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2022年12月20日
同種iPS細胞由来CAR-NK細胞の治験薬製造に係る共同研究契約及びデータ・特許の独占的な実施権について
サイアス株式会社(京都市左京区、代表取締役 等泰道・五ノ坪良輔、以下「サイアス」)、国立大学法人京都大学iPS細胞研究所(京都市左京区、所長 髙橋淳、以下「CiRA」)、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(京都市左京区、山中伸弥理事長、以下「iPS財団」)及びキリンホールディングス株式会社(東京都中野区、代表取締役社長 磯崎功典、以下「キリンHD」)は、
以下の通りの契約を締結致しました。
締結した契約 | 契約の内容 | 契約当事者 |
---|---|---|
共同研究契約 | 本製品の製造支援 |
京都大学(CiRA)、iPS財団、 サイアス |
特許実施許諾契約 | 本製品の製法に係る特許及び研究データ等の独占的な実施・使用許諾 | 京都大学(CiRA)、サイアス |
研究データ等使用許諾契約 |
京都大学(CiRA)、キリンHD、 サイアス |
締結した契約 | 契約の内容 | 契約当事者 |
---|---|---|
共同研究契約 | 本製品の製造支援 |
京都大学(CiRA) iPS財団 サイアス |
特許実施許諾契約 | 本製品の製法に係る特許及び研究データ等の独占的な実施・使用許諾 |
京都大学(CiRA) サイアス |
研究データ等使用 許諾契約 |
京都大学(CiRA) キリンHD サイアス |
(これらすべてについて、以下「本契約」)
本契約により、サイアスは、京都大学が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」)から委託を受けて実施している同種iPS細胞由来GPC3-CAR再生自然キラーリンパ球(以下、「本製品」)の安全性等を検討する第一相臨床試験(医師主導治験。以下、「本治験」)における治験薬製造に参加して治験用細胞製造の支援を行うと同時に、京都大学より本製品の製造に関する特許の独占的な実施許諾を受け、また京都大学及びキリンHDより本製品の製造にかかるデータや製造関連書類等の独占的な使用許諾を受けます。
【本治験およびAMEDの「革新的がん研究事業」について】
本治験はAMEDの「革新的がん研究事業」の委託を受けて、京都大学iPS細胞研究所の金子新教授のグループ、国立研究開発法人国立がん研究センター東病院等の連携により進められています。本治験では、グリピカン3(GPC3)発現手術不能進行再発卵巣明細胞癌で腹膜播種病変を有する患者を対象にGPC3を特異的に認識するCAR再生自然キラーリンパ球(ILC/NK細胞)を腹腔内投与する治療法の安全性、忍容性及び有効性を評価します。2021年には第一症例目の細胞移植が実施されています。
【サイアス株式会社について】
サイアスは、CiRA金子新教授の研究成果を元に、iPS細胞由来の免疫細胞(T細胞やNK細胞等)の臨床応用に向けた研究開発を進める京都大学発ベンチャーです。近年、免疫チェックポイント阻害薬やキメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T)等のがん免疫療法が大きな効果をあげています。しかし末期患者の免疫細胞は疲弊状態にあるため拡大培養が困難であり、固形がんの治療においては安全かつ十分な奏効は未だ実現していません。サイアスの技術は、同種iPS細胞からT細胞やNK細胞等の各種免疫細胞へと分化させることで、その疲弊状態を解除し、腫瘍に対する高い攻撃力を回復した元気な免疫細胞を大量に、安価に得ることを可能にします。
サイアスでは、現在、遺伝子・細胞療法開発の本場であり、かつ巨大な資本市場、そして優秀なサイエンティストへのアクセスが可能な米国への進出を計画しています。本製品を皮切りに、自社開発が進行中のiPS細胞由来細胞傷害性T細胞製品、さらに次世代のiPS細胞由来免疫細胞製品など、研究開発を精力的に行い、グローバルのがん免疫細胞療法の発展に貢献してまいります。
【公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)について】
iPS財団は最適なiPS細胞技術を良心的な価格で届けることを理念として掲げ、国立大学法人京都大学から分離して活動を開始した公益財団法人です。CiRAが2013年度から実施してきた再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトについて、事業譲渡を受け、引き続き推進しています。このプロジェクトでは、HLA(ヒト白血球型抗原)型を、ホモ接合体(免疫拒絶反応が起きにくい組み合わせ)で持つ健康なドナーからiPS細胞を作製し、あらかじめ様々な品質評価を行った上で、再生医療に使用可能と判断できるiPS細胞株をアカデミア・企業等の皆様に提供しています。また、iPS細胞を用いた製品の製造、品質評価、保管等の受託や、製造に関するSOP(標準作業手順書)の公開等に取り組み、再生医療の実用化に貢献します。
【キリンHDについて】
キリンHDは、CiRAが製造を開始し現在はiPS財団がその製造を含め運営を引き継いでいるiPS細胞ストックから、がんの細胞治療に用いる臨床試験用の免疫細胞製造を支援していました。キリンHDは、品質の保証されたiPS細胞由来の臨床試験用細胞を難治性の疾患を患う患者様に届けるサポートをするとともに、細胞加工技術をキリングループにおける新たな事業基盤づくりにつなげていきます。