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2024年8月1日
チューリッヒ大学IREMとの共同研究成果について
CiRAは、スイスのチューリッヒ大学再生医学研究所(IREM:Institute of Regenerative Medicine)と共同研究契約を2017年に締結し、次世代再生医療の推進という共通の目標を掲げ、研究者の相互訪問等を通じて、研究協力の可能性がある分野を特定してきました。
これまでに、IREMの若手研究者2名がCiRAの研究インターンシップに参加したり、細胞調製施設FiT(Facility for iPS Cell Therapy: 現在は京都大学iPS細胞研究財団が運営)において、IREM研究者に対して研修を行ったりしてきました。このような交流は、IREMが基礎から応用までのiPS細胞研究を実施するにあたり、ヒトiPS細胞の樹立や分化をはじめとするさまざまな技術をサポートするiPSCoreを設置するために、重要な役割を果たすものと考えられます。
新型コロナウイルスが世界中で流行している間も、研究交流や共同研究はオンラインで続けられ、2022年には共同研究の成果を論文発表しました。(論文情報1)この論文では、CiRAの齊藤博英教授らのグループが開発したRNA スイッチ技術を用いて、IREMの研究グループが医療用のiPS細胞由来神経前駆細胞の樹立に成功したことを報告しています。また、CiRAの堀田秋津准教授のグループによって開発された"ユニバーサル"iPS細胞も医療応用の可能性がある技術としてIREMに移転されています。
今年4月には、チューリッヒ大学のZürichiPSシンポジウム開催期間中にCiRAの教員や若手研究者がIREMを訪問し、ワークショップを共同で実施しました。訪問中には、両機関の研究者が共同執筆した、細胞選別技術に関する総説論文が国際学術誌「Nature Reviews Bioengineering」に受理され、7月にオンライン公開されました。(論文情報2)
CiRAとIREMの共同研究をさらに進めるために、IREMから数名の若手研究者が今秋CiRAを訪れ、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のさくらサイエンスプログラム交流事業として行われる短期インターンシッププログラムに参加する予定です。
同時期の10月29日には、京都大学戦略的パートナーシップの支援を受け、CiRA-IREMシンポジウム"Driving Next-generation Cell and Gene Therapy"が京都大学で開催されます。IREMのSimon P. Hoerstrup所長、Christian Tackenberg博士、Ute Modlich博士、Melanie Generali博士による講演が予定されています。CiRAの主任研究者による講演や、研究交流や新たな共同研究の創出を促進するためにポスターセッションやネットワーキングイベントも企画されています。このシンポジウムへの参加登録等に関する情報は、今後、CiRAホームページで告知する予定です。
- 論文名
Xeno-free induced pluripotent stem cell-derived neural progenitor cells for in vivo applications - ジャーナル名
Journal of Translational Medicine - 著者
Ruslan Rust1,*, Rebecca Z. Weber1,2, Melanie Generali1, Debora Kehl1, Chantal Bodenmann1, Daniela Uhr1, Debora Wanner1, Kathrin J. Zürcher1, Hirohide Saito3, Simon P. Hoerstrup1,4,
Roger M. Nitsch1,2, Christian Tackenberg1,2,*
* 責任著者 - 著者の所属機関
- チューリッヒ大学再生医学研究所(IREM)
- チューリッヒ大学/スイス連邦工科大学チューリッヒ校Neuroscience Center
- 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)
- チューリッヒ大学/スイス連邦工科大学チューリッヒ校Wyss Zurich Translational Center
- 論文名
Purification technologies for induced pluripotent stem cell therapies - ジャーナル名
Nature Reviews Bioengineering - 著者
Melanie Generali1,*, Yoshihiko Fujita2, Debora Kehl1, Moe Hirosawa2, Maximilian Y. Emmert1,3,4,
Jun Takahashi2, Simon P. Hoerstrup1,5, Hirohide Saito2,6,* - 著者の所属機関
- チューリッヒ大学再生医学研究所(IREM)
- 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)未来生命科学開拓部門
- シャリテ・ベルリン医科大学心臓血管外科部門
- ドイツ心臓センターベルリン心臓胸部・血管外科部門心臓外科研究グループ
- チューリッヒ大学/スイス連邦工科大学チューリッヒ校Wyss Zurich Translational Center
- 東京大学定量生命科学研究所RNP生命工学研究分野