3月26日〜28日までの3日間、中学生を対象としたワークショップをCiRAと大阪大学中之島センターにて開催しました。日本各地から集まった中学生20名が、4つのチームに分かれて、それぞれiPS細胞をテーマにしたアナログゲームの制作を行いました。参加者は制作を通じて、iPS細胞や、ゲームづくり、チームワークなどを学びました。

　このワークショップは、こどもの職業・社会体験施設「キッザニア」の企画・運営を行うKCJ GROUP株式会社と大阪大学 社会ソリューションイニシアティブ（SSI）と共同で開催しました。また、大阪大学が中心となって運営している「いのち会議」、株式会社バンダイおよびロート製薬株式会社の協力を得て、公益社団法人２０２５年日本国際博覧会協会の後援のもと実施されました。

4つのグループに分かれてゲーム制作をする様子（2日目）

1日目

　午前は、参加者は１グループ5人で、４つのグループに分かれ参加者同士の交流からはじめました。また、CiRA国際広報室の和田濵裕之サイエンスコミュニケーターが、iPS細胞とはどういう細胞か、どんなことへの活用が期待されているのかを紹介しました。その後、CiRAの研究棟内を見学し、実際にiPS細胞を使った研究現場を肌で感じてもらいました。

　午後は、エンターテインメントプロデューサーの北原妙子さんから、遊びの本質やゲームを作る過程についてお話いただきました。その後、改めて配属される研究部門（チーム）の発表があり、各チームのメンバーが話し合って、プロデューサー、ストーリーデザイナー、ゲームデザイナー、リサーチャー、グラフィックデザイナーの5つの役割を決めました。４つのグループにCiRAのスタッフが1名ずつ加わり、チームでゲーム制作が始まりました。

1日目CiRAでゲームについて考える参加者

2日目

　2日目からは会場を大阪大学中之島センターに移しました。隣には公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団も入居している未来医療国際拠点（中之島クロス）があり、iPS細胞研究とも関わりの深い会場でした。

　まずは、共同主催者である大阪大学 社会ソリューションイニシアティブ（SSI）の堂目卓生さんから、『「繊細の精神」をつかって「いのち」を思う』と題して、お話をいただきました。

　続いて、今回のイベントに協力してくださったロート製薬株式会社の徳永 達志さんから、マーケティングの考え方や相手の立場になって考えることについて、お話をいただきました。

　午後からはこれまでに得た知識を使って、本格的にゲーム制作に取り掛かりました。定期的に4つのチームのプロデューサー役の参加者が集まって会議を行い、進捗状況を確認しながら進めました。他のチームからの刺激も受けながら、より良いものを作ろうという気持ちが溢れていました。

チーム内で活発に議論が行われていました

3日目

　ゲーム制作も終盤となり、各チームは仕上げにかかり、同時にゲームの紹介をするプレゼンテーションの準備も行いました。原稿の読み方や、写真・動画などを組み合わせて、わかりやすく伝える工夫をしました。

　午後は保護者のみなさんも参加して、成果発表会を行いました。

ルーレットを回して、iPS細胞ができる流れをたどるゲーム
（基盤技術研究部門チーム）

ゲノム編集のしくみをテーマにした、切って繋いでDNAを修復するゲーム
（未来生命科学開拓部門チーム）

再生医療をテーマにした、細胞を治療したい部位に届けるスマートボールゲーム
（臨床応用研究部門チーム）

薬を探す研究をテーマにした、正しい薬をいれると病気の細胞が飛び出すゲーム
（増殖分化機構研究部門チーム）

　開発したゲームについて、株式会社バンダイで「たまごっち」の企画を担当している青柳知里さんから講評をしていただきました。

　最後に成果発表会に参加した皆さんと、中学生が制作した４つのゲームの体験会を実施し、感想を共有しました。

　参加者からは、「iPS細胞について身近に感じられた」「普段の生活では聞くことができない先生方の話をたくさん聞くことができた」「3日間本当に楽しく、素敵な思い出になった」などの感想が寄せられました。

　CiRAでは今後もこうしたイベントの開催などを通じて、将来の科学技術を担う若手の育成に貢献してまいります。

*各グループのサポートをしたCiRAのスタッフ

1. 基盤技術研究部門チーム：研究推進室 室長 齊藤 美穂
2. 未来生命科学開拓部門チーム：国際広報室 サイエンスコミュニケーター 三澤 和樹
3. 臨床応用研究部門チーム：国際広報室 サイエンスコミュニケーター 三宅 陽子
4. 増殖分化機構研究部門チーム：上廣倫理研究部門 特定研究員 久保田 唯史