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Internship

2025年11月10日

CiRA研究インターンシップ生インタビューvol.13
-理論から実践へ-

CiRAオープンラボでのハンスリー・クルニアワンさん
(バンドン工科大学)

 インドネシアのバンドン工科大学 生命科学技術学部バイオテクノロジー専攻で修士課程1年を終えたばかりのハンスリー・クルニアワンさんは、将来、CiRAで博士号を取得することを目指しています。そのため、CiRAの研究環境が自分に合っているかを確かめるために、今年のCiRA研究インターンシッププログラムに参加しました。

 「日本についてもっと知りたいと思いました。特に、CiRAの博士課程に出願したいと考えているので、今回のインターンシップはそのための第一歩になると思っています」とクルニアワンさんは話します。

 母国のインドネシアでは、バナナレクチン注1)を使ったがん診断の研究に取り組んでいます。これまで大学の講義でiPS細胞について多くを学んできましたが、実際にiPS細胞を扱うのは今回が初めてでした。「大学では細胞培養の原理を学びましたが、今回はその知識を実践してみたいと思いました」。

 6月から7月までの約6週間のインターンシップ期間中、クルニアワンさんは池谷真准教授臨床応用研究部門)の研究室に所属し、iPS細胞の培養や、iPS細胞から神経堤細胞注2)への分化誘導を通じて間葉系幹細胞注3)を作製する実験を行いました。理論を実践に移す形で、蛍光活性化セルソーター(FACS)注4)を用いた分化細胞の精製や、プロテオミクス注5)やマイクロRNA(miRNA)注6)のプロファイリング解析注7)も経験しました。これまでバイオインフォマティクス注8)の授業を受けたことはありましたが、自分の実験データにそれを応用したのは今回が初めてでした。

 このインターンシップは、彼の母校の先輩であり池谷研究室に在籍している大学院生から紹介をしてもらって知ったといいます。研究室のメンバーと一緒に研究し、彼らの研究について学ぶことができてとても楽しかったそうです。

 「iPS細胞は再生医療の応用への大きな可能性を持っています。実際に培養を学べたことは素晴らしい経験でした」とクルニアワンさん。

8月6日に開催された「CiRA研究インターンシッププログラム成果発表会」で
インターン期間中の研究成果を発表するクルニアワンさん

 CiRAでの研究の合間には、関西を満喫しました。大阪では美味しい食事を楽しみ、京都では神社仏閣を巡るなど、充実した時間を過ごしました。

 クルニアワンさんは、今回のインターンシップでの経験を通して、CiRAで博士課程に進む意欲を一層強めたようです。数年後に再びCiRAでお会いできることを楽しみにしています。

注1)バナナレクチン
バナナに含まれるたんぱく質の一種で、「レクチン」という糖に結合する性質を持ち、抗がん効果の可能性があるとされている。

注2)神経堤細胞
発生の途中で一時的に現れる細胞で、さまざまな細胞に分化する。第四の胚葉とも呼ばれる。

注3)間葉系幹細胞
成体内に存在する幹細胞の一種で、骨や軟骨、脂肪などに分化する能力がある。

注4)蛍光活性化セルソーター(FACS)
細胞で発現している蛍光シグナルを検出することで、特定の細胞集団の割合を算出したり、蛍光シグナルを指標に特定の細胞集団を分離することができる装置。

注5)プロテオミクス
細胞内のたんぱく質を網羅的にデータ収集し解析する技術・研究分野。

注6)マイクロRNA(miRNA)
相補的な配列を持つmRNA(メッセンジャーRNA)と結合して翻訳を抑制したり、mRNAを分解したりすることで、その遺伝子の発現を抑制する働きをもつと考えられている。

注7)プロファイリング解析
ある種類の分子(遺伝子、タンパク質、マイクロRNAなど)を網羅的に調べて、その特徴を明らかにする解析。

注8)バイオインフォマティクス
コンピュータサイエンスや計算機科学などの技術を応用して、生物学の問題を解こうとする学問。

  1. 取材・執筆した人:ケルビン・フイ


    京都大学iPS細胞研究所(CiRA)
    研究推進室 特命講師

    (翻訳:CiRA国際広報室)

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