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Internship
2025年11月11日
CiRA研究インターンシップ生インタビューvol.14
-情熱を原動力に医学研究者を目指す-
CiRAのオープンラボでの
宍戸
萌
さん
(ブラウン大学)
学部2年を終えたばかりの宍戸 萌さんは、将来の目標を明確に持っています。「大学に出願したときから、医学研究者を目指すつもりでいます」と彼女は話します。
日本で生まれ、幼少期から10代にかけて香港、日本、タイで過ごした宍戸さんは、現在アメリカのブラウン大学で生化学および分子生物学を専攻し、脊椎腫瘍・脊索腫研究センターで薬の効果を長く保つための研究にも取り組んでいます。
がんや神経変性疾患に関心があり、7月から8月にかけての約3週間、CiRA研究インターンシッププログラムに参加し、金子新教授(増殖分化機構研究部門)の研究室で研究をしました。
「金子研究室では、iPS細胞をがん免疫療法にどう応用できるかを研究している点に興味を持ちました」と宍戸さん。
インターン期間中は、メンターである金子研究室のグリフィア・カジルラノバ研究員の指導のもと、特定のタンパク質がT細胞の疲弊を防ぐことを示した先行研究を発展させる実験を行いました。T細胞の疲弊は、現在のキメラ抗原受容体(CAR)注1)T細胞(CAR-T)療法注2)が直面している課題の一つです。
金子研究室が開発した独自のプロトコル(実験手順)を用いて、iPS細胞を培養し、T細胞へと分化させる技術を学んだほか、リコンビナントプラスミド注3)の作製やエレクトロポレーション(電気穿孔法)注4)による遺伝子導入などの分子生物学的手法も習得しました。さらに、研究用に提供された臍帯血から幹細胞を分離するという実験にも挑戦しました。
「わずか3週間の滞在でしたが、とても充実したインターンシップになりました」と彼女は振り返ります。「多くの新しい実験技術を身につけ、実際に手を動かすことで研究の進め方を違った角度から理解できました。これまでも複数の研究室に所属しましたが、研究経験の幅を広げたかったんです」
(左から )宍戸さんとカジルラノバ研究員
日本滞在中の週末には、奈良や大阪を訪れるなど、関西の観光も楽しんだそうです。
また、CiRAでは医学と科学の両方の訓練を受けた研究者たちと出会い、自身の将来像と重ね合わせながら彼らの経験談を聞くことができたことも刺激になりました。
「この3週間の経験を通して、またここに戻ってきたいと思うようになりました。もし受け入れてもらえるなら、次は別の研究室でも挑戦してみたいです」と笑顔で語ります。
いつの日か、医学研究者への道を歩む中で、再びCiRAで宍戸さんの姿を見られるかもしれません!
8月6日に開催されたCiRA研究インターンシップ・プログラム成果発表会で、
自身の研究成果を発表する
宍戸さん
注1)キメラ抗原受容体(CAR)
抗体のターゲット認識部位を細胞外に、T細胞活性化タンパク質を細胞内に内包した人工タンパク質の総称。CD19タンパク質をターゲットとしたCARを発現したT細胞において完全寛解を達成した患者さんもいることから、免疫細胞療法において注目されている。
注2)CAR-T療法
免疫細胞の一種であるT細胞の遺伝子を、特定のがん細胞を認識して破壊することができるように改変する免疫療法の一種。
注3)リコンビナントプラスミド
細菌などがもつ小さな輪状のDNA(プラスミド)に、目的の遺伝子を人工的に組み込んだもの。細胞の中に入れて働きを調べたり、特定のたんぱく質を作らせたりするために使われる。
注4)エレクトロポレーション(電気穿孔法)
数百ボルトの短い電気パルスを使って、DNAやRNAなどの高分子を細胞内に導入する手法。
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取材・執筆した人:ケルビン・フイ
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)
研究推進室 特命講師(翻訳:CiRA国際広報室)
