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2019年7月31日

「HLAホモドナー末梢血由来iPS細胞ストック・ゲノム編集(HLAノックアウト)株」の提供開始について

 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、再生医療実現拠点ネットワークプログラムの一環として、2013年度より再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト注1)を本格的に進めております。 このたび、CiRAの堀田秋津研究室において作製された、iPS細胞ストックのHLA注2)の一部を破壊した細胞株につきまして、7月31日(水)に研究用途としてアカデミアの方を対象に提供を開始しましたことをお知らせします。

 今回提供を開始したiPS細胞株は、日本人で3番目に多いHLA型をホモ接合体としてもつ末梢血由来のiPS細胞株に、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術を用いて、HLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子及び、HLA-Class IIの発現に重要なCIITA遺伝子を破壊した株です。 このiPS細胞株由来の分化細胞はHLA-CおよびHLA-E等を残してあるため、移植の際、キラーT細胞やヘルパーT細胞だけでなく、NK細胞を介した免疫拒絶のリスクが少なくなることが期待できます。

 既に進めている再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトでは、75種類のHLAホモの型をもつiPS細胞を集めることで、日本人の80%以上をカバーできると考えられています。

 一方、本方法で作製されたゲノム編集iPS細胞株を用いる場合、HLA-Cの型のみそろえれば良いため、日本人の95%をカバーするために必要な株数は7株と試算されます。 (参考までに、今回提供を開始するiPS細胞株で、日本人の24%をカバー出来ると考えられます)

 ただ、本手法だけでは全ての免疫拒絶反応を抑制できない可能性があり、また、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術を用いた臨床応用例は未だ国内で先例は無く、これからさらに研究を進め、ゲノム編集技術を用いて作製したiPS細胞の安全性や品質について、厳密に確認する必要があります。

 今回提供を開始したiPS細胞株を、国内外で様々な研究者に広く研究用として使用していただき、分化能力や有効性、懸念事項について確認していくことが、より有効かつ安全なゲノム編集iPS細胞株の臨床応用につながると考えられます。

 並行して、CiRAでは、引き続き日本人で頻度の高いHLAホモ接合体を有するドナーの方々から御協力をいただきながら、従来の再生医療用iPS細胞ストックの構築を進め、当面の目標として日本人の5割程度をカバーできることを目指します。そして、より安全かつ高品質なiPS細胞を提供するため、樹立・維持培養技術等の開発研究に継続して取り組んで参ります。


注1) 再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト
HLAホモ接合体の細胞を有する健康なドナーからiPS細胞を作製し、あらかじめ様々な品質評価を行った上で、再生医療に使用可能と判断できるiPS細胞株を保存するプロジェクトです。

注2) HLA
ヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen; HLA)。ヒトの細胞で自己かそうではないかを見分ける目印のようなタンパク質の総称。白血球以外にも様々な細胞で存在しており、組み合わせは数万通りにもなる。大きくクラスI〜IIIに分けられ、その中でも細かく分類される。特にクラスIではHLA-A、HLA-B、HLA-Cがあり、細胞を移植したときの拒絶反応に大きく影響する。


<参考情報>

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