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2021年9月1日

iPS細胞由来再生T細胞を用いた個別化がん免疫療法の臨床応用に向けた共同研究について

 京都大学iPS細胞研究所(京都府京都市、所長:山中伸弥、以下「CiRA(サイラ)」)とKOTAIバイオテクノロジーズ株式会社(本社:大阪府吹田市、代表取締役:山下和男、以下「KOTAI」)によるiPS細胞(注1)由来再生T細胞(注2)を用いたがん免疫細胞療法に関する共同研究(以下「共同研究」)に、サイアス株式会社(京都府京都市、代表取締役:等 泰道・五ノ坪 良輔、以下「サイアス」)が参加致しましたので、お知らせいたします。

 がん免疫細胞治療につきましては、CiRA増殖分化機構研究部門金子 新 教授)がiPS細胞を用いた再生T細胞のがん免疫細胞治療への応用に向けた研究を進めてきました。iPS細胞からT細胞を再生することで、高い機能を持つ、若返ったT細胞を大量に生産することが可能になります。またがん患者から、患者自身のがん細胞を攻撃できるキラーT細胞(注3)を分離し、このT細胞から取得したT細胞受容体(以下「TCR」)をiPS細胞に遺伝子導入してT細胞に分化誘導することで、一人ひとりの患者に個別化されたがん免疫細胞療法が可能になります(下図参照)。KOTAIが保有するがん細胞特異的な表面抗原(注4)および免疫細胞の解析技術を活用して、一人ひとりの患者さんにより効果の高い、個別化がん免疫療法の構築を目指し、CiRAとKOTAIは2020年10月に共同研究を開始しました。

 サイアスは、金子教授の研究成果を京都大学より導入して、再生T細胞の産業用途に向けた製造方法の堅牢化・標準化を行い、再生T細胞製品の臨床スケール・臨床グレードでの製造と臨床試験の準備に取り組んでまいりました。再生T細胞の製造に経験豊富なサイアスが共同研究に参加することで、共同研究成果の臨床応用の加速化が期待できます。

 この度の共同研究において、CiRAはがん組織から分離したT細胞のiPS細胞への誘導、T細胞への再分化誘導および機能評価を、KOTAIはT細胞の分離に有用なマーカー情報の提供と、T細胞の遺伝子解析を実施します。サイアスは、上記の再生T細胞を臨床試験に用いるために細胞製造の最適化を実施し、個別化TCRを搭載した細胞としては世界初となる2025年までの臨床試験の開始を目指します(注5)

 CiRA・KOTAI・サイアスの3者は、本共同研究の実施により、患者ごとに個別化された再生T細胞によるがん免疫細胞療法の確立を目指し、その臨床試験に向けた取り組みを通じてがん免疫細胞療法のさらなる発展と普及に貢献していきます。

(注1) iPS細胞
人間の皮膚や血液などの体細胞に、ごく少数の因子を導入し、培養することによって、さまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変化する「人工多能性幹細胞」のこと。induced pluripotent stem cellの略。

(注2) T細胞
リンパ球の一種で、感染した細胞やがん細胞を認識し除去するなど免疫においてはたらく細胞。1つの細胞ごとに認識する物質は1種類で、細胞ごとに異なる。T細胞には、キラーT細胞、ヘルパーT細胞などがある。

(注3) キラーT細胞
免疫においてはたらく細胞の一種。他の免疫細胞から抗原の情報を受け取ると、その抗原に対応するキラーT細胞が活性化し、異物を攻撃して分解する。

(注4) 表面抗原
細胞表面にある抗体が認識する物質のこと。

(注5) サイアスの再生T細胞製品
最初のパイプラインとして共通抗原をターゲットとする他家iPS細胞由来再生T細胞療法の2023年の治験開始を目指しており、今回の開発は2本目のパイプラインへの搭載を目指すこととなる。

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