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2019年12月5日

CiRA国際シンポジウム2019を開催しました

 11月27日(水)から29日(金)までの3日間にわたり、京都大学百周年時計台記念館にて、幹細胞研究者・学生を対象とした国際シンポジウム「iPSCs Changing the Future of Science and Medicine(iPS 細胞が科学と医療の未来を変える)」を開催しました。

 CiRAでは研究活動を発信するとともに、研究者らの国際交流によりiPS細胞研究の推進を図るために、2012年度から定期的に国際シンポジウムを開催しています。7回目となる今回は、iPSアカデミアジャパン株式会社、武田薬品工業株式会社(以下、「タケダ」)、T-CiRA、湘南ヘルスイノベーションパークより協賛いただき、580名(うち海外から約120名)の研究者らが参加し、米国・英国・カナダ・韓国、日本から21名もの著名な幹細胞研究者が講演を行いました。

 今回のシンポジウムは、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑特別教授(京都大学)による基調講演に始まり、「細胞運命の制御」「組織・臓器の作製」「ゲノム編集技術の最先端」「幹細胞の医療応用」「産学連携―T-CiRAを例にー」という5つのセッションが設けられました。それに加え、ジョアオ・モンテイロ博士(『ネイチャー・メディシン』)とシェイラ・チャリ博士(『セル・ステム・セル』)の両科学誌編集長による講演があり、最終日は幹細胞研究の権威であるゴードン・ケラー博士(カナダ・ユニバーシティ・ヘルス・ネットワーク)による基調講演で幕を閉じました。

 本庶教授は、がんの画期的な治療薬である「オプジーボ」の開発につながる研究の経緯、そして、国民病であるがんを将来克服できる可能性について講演しました。

 「細胞運命の制御」では、ピーター・ザンドストラ教授(カナダ・ブリティッシュコロンビア大学)、マリウス・ワーニグ教授(米国・スタンフォード大学)、マグダレナ・ゼルニカ=ゲッツ教授(英国・ケンブリッジ大学)が、多能性幹細胞から血液やリンパ球系細胞、神経細胞、胚が作製される過程でのメカニズムについて講演しました。また、山中伸弥教授(CiRA)は、iPS細胞による再生医療を普及させるための取り組みである「iPS 細胞ストック」の今後の展望について紹介しました。

 「組織・臓器の作製」では、斎藤通紀教授(京都大学)、ドナルド・イングバー教授(米国・ハーバード大学)、中内啓光教授(米国・スタンフォード大学)がそれぞれ、生殖細胞、病態解明や薬剤応答のモデルとして期待される臓器チップ、そして動物の体内での臓器作製について発表しました。

 「ゲノム編集技術の最先端」では、キム・ジンス教授(韓国・基礎科学研究院)、キャシー・ニアカン博士(英国・フランシス・クリック研究所)、スタンリー・チー助教(米国・スタンフォード大学)がゲノム編集の技術革新やゲノム編集技術を用いたヒト発生研究、細胞運命の制御について講演しました。

 「幹細胞の医療応用」にはティモシー・キーファー教授(カナダ・ブリティッシュコロンビア大学)、岡野栄之教授(慶應義塾大学)、エイプリル・パイル教授(米国・UCLA)が登壇し、それぞれ糖尿病、脊髄損傷と筋萎縮性側索硬化症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD)に対する治療法開発の進展を発表しました。

 また、iPS 細胞研究における産学連携の一つの形として、タケダとCiRA が進める 10 年間にわたる大型共同研究プログラム「T-CiRA」の取り組みについても紹介するセッションを設けました。武部貴則教授(東京医科歯科大学)、金子新准教授、櫻井英俊准教授(CiRA)が治療を目指した立体臓器の作製や、がん免疫療法、筋疾患の治療開発の進捗を報告しました。

 シンポジウム最後の基調講演では、ゴードン・ケラー博士が心血管疾患の細胞治療に重要となる、多能性幹細胞から心房と心室の心筋細胞をそれぞれ高い純度で作製する技術の開発について講演しました。

 約90件のポスター発表やMeet the Experts Lunchを通じて、国内外のベテラン研究者や若手研究者が活発な情報交換や議論を繰り広げ、交流を深めました。

講演者・座長らの集合写真

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