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Internship

2024年11月13日

CiRA研究インターンシップ生インタビューvol.9
-自立して研究し、科学の夢を追い求める-

オープンラボでの 荒殿 あらどの 一花 いちか さん
(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)

 「高山研究室がとても気に入っています」と語る荒殿一花さん。荒殿さんは今年、イギリスにあるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)で、がん生物医学コースで理学士号を取得し、今年の夏にCiRA研究インターンシップに参加しました。

 荒殿さんは、7月中旬から4週間にわたり、高山和雄講師増殖分化機構研究部門)の研究室で研究を行いました。高山研究室が最近論文で発表した「マイクロ流体デバイスを用いて間質流を再現しながらヒトiPS/ES細胞を分化誘導できるシステム」を使って、培養液中の灌流が肝細胞がんの細胞株にどのような影響を与えるかを、細胞の増え方や、遺伝子・タンパク質レベルの変化を観察し調べました。

 「メンバー1人1人が独立して研究を行っています。UCLでは経験したことがなかったことでした」と高山研究室の印象を話しました。

 研究室メンバー1人1人が取り組んでいる研究プロジェクトを荒殿さんが学べるように、高山講師は荒殿さんと各メンバーとの個別ミーティングをセッティングしてくれたと言います。荒殿さんは学部時代、自身でプロジェクトの方向性を決めたり、研究の構想を練ったりする機会がありませんでした。そのため、高山講師が学部生から研究員までそれぞれが興味のある分野を常に存分に追究できるような環境を作っていて、深く感銘を受けたと言います。

 荒殿さんは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、学部時代の最初の2年間はほとんど実習がなかったそうです。幸いにも、昨年は医療研究財団であるウェルカム・トラストバイオメディカルバケーション奨学金を受けることになり、イーストアングリア大学で、口腔内常在菌であるフソバクテリウム・ヌクレアタムと免疫受容体であるSiglec-7の相互作用が免疫応答にどのような影響を与えるかを研究しました。そこでは、胃のオルガノイドや、腸の一部を再現した腸チップモデルを知ることもできました。このような経験を経たり、UCLのがん研究所で胃や腸のオルガノイドの樹立や解析に携わったりしたことで、病態モデルに興味を持つようになりました。

 CiRAでのインターンシップではマイクロ流体デバイスを使った高度な細胞培養技術を学びました。「このマイクロ流体システムはあらゆる病気の研究に応用できます」と荒殿さん。「CiRAでの経験によってオルガノイドを使った病態モデルに非常に興味を持ちましたし、オルガノイドとマイクロ流体デバイスと組み合わせることで、体内の状態を再現できるかもしれないと考えるようになりました。」

 東京出身の荒殿さんは、京都の伝統的な建築がとても好きだと話します。清水寺にも訪れたとのことで、「本当に暑かったです。焼肉になっちゃうかと思いました!」と冗談交じりに話しました。

 CiRAでのインターンシップを終えた後イギリスに戻り、インペリアル・カレッジ・ロンドンの修士課程に進む予定です。日本で育った荒殿さんは、CiRAで研究することを夢見ていました。博士後期課程では日本に戻ることを考えており、将来的にはCiRAの研究者になるという夢を叶えるかもしれません。

 荒殿さんの夢が叶うことを願っています!

  1. 取材・執筆した人:ケルビン・フイ


    京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 研究推進室 特命講師
    (翻訳:国際広報室)

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