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2014年12月8日
第22回CiRAカフェを開催しました
12月6日(土)の午後、第22回CiRAカフェ「ツールとしてのiPS細胞とゲノム」をCiRA1階のエントランスホールにて開催し、22名が参加しました。
今回の講師は、クヌート・ウォルツェン 准教授(初期化機構研究部門)でした。一般の人々に自分の研究を日本語で話すのは初めてとのことでしたが、流暢に自身の研究の面白さを語りました。

バイオのツールにをご紹介するクヌート・ウォルツェン准教授
私たち人間は長い歴史の中でたくさんのツール(道具)を開発してきました。そして近年では、バイオの世界でも様々なツールが開発され、研究に使われています。ウォルツェン先生は、今回自然界に存在するものを利用して作られたツールであるiPS細胞や、TALEN(ターレン)などの"分子ばさみ(遺伝子を切るはさみ)、"そしてレポーター遺伝子(目印となる遺伝子)を紹介しました。
iPS細胞は人工的な細胞ですが、皮膚や血液といった細胞から作られて、元の人や動物のゲノムDNAを持っています。iPS細胞は、いくらでも増やすことができて、あらゆる細胞になる能力を持ちます。
TALENやCRISPR(クリスパー)は、細菌に由来するもので、ゲノムDNAの狙ったところを切ることのできる"分子ばさみ"です。この"分子ばさみ"を利用するとゲノムDNAを改変することができます。"分子ばさみ"とiPS細胞を組み合わせることで、どのようなことができるのでしょう。ある遺伝子の変異が原因の患者さんからiPS細胞を作り、分子ばさみを使ってゲノムDNAの変異を修復し、それから細胞を作り、移植することで治療ができるようになるかもしれません。
また、レポーター遺伝子は、クラゲやホタルがもともと持っている発光する遺伝子を利用したものです。その遺伝子をiPS細胞のゲノムDNAに、分子ばさみを使って入れると、iPS細胞やそこから分化させた細胞が光るようになります。このような細胞を用いて、例えば動物モデルの体内に移植した細胞がどのように振る舞うか、光を追跡して調べることができるとのことです。
ウォルツェン先生は、このように自然界にあるものの少し意外な使い方、そしてそれをうまく利用することで研究が進んでいる例を紹介しました。
参加者からは「全てが新しい知識で新鮮でした」「動物を光らせることが出来るという研究がびっくりしました」「日本語で、緊張しつつも一生けん命お話されているので感動しました」などの感想を頂きました。
熱心にウォルツェン先生の話に耳を傾ける参加者
これまでのCiRAカフェは主にiPS細胞研究所で開催してきましたが、2015年度はより様々な方にiPS細胞や研究を知っていただこうと、CiRAを離れて大阪や名古屋で開催する予定です。ご興味のある方はぜひ、イベントカレンダーをご確認下さい。