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2022年6月3日

C4Uおよび京都大学iPS細胞研究財団との共同研究契約を締結

 C4U株式会社(以下、C4U)と国立大学法人京都大学iPS細胞研究所(以下、CiRA)臨床応用研究部門 堀田研究室(堀田秋津准教授/主任研究者)は、2020年1月より共同研究を開始し、「iPS細胞における新規ゲノム編集技術を用いた治療開発研究、及び、iPS細胞ゲノム編集とライブラリー研究」を推進しております。そのさらなる発展を目指して、本年5月30日付で、本共同研究の一部を、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(以下、CiRA_F)と3者共同で実施することに合意し、「Cas3を用いた臨床用iPS細胞のゲノム編集に関する研究」を目的とした共同研究契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。

 CiRA_Fは、再生医療用iPS細胞の製造や品質評価などの技術を産業界へと「橋渡し」する機能を担うため、CiRAから一部機能を分離する形で2019年9月に設立され、「iPS細胞ストックプロジェクト」などの事業を担っており、ゲノム編集技術を用いて拒絶反応のリスクを少なくした臨床グレードの「HLAゲノム編集iPS細胞」を作製・提供する計画も進めております。

 本共同研究では、C4Uの有する新規ゲノム編集技術であるCRISPR-Cas3技術を用いてゲノム編集iPS細胞の作製について3者で共同研究を行い、将来、より安全に利用可能なiPS細胞による新規治療法開発へと繋げ、より多くの患者様に貢献できるようにすることを企図しております。

<CRISPR-Cas3技術について>

 CRISPR-Cas3技術は、C4Uの創業メンバーである真下知士教授、大阪大学微生物病研究所の竹田潤二招へい教授らの研究成果を基に開発されたCRISPR-Cas3を用いた新しいゲノム編集技術です。CRISPR-Cas3技術は、オフターゲット変異が起こりにくく安全性がの高さが期待されていることやターゲット遺伝子とその周辺を広く削ることができるといった特徴を有し、現在世界中で研究が先行しているCRISPR-Cas9の複雑な特許状況に影響されない、これに対抗し得る有望なゲノム編集技術として注目を浴びています。

 C4Uは、このCRISPR-Cas3技術を用いて、遺伝子疾患を始めとする様々な疾患に対する新規の治療法等を開発すること及び同技術のプラットフォーム展開を目指しております。

<用語の解説>

ゲノム編集技術:DNA切断酵素と人工的にデザインしたRNAなどを細胞に導入し、ゲノムの局所を選択的に切断、改変する技術です。

CRISPR-Cas3:CRISPR-Cas9同様に二本鎖DNAを切断しますが、crRNA(ガイド)認識配列が長い(27塩基のガイド配列)ことから、特異性が高く、オフターゲット変異(狙った部分以外の変異)が起こりにくい、より安全なゲノム編集ツールとしての使用が期待されます。また、大きな欠失を起こすことも可能なため、遺伝子の改変に加えてその機能を失わせることも得意としています。

CRISPR-Cas9:現在広く利用されるゲノム編集技術の一種で、Cas9がガイドRNAと結合し、ガイドRNAの一部(20塩基のガイド配列)と相補的なDNAを選択的に切断します。ガイド配列を変更することにより、様々な塩基配列をもつDNAを選択的に切断することができます。

HLA:ヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen; HLA)。ヒトの細胞で自己かそうではないかを見分ける目印のようなタンパク質の総称です。白血球以外にも様々な細胞で存在しており、組み合わせは数万通りにもなります。大きくクラスI〜IIIに分けられ、特にクラスIにあるHLA-A、HLA-B、HLA-Cは細胞を移植したときの拒絶反応に大きく影響します。

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