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2019年7月23日

【レポート】サイエンスイラストレーションの国際学会GNSI2019に参加しました

 6月30日から7月6日まで、冬の始まったオーストラリアのブリスベンで、Guild of Natural Science Illustrators (GNSI) 2019というサイエンスイラストレーションの国際学会が開かれました。

 GNSIは50年前にスミソニアン博物館で始まった、科学を専門とするイラストレーター"サイエンスイラストレーター"たちが集まる学会で、年次総会は通常アメリカ国内で開催されています。今年は20年ぶりにアメリカ国外で国際的に開催されるということで、CiRAから国際広報室でサイエンスイラストレーションを制作している大内田美沙紀 特定研究員が参加しました。

 学会は、ブリスベンの中心部からブリスベン川を内地に少し辿ったところにあるクイーンズランド大学で行われました。到着初日から驚いたのは、日本では普段見ることのない生き物たちです。大学構内にはオーストラリアクロトキ、コシグロペリカンなどの鳥類や巨大なイグアナが住みついており、夜にはポッサムが木々を飛び回っていました。さらに、小型犬ほどの大きさがあるオオコウモリが頭上を飛んでいる光景に、とても非現実的な印象を持ちました。

クイーンズランド大学のメインキャンパス外観

大学構内で良く見かけたオーストラリアクロトキ

 クイーンズランド大学はオーストラリアの中でも歴史のある大学で、生物学棟の壁にはジェームズ・クック船長の3回の航海(1768年〜1780年)に同行した画家(今でいうサイエンスイラストレーター)たちによる魚の原画が飾られていました。いくつかは当時の新種の魚として論文で使用されたそうです。

ジェームズ・クック船長と同行した
画家たちによる魚の原画

 学会のスケジュールは、前半3日間がプレナリートーク(全体会合)及び各機関のサイエンスイラストレーターによる発表、後半3日間がワークショップやフィールドワークでした。

 大内田研究員は前半に発表する機会があり、これまで自身が作成し、CiRAでの研究やイベントで使われたインフォグラフィックス、カバーアート、キービジュルアルを作成過程から紹介し、研究所におけるサイエンスイラストレーションの重要性を話しました。

カバーアートが意味する研究成果について
説明する大内田研究員

 学会の参加者は約100名程度でしたが、ほぼ全員がサイエンスイラストレーターで、後半のワークショップではそれぞれが技術の共有や向上を目指して、ワークショップに参加しました。大内田研究員は、米国ジョンズ・ホプキンズ大学のメディカルイラストレータージェニファー・フェアマン氏による最新のデジタルイラストレーション技術のワークショップや、オーストラリアの国立植物標本館で活躍されているマリ・モア氏のマスキングインクと水彩絵の具を使った伝統的な植物画の手法のワークショップに参加しました。

ジェニファー・フェアマン氏によるワークショップ

デジタルイラストレーション技術を学ぶ大内田研究員

マリ・モア氏のワークショップで作成した
クラジョング(kurrajong) のイラスト

 最終日には、大学のフライヤー図書館で保管されている貴重な絵画や本を特別に手にとって閲覧することができました。1658年に出版されたエドワード・トプセルの"The History of Four-footed Beasts and Serpents (四足獣の歴史)"という、動物の挿絵のサイエンスイラストレーションの歴史を語る上で欠かせない本を閲覧するという貴重な機会にめぐまれました。特に有名なのは、ルネサンス期の画家アルブレヒト・デューラーのサイの挿絵です。 デューラーのサイは生物学的には正しくありませんが、動物を描写した作品のうちで、芸術分野に最も大きな影響を与えた作品の一つであると言われています。

"The History of Four-footed Beasts and Serpents (四足獣の歴史)"のサイの項目

 今回の学会では、アメリカやオーストラリアだけだなく、台湾やサウジアラビアからのサイエンスイラストレーターとも交流し、ほかの国のサイエンスイラストレーションの状況についても知ることができました。この経験を生かし、今後も研究や科学広報に役立つサイエンスイラストレーションに取り組んでいきたいと思います。

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