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2025年12月2日
C4U、京都大学iPS細胞研究所との新たな共同研究開始のお知らせ
独自のゲノム編集技術であるCRISPR-Cas3技術の社会実装を目指すC4U株式会社(以下「C4U」といいます。)と、京都大学iPS細胞研究所(以下「CiRA」といいます。)臨床応用研究部門 堀田研究室(堀田秋津准教授)は、「CRISPRゲノム編集技術によるデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する治療法の研究開発」を目的とした共同研究契約を新規に締結いたしました。
C4Uと堀田研究室とは、2020年1月よりiPS細胞におけるCRISPR-Cas3技術を用いた共同開発研究を実施してまいりましたが、さらなる応用展開として、具体的な疾患治療法を目指した研究開発を実施します。
CRISPR-Cas3技術を用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法への応用可能性については、大阪大学の真下知士准教授(当時)、竹田潤二招聘教授及びCiRAの堀田秋津准教授らによる研究成果が2019年にNature Communicationsに発表されております(Morisaka H et al., Nat Commun. 2019 doi: 10.1038/s41467-019-13226-x)。また、Cas3を用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィーの新しい遺伝子変異修復方法も、堀田研究室が2023年に論文報告しています(Kita Y et al., Stem Cell Reports 2023 doi: 10.1016/j.stemcr.2023.07.007)。さらに、堀田研究室と武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」といいます。)との共同研究プログラムT-CiRAでは、2016年から10年間に渡り、ゲノム編集酵素を骨格筋へと効率的に送り届ける送達技術の研究開発を行ってきました(Kenjo E et al., Nat Commun. 2021 doi: 10.1038/s41467-021-26714-w)。
並行して、C4Uと武田薬品との間において2023年から2024年にかけて共同研究を実施しており、これらの成果も含めて今後の共同研究に活かしてまいります。
本共同研究の開始について、堀田秋津准教授は以下のように述べています。
「この度、C4Uと筋ジストロフィー治療薬開発を目指した新規共同研究契約が締結できたことを大変嬉しく思います。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは未だ根治療法が存在せず、生命を脅かす重篤な疾患であるため、患者さんやご家族からも治療薬の開発が切望されています。我々が持つ患者由来iPS細胞を用いた評価系および骨格筋への送達技術と、C4Uが持つ国産のCRISPR-Cas3技術を組み合わせることで、新しいシナジーを生み出せることを期待しています。」
また、C4Uの平井昭光代表取締役は以下のように述べています。
「CiRA堀田研究室との新たな共同研究により、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療法の研究開発を進められることとなり、改めて身の引き締まる思いです。ゲノム編集技術を用いることで、新たな根治治療を実現できるよう、これまでの成果も活かしてCiRA堀田研究室との共同研究を進めてまいります。筋ジストロフィーは希少疾患ですので、このような領域を得意とする製薬企業との将来の協業も視野に入れていきたいと考えています。」
<C4U概要>
C4Uは、ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用いて、遺伝性疾患を始めとする様々な疾患に対する新規の治療法等の開発を自社及び他社との提携により推進すると同時に、幅広い産業への応用に向けたプラットフォーム展開に取り組んでおります。
CRISPR-Cas3技術は、C4Uの創業メンバーである東京大学 医科学研究所 先進動物ゲノム研究分野の真下知士 教授、大阪大学微生物病研究所の竹田潤二 招へい教授らの研究成果を基に開発された国産で独自のゲノム編集技術です。CRISPR-Cas3技術は、現在までにオフターゲット変異は認められておらず高い安全性が期待できることや、ターゲット遺伝子とその周辺を広く削ることができるといった特徴を有し、現在海外で先行しているCRISPR-Cas9の複雑な特許状況に影響されないことから、CRISPR-Cas9に対抗し得る有望なゲノム編集技術として注目を浴びています。
<用語の解説>
ゲノム編集技術:
人工的にデザインしたDNA切断酵素などを細胞に導入し、ゲノムの局所を選択的に切断、改変する技術です。
CRISPR-Cas3:
CRISPR-Cas9同様に二本鎖DNAを切断しますが、crRNA(ガイド)認識配列が長い(27塩基のガイド配列)ことから、ゲノム配列の認識特異性が高く、オフターゲット変異(狙った部分以外の変異)誘導リスクが少ない、より安全なゲノム編集ツールです。また、大きな欠失を起こすことも可能なため、遺伝子の改変に加えて、その機能を失わせることや、疾患原因となる遺伝子変異を含む領域を大きく削除することも得意としています。
CRISPR-Cas9:
現在広く利用されるゲノム編集技術の一種で、Cas9がガイドRNAと結合し、ガイドRNAの一部(20塩基のガイド配列)と相補的なDNAを選択的に切断します。ガイド配列を変更することにより、様々な塩基配列をもつDNAを選択的に切断することができます。欧米の複数の研究者らによって開発され、複雑に入り組んだ多数の特許背景を持ち、現在でも米国等で特許抗争裁判が継続中です。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD):
筋ジストロフィーは、骨格筋の進行性萎縮を主病変とする、国の指定する難病の一つです。筋ジストロフィーには様々な疾患が含まれますが、デュシェンヌ型は、ジストロフィン遺伝子の変異によってジストロフィンというタンパク質が体内で作成されず、徐々に筋力が低下します。幼児(3~5歳ごろ)から症状が出始める、筋ジストロフィーの中でも特に重症のタイプで、主に男児で見られる疾患です。
