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2026年10月5日

「iPS細胞基本特許の延長」をテーマにCiRAメディア勉強会を開催しました

 9月15日に、「iPS細胞基本特許の延長」をテーマに、メディア関係者を対象とした勉強会をハイブリッド形式で開催し、20名の方にご参加いただきました。

 CiRAでは、iPS細胞研究や医療応用に向けた取り組みへの理解を深めていただくとともに、メディア関係者との情報交換を図るため、勉強会を開催しています。

 今回は、CiRA医療応用推進室 知的財産戦略グループの釜平双美グループ長と、青山特許事務所の田村聖子弁理士が登壇し、iPS細胞基本特許の延長登録出願の経緯や意義、特許権の存続期間の延長制度の仕組みについて説明しました。質疑応答には、同事務所の松谷道子弁理士も加わりました。

メディア勉強会の様子

医療応用を支えるiPS細胞基本特許と延長の意義

 はじめに、釜平グループ長が、京都大学のiPS細胞基本特許と、その活用方針について紹介しました。基本特許は、体細胞に特定の初期化遺伝子を導入してiPS細胞を作製する方法など、iPS細胞の基盤技術に関するものです。京都大学では、こうした特許を保有し、適切な条件で広く利用を認めることで、研究や医療応用を促進してきました。

 続いて、今回の延長登録出願の背景が紹介されました。2026年3月、iPS細胞を用いた再生医療等製品である、住友ファーマ株式会社の「アムシェプリ®」(パーキンソン病治療製品)とクオリプス株式会社の「リハート®」(重症心不全治療製品)が条件及び期限付きの製造販売承認を受けたことを受け、京都大学は同年6月、関連する基本特許の存続期間の延長登録出願を行いました。釜平グループ長は、今回の出願について、基本特許が企業による製品開発を支え、実際の医療につながる基盤技術として活用された実績を示すものだと説明しました。また、公的な研究支援や寄付に支えられてきた大学の基礎研究が、企業へと引き継がれ、社会実装に結びついた意義を、広く社会と共有する機会であることを強調しました。

iPS細胞基本特許について説明する釜平グループ長

特許権の存続期間を延長する制度とは

 次に、田村弁理士が、特許権の存続期間の延長制度について解説しました。特許権の存続期間は原則として出願から20年ですが、医薬品や再生医療等製品は、臨床試験や国の承認を得るまでに時間を要します。このため、承認を受けるために特許発明を実施できなかった期間を補う仕組みとして、一定の要件の下で、最長5年間の延長が認められています。講演では、延長が認められる場合と認められない場合を例示しながら、製品が承認されれば必ず延長できるわけではないことが説明されました。

 また、延長後の特許権は、元の特許がカバーしていた範囲全体に、そのまま効力が及ぶわけではないことが説明されました。田村弁理士は、医薬品に関する裁判例を紹介し、延長の根拠となった承認製品と「実質的に同一」といえるかどうかが、効力の及ぶ範囲を考えるうえで重要になると解説しました。

 再生医療等製品については、本勉強会時点で延長後の特許権の効力を判断した裁判例がないことにも触れました。その上で、医薬品の裁判例で示された考え方が適用されるとすれば、特許発明の技術的な意義や承認内容を踏まえ、承認された製品とそれと実質的に同一と認められるものに効力が及ぶと考えられると説明しました。

特許権の存続期間の延長制度について説明する
田村弁理士

 質疑応答では、日本と海外の延長制度との違いや、延長できる回数・期間、延長によるメリット・デメリットなどについて質問が寄せられ、登壇者が丁寧に答えました。

(左から)質問に答える松谷弁理士、田村弁理士、
釜平グループ長

 また、参加者からは、「改めて特許制度について理解を深めることができてよかった」「基本的な知識がなかったが、質疑応答にも根気よく対応していただきわかりやすかった」といった感想が寄せられました。

 CiRAでは今後もメディアの方に向けた勉強会など、イベントを開催して参ります。メディア向け勉強会にご興味をお持ちの報道関係者の方がいらっしゃいましたら、お問い合わせフォームより、お問い合わせください。




 なお、本勉強会の開催後、京都大学が出願していたiPS細胞基本特許の存続期間の延長が認められ、9月16日に登録査定謄本を受領しました。延長期間は5年間で、延長後の存続期間満了日は2031年12月6日です。詳しくは、こちらのリリースをご覧ください。

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