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2024年10月22日

次世代を担う若手研究者育成のために
(修学支援奨学金)

小倉 おぐら 理奈 りな さん

2023年度よりiPS細胞研究基金を活用し、博士課程学生を対象とした授業料を支援する修学支援奨学金を設立しました。この奨学金は、学生が金銭面の不安なく研究活動に専念できるよう返済不要としており、学生の大きな支えとなっております。寄付者の皆様には、改めて御礼申し上げます。2023年度は、前期22名、後期20名の学生に対して支援を行いました。今回は、その中から奨学生の小倉理奈さん(博士課程3年 長船研究室)の声をお届けします。

 私は、小学生の頃より人の役に立つ仕事をしたいと思い医師を目指していました。一方で、身の回りのことに対して「なぜ?」「どうして?」を考えることも好きで、研究にも興味があり、臨床も研究も最先端である京都大学医学部へ進学しました。

 大学卒業後は神戸の病院で研修医として勤務していましたが、現代の医学をもってしても治療の選択肢が限られ病に苦しまれている患者さんを数多く目の当たりにし愕然としました。この経験から、基礎医学研究を通じて

 より多くの患者さんのために貢献したいという思いが強くなり、研究の道へ進むことにしました。

 CiRAで研究を行うことにしたのは、臨床を行う中で分化に興味を持ち幹細胞研究に挑戦したいと思ったことと、患者さんを救うために基礎医学研究を推進したいという長船教授の熱意に胸を打たれたことが理由です。

現在の研究内容と目標

 iPS細胞を用いて糖尿病の研究を行っています。具体的には、iPS細胞から様々な化合物やタンパク質を用いてインスリンを分泌する膵β細胞を作製することで、分化の仕組みなどを調べています。膵β細胞の分化の仕組みはまだ十分に解明されていない部分が多く、これまでにない糖尿病の治療法に繋がる画期的な発見ができるのではないかと思っています。また、iPS細胞から作製した膵β細胞は、患者さんに移植することで重症糖尿病を治療できる可能性を持っているだけではなく、生体内で起きている現象を再現することができるため、培養皿上で新しい糖尿病の治療薬を探索することもできます。基礎研究は試行錯誤の繰り返しですが、どのように臨床応用へと繋げていくかを考えながら、将来、患者さんのために貢献でき、なおかつ基礎医学のアプローチだからこそ実現できるような研究に取り組んでいきたいと考えています。

オープンラボで実験操作をする小倉さん

修学支援制度について

 この制度により、金銭的な面をサポートいただけ多くの時間を研究にあてることができ、安心して研究活動に集中することができています。さらには、応援くださっている皆様方のお気持ちを感じることで、より一層良い研究がしたい、研究を頑張ろう、というモチベーションにも繋がっています。皆様にご期待をいただいていることを想像すると、感謝と共に身の引き締まる思いです。これからも精進してまいります。

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