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2013年10月9日

中高生向け研究体験プログラムを開催しました。

 京都市教育委員会が主催する未来のサイエンティスト養成事業の一部として、中高生向けの研究体験プログラム「幹細胞研究をやってみよう! まずは観察から」を7月31日(水)にiPS細胞研究所で開催しました。3回目となる今年は、京都市在住の中学生25名と、北海道札幌西高等学校の生徒10名が参加しました。

 暑さ厳しい中、集まった参加者たちは、6グループに分かれて席につき、初対面の人がほとんどのために、少し緊張気味の様子でしたが、細胞をイメージしたフィギュアを手にすると少しリラックスしたようで、班ごとに自己紹介を行いプログラムがはじまりました。まずは、吉田善紀講師(初期化機構研究部門)によるレクチャーで、細胞の基本や、iPS細胞の特徴などについて紹介しました。続いて、細胞観察のウォーミングアップとして、CiRAロゴを言葉で表現してみたり、皮膚の細胞の写真の中から、ひとつの細胞の形をなぞってみるなどしました。初めて見る細胞写真に戸惑う参加者たちに、吉田講師は「重なっていると、輪郭がわかりにくいかもしれませんが、核が細胞の中央にあります。」などと助け舟をだすなどしていました。

レクチャーに聞き入る参加者たち

細胞についてのレクチャーを行う吉田講師

 続いて参加者たちは、細胞の名前を伏せたまま「ヒトiPS細胞」「ヒトiPS細胞からつくった神経細胞」「ヒトiPS細胞からつくった心筋細胞」「ヒトiPS細胞からつくった肝臓細胞」の4種の細胞を観察し、それぞれがどの細胞にあたるのかを回答するクイズに挑戦しました。吉田講師のレクチャーや、細胞フィギュアの解説書に記してあった細胞の特徴などを思い出しながら、仲間と相談して、班ごとに回答をまとめました。「細い線が伸びた感じが神経細胞だと思いました。」「形が四角形で細胞フィギュア(肝臓細胞)に似ているので、肝臓細胞だと思いました。」などと観察のポイントを加えた発表を各班が行い、中には全問正解の班も出ました。

班のメンバーと相談しながら意見をまとめる参加者

 最後は、今回の実験プログラムで学んだこと、観察してきたことをもとに考える時間です。生命科学研究者は普段、答えがまだ出ていない問をたてて、それを解くために実験を行い、結果を検証し、新たな問を立てるということを繰り返しています。そこで、まだ答えの出ていない問に挑戦してもらいました。

【お題】  iPS細胞は、よく「何にでもなれる」万能細胞と言われます。それでは、何を確かめたら、本当に「何にでもなれる(体のあらゆる種類の細胞に分化できる)」ということができるのでしょうか?

 「iPS細胞からヒトをつくったら証明できるのでは?」「体中の全ての細胞をシャーレ上でつくればよいのでは?」「人間以外の生き物で実験したらよいのでは?」など、さまざまな考え方が披露されました。その一つ一つに対して吉田講師は、体の細胞が約200種類あるうち、iPS細胞からシャーレ上で作製できたものは、数十種類にしか満たないこと、マウスではiPS細胞から個体をつくる方法があることなど、iPS細胞技術の限界を含めて解説すると、メモをとるなど熱心に聞き入っている様子の子もいました。

 実験教室終了後には、「iPS細胞を超える細胞をつくりたい」「iPS細胞は青いものだと思っていたので、色がついていないことを知り、驚いた」などとコメントが寄せられました。参加者のみなさまお疲れ様でした。

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