見を唱える声が大きくなり、感情的になりがちです。本来は意見を支える様々な理由を検証していくべきですが、それをすることの難しさが倫理を研究する意義でもある、と自身の研究姿勢についても熱く語りました。

藤田みさお准教授



今回は、これまでのCiRAカフェとは趣を異にして、幹細胞治療の倫理にスポットを当てた初めてのカフェとなりました。参加者からは「幹細胞治療が自由診療という形で野放し状態になっている現状を知りました」「2つのうち1つではなく、両方のバランスが良いように考えるのが大切だと認識しました」「内容が内容だけに分かり易かったのかもしれませんが、それ以上に考えさせられた」などのコメントが寄せられました。

次回のCiRAカフェは7月5日(土)に開催予定です。詳細なプログラムや参加者募集は、ホームページでご案内いたします。皆さまのご参加をお待ち申し上げます。

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